※当サイトはリンクに広告ページが含まれている場合があります
あなたは正社員とパートの違いについて正しく理解していますか? まさか以下のような理解をしていませんよね?
- 正社員は月給制、パートは時給制である
- 正社員は社会保険に加入する、パートは社会保険に加入しない
- 正社員には年次有給休暇がある、パートには年次有給休暇がない
今回は、誤解の多い正社員とパートの違いについて解説します。
正社員とパートの違い(法律面)
まず、法令上、正社員という定義はありません。
その一方、パートタイム労働者というのは、パート・有期雇用労働法により、1週間の所定労働時間が通常の労働者よりも短い労働者と定義されています。
- パート・有期雇用労働法第2条(定義)第1項
- この法律において「短時間労働者」とは、1週間の所定労働時間が同一の事業主に雇用される通常の労働者(当該事業主に雇用される通常の労働者と同種の業務に従事する当該事業主に雇用される労働者にあっては、厚生労働省令で定める場合を除き、当該労働者と同種の業務に従事する当該通常の労働者)の1週間の所定労働時間に比し短い労働者をいう。
ちなみに、パート・有期雇用労働法の正式名称は「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」です。
この定義から明らかなように、法令上の正社員とパートの違いは1週間の所定労働時間が通常の労働者よりも短い労働者かどうかということです。
- 正社員 = 通常の労働者
- パート = 1週間の所定労働時間が通常の労働者よりも短い労働者
正社員とパートの法律的な違いというのは、これだけです。
つまり、雇用契約期間(無期契約と有期契約)の違い、社会保険の適用の有無、月給制と時給制の違いなどで、正社員とパートの違いを説明する人がいますが、それは大間違いです。
また、ここまで「パート」として説明してきましたが、アルバイト、嘱託、臨時社員、準社員といった呼び名も関係ありません。
会社によっては、パートは主婦層、アルバイトは学生、嘱託は高年齢者などと区分けしていますが、それは単に会社がそのように決めているだけで、繰り返しますが、法令上は1週間の所定労働時間が通常の労働者よりも短い労働者かどうか、これだけです。
正社員とパートの違い(実態面)
次に、実態面での違いを解説します。
一般的な会社では、正社員とパートの違いとして以下のように分けていることが多いようです。
- 賃金形態の違い(月給制と時給制)
- 職務内容の違い
- 転勤・配置転換の有無
- 残業時間の有無
- 賞与の有無
- 退職金の有無
ただ、先程解説したように、法令上での正社員とパートの違いは労働時間の長さのみです。
そのため、上の実態面の違いとして列挙したものは、あくまで多くの会社の中がそのように決めているだけ、つまり単なる慣習に過ぎません。
先日、コストコは管理職以外の全員が時給制、という記事で話題になっていましたが、正社員が時給制であっても何の問題もありません。
実際、当事務所の顧問先では、パートに賞与や退職金を支給している会社もありますし。
また、会社によっては、正社員とパートの職務内容に大きな違いがない場合もあります。その場合、近年大きなトラブルとなっている「同一労働同一賃金」「均衡・均等待遇」の関係で、別の問題は生じますが。。。
雇用契約期間の有無は正社員とパートの違いに関係ない
また、正社員とパートの違いとして、雇用契約期間を例に、
- 正社員は期間の定めのない雇用契約(無期契約)
- パートは期間の定めのある雇用契約(有期契約)
と整理して解説する人がいますが、それも違います。
何度も繰り返しますが、正社員とパートの違いは所定労働時間の違いのみです。
雇用契約期間の有無は関係ありません。
これは、いわゆる契約社員と呼ばれる人との違いであり、以下の図のように、比較する軸が異なります。
この違いを説明しても「いやいや、うちの会社のパートはすべて有期契約だから」という人もいるので困ったものですが、「無期契約のパート」もいます。
これは私の過去のクライアントの話ですが、介護施設などでは慢性的な人手不足もあって、短い時間しか働けない人でも長く働いて欲しいということから、無期契約のパートは多くいました。
本当は正社員になって欲しいのですが、ご家庭の都合などもあって正社員と同じ時間は働けないという理由です。
なお、「契約社員」という言葉も一般的に用いられていますが、法律的な定義はありません。
つまり、正社員と呼ばれる人の中にも有期契約と無期契約がありえるし、パートと呼ばれる人の中にも、有期契約と無期契約がありえるということです。
ただ、実態として、正社員の中には無期契約の労働者が多いというだけです。
社会保険の適用の有無は正社員とパートの違いに関係ない
また、正社員とパートの違いとして、社会保険の適用の有無を例に解説する人もいますが、それも違います。
この間「パートとは週の所定労働時間が30時間未満の人である」と説明している人がいて驚きました。
社会保険のいわゆる4分の3基準と完全に混乱しているのでしょうが、上の説明だと、社会保険の適用基準に関しても解説が間違っています。
通常の労働者(一般的には正社員)の所定労働時間が36時間だったら、社会保険の非加入者となりうるのは27時間未満になりますから。。。
週の所定労働時間が30時間未満と言われているのは、一般的に週の所定労働時間が40時間になっている会社が多いからです。
なお、平成28年10月1日から、社会保険(健康保険・厚生年金保険)の被保険者資格の取得基準(いわゆる4分の3基準)は以下のように明確化されています。
- 平成28年10月1日以降の取り扱い
- 1週の所定労働時間および1月の所定労働日数が常時雇用者の4分の3以上
- 従来の取り扱い
- 1日または1週の所定労働時間および1月の所定労働日数が常時雇用者のおおむね4分の3以上(この基準に該当しない場合であっても就労形態や勤務内容等から常用的使用関係にあると認められる場合は被保険者となります。)
で、本題に話を戻すと、パートは正社員より所定労働時間が短い、これはパートタイム労働法の規定どおり。そして、会社として、常時雇用者(一般的には正社員)の所定労働時間や所定労働日数を4分の3未満にしているから、社会保険に加入していないということです。
別にパートだから社会保険に未加入で良いわけではないということです。図示すると以下のとおり。
なお、一般社員の所定労働時間・所定労働日数が4分の3未満であっても、以下の5つの要件を全て満たす場合は、被保険者になるので要注意です。
- 週の所定労働時間が20時間以上あること
- 雇用期間が1年以上見込まれること
- 賃金の月額が8.8万円以上であること
- 学生でないこと
- 常時501人以上の企業(特定適用事業所)に勤めていること
まとめ
今回は、正社員とパートの違いについて解説しました。
この記事を書いたきっかけは、最近あるご縁により、新たに起業しようとしている個人事業主への支援を行っている中で、その方がとても混乱していたためです。
その方によると、怪しい解説がインターネット上に溢れているようですが、必ず一次情報である法令を踏まえて、きちんと説明できる専門家に相談するようにしましょう。
あなたのご質問・ご相談に、月1回、無料・本音で回答します。
ご質問・ご相談は、登録後に届くメールから送っていただけます。費用は一切かかりません。「お悩み相談室」というクローズドな場だからこそ、踏み込んだ内容の質問にも回答できます。
これまでに、こんなご質問・ご相談に回答してきました。
- コンサル(3号業務)を主力業務にするには、どうすれば良いか?
- どのようにして顧問料を上げれば良いか?
- 営業が苦手で、新規の顧客獲得ができない
- 業務をどう絞り込めば良いか?
- 一人社労士のままで良いのか、人を雇うべきか?
- 苦手・相性の悪い顧問先と、どう付き合うか?
- 生成AIの時代、社労士は今後どう生き残るか?
なぜ、無料で同業の社労士からの相談に乗るのか?
それは「本当に顧客のために活動できる社労士仲間を増やしたい」からです。
私自身、社労士という資格に誇りを持っています。企業からの社労士に対する不満をよく聞きますし、「社労士なんて役に立たない」と思われることは、正直悔しいです。
- 信頼される・信頼できる社労士の仲間を増やしていきたい
そんな想いから、少しでも社労士業界全体のレベルアップに貢献できればと考えています。
登録は無料・月1回配信・配信解除いつでも可能
※ 登録後、本人確認のメールをお送りします。届かない場合は迷惑メールフォルダもご確認ください。