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契約社員と正社員の違い・無期転換5年ルール等の基礎知識の解説

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昨今、働き方の見直しが取り沙汰され、同一労働同一賃金などの言葉もよく聞くようになりました。

この背景には、非正規雇用の割合が増え、雇用形態による格差が大きいのではないかという問題意識があるためです。

今回は、契約社員の定義、契約社員と正社員・パートの違い、無期転換の5年ルールなどを解説します。

契約社員とは?

契約社員とは、雇用期間に定めがある労働者、つまり一時的・臨時的な有期雇用契約(有期労働契約)を会社と交わした労働者のことを指します。

ただし、これはあくまで一般的にはそのようにされているという話であり、法的には正確ではありません。なぜなら、契約社員の法律上の定義というのは、実はないからです。

それに、会社と雇用契約を交わしているという意味では、法的に考えると、本来、正社員や短時間労働者(パート)も契約社員ですし。

しかし、一般的に用いられる契約社員という用語は、有期契約労働者を指しますので、これ以降は契約社員 = 有期契約労働者と理解してください。

様々な雇用形態と法的な整理

会社の中には、正社員、契約社員、パート、アルバイト、嘱託、様々な呼び名の従業員が存在します。また、会社によっては準社員、パートナーなど独自の呼称がある雇用形態もあります。

しかし、法律上に定義されている雇用形態は、有期契約労働者と無期契約労働者、そしてパートタイム労働者のみであり、関係性を図示すると以下のようになります。

なお、上の図では便宜的に正社員と書いていますが、正社員についても法律上の定義はありません。

2種類の契約社員:フルタイム契約社員とパートタイム契約社員

上の図で、契約社員の位置づけを示すと、以下のようになります。

つまり、契約社員は、以下のフルタイム契約社員とパートタイム契約社員の2種類に分類できるということです。

  • フルタイム契約社員:労働時間の長い、というより正社員と所定労働時間が同じ契約社員
  • パートタイム契約社員:労働時間の短い契約社員

そしてあなたの会社の契約社員がどちらに該当するかは、雇用契約書や就業規則などによって決まっているはずです。

そのため、就業規則の中で雇用形態がどのように定義されているかを確認しておく必要があります。

逆に言えば、就業規則の中で雇用形態がきちんと定義されていなければ、適用される処遇などの労働条件が不明瞭になり、その結果としてリスクを抱えていることになります。

契約社員と正社員の違い

先程、正社員に法的な定義はないと書きましたが、一般的に、正社員は雇用期間に定めがない、無期雇用契約(無期労働契約)ということになります。

つまり、契約社員と正社員の違いは、「雇用期間に定めがあるかないか」ということです。

後述しますが、契約社員と正社員で所定労働時間に違いがあるのか、社会保険の加入条件に違いがあるのか、有給休暇はあるのかなど、様々な質問を受けることがありますが、契約社員と正社員に違いはありません。

もし違いがあるのであれば、その違いは会社が決めているだけです。

あくまで、契約社員と正社員の違いは「雇用期間に定めがあるかないか」という点だけです。

もし、あなたの会社の契約社員の所定労働時間が、正社員より短いのあれば、その契約社員という雇用形態は、法的には、パートの有期契約労働者ということになります。

次に、ここまでは法的な契約社員と正社員の違いを解説しましたが、仕事の内容から分類すると、本来は以下の図のようになります(厚生労働省「無期転換ハンドブック」の図より引用)。

契約社員というのは雇用期間が限定されているため、本来であれば、業務の必要性が一時的な場合に適した雇用形態ということになります。

もし恒常的な業務なのであれば、それは無期雇用の社員の方が適しているわけです。

ただ、現実的には恒常的な業務を担っている契約社員が増え、ほぼ自動的に更新が繰り返されているという状況から、後述する無期転換ルールの法改正が行われたという経緯があります。

このようにして見てみると、契約社員と正社員の違いは、業務の必要性が恒常的なのか、それとも一時的なのかという仕事の内容によって分類する考え方もわかりやすいですね。

契約社員とパートの違い

パートとは、パートタイム労働法(正式名称は、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)で、短時間労働者として、以下のように定義されています。

パートタイム労働法第2条(定義)
「短時間労働者」とは、1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比し短い労働者をいう。

通常の労働者がいわゆる正社員のことですが、簡単に言えば、パートとは、同じ事業所の正社員に比べて1週間の所定労働時間が短い人を指します。

正社員が法定どおりの週40時間労働で、週39時間労働の人がいれば、その人はパート・短時間労働者となります。

また、会社で、アルバイト、嘱託、臨時社員、準社員など、どんな呼び方をされていても、所定労働時間が短ければ、パートタイム労働者に該当するため、パートタイム労働法の対象となります。

それでは、契約社員とパートの違いはどうなるのかということですが、この法律の定義から考えると、「パートタイム労働者と契約期間は無関係」ということです。

契約期間の定めのある、つまり有期契約のパートもいれば、契約期間の定めのない、つまり無期契約のパートもいるということです。

会社によっては契約社員とパートを分けている場合もあれば、契約社員とパートを同一の雇用形態として扱っている場合もあります。

この関係を図示すると以下のようになります。

なお、以下の記事では、パートと正社員の違いについて法律面と実態面、そしてよく誤解のある社会保険の点から解説していますのでご参考ください。

関連:正社員とパートの違いを法律面・実態面から詳細解説

契約社員の5年ルール・無期雇用への転換

契約社員の5年ルールとは、有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合は、有期契約労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換される、というもので、無期転換ルールとも言われています。

平成24年改正、平成25年4月施行の労働契約法により求められるもので、わかりやすく図示すると以下のようになります。

平成25年4月1日以降の契約が対象となっているため、契約期間が1年の場合、その5年後である平成30年(2018年)4月から無期転換申込権が発生します。

そのため、2018年問題とも言われています。ちなみに、実際に無期労働契約となるのは2019年(平成31年)4月からです。

この対象者というのが、契約期間に定めのある者、つまり有期契約労働者であり契約社員であるわけです。

そして繰り返しになりますが、パートの有期契約労働者も対象になります。

なお、契約期間によって無期転換申込権の発生時期が変わる、無期転換ルールが適用される条件・適用されない条件など、理解するのに少々難しいところがあり、以下の記事で詳細に解説していますのでご参考ください。

関連:無期転換ルールの対応時期は全員が2018年ではありません!

契約社員の有給休暇

ここからは契約社員の処遇に関してよく受ける質問を取り上げます。

契約社員の有給休暇に関してよく質問を受けますが、大半の質問は以下の2点に集約されます。

  1. 契約社員にも有給休暇を付与しないといけませんか?
  2. 契約社員に付与する有給休暇の日数は何日ですか?

以下の記事で解説を交えながら回答していますのでご参考ください。

関連:契約社員の年次有給休暇の発生条件と付与日数

契約社員の社会保険

また、契約社員は社会保険に加入させなければならないのかという質問もよく受けます。

冒頭の解説のとおり、契約社員という雇用形態の法的な定義はなく、ポイントはあくまで労働時間と契約期間のみです。

契約社員の社会保険の取扱いについては、以下の記事で詳しく解説していますのでご参考ください。

関連:契約社員の社会保険の加入条件を考える上で注意すべき2つのポイント

まとめ

今回は、契約社員の定義、正社員やパートとの違い、無期転換の5年ルールなどを解説しましたが、特に契約社員とパートとの違いについて多くの方が混同しているので要注意です。

人事制度の見直しや就業規則の変更に関するご相談を受けても、雇用形態を正しく理解していないために、再度、人事制度の見直しからやり直さざるを得ないことも少なくありません。

まずは、自社の雇用形態の整理、そして雇用形態と職務内容が適切かどうかを見直してみることをオススメします。

なお、契約社員に関して最も揉めるのが「雇い止め」です。以下の記事で解説していますのでご参考ください。

関連:契約社員の「雇い止め」で揉めないための対応策とは?

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