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厚生労働省が発表した「令和3年 労働安全衛生調査(実態調査)」によると、
- 過去1年間(令和2年11月1日から令和3年10月31日までの期間)に、メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者または退職した労働者がいた事業所の割合は10.1%
とのこと、また、このうち、
- 連続1か月以上休業した労働者がいた事業所の割合は、8.8%
- 退職した労働者がいた事業所の割合は、4.1%
とのことです。なお、本統計の注意書きによると、同じ労働者が連続1か月以上休業した後に退職した場合は「退職した労働者」のみに計上されています。
このような割合表示ではピンと来ない方がいるかもしれないので、数字に置き換えてみると、
- 10社に1社には、メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者又は退職した労働者がいる
ということです。連続1か月以上という長期の休業なので、珍しい事案と感じるかもしれませんし、10社に1社であれば、多くないと感じるかもしれませんが、事業所規模別・業種別に見ると驚くかもしれません。
事業所規模別の割合
過去1年間に、メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者または退職した労働者がいた事業所割合を規模別に示すと、以下のグラフとなります。
300人以上の事業所で急激に割合が上昇していますが、なんと1,000人の事業所では
- 94%の事業所に、メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者または退職した労働者がいた
- そのうち、92.5%の事業所では、メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者がいた
- 68.6%の事業所では、メンタルヘルス不調により退職した労働者がいた
ということです。ものすごい割合ということがおわかりになりますでしょうか?
事業所規模が大きいと、メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者または退職した労働者が多くなるということが、このデータからわかります。
業種別の割合
次に、過去1年間に、メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者または退職した労働者がいた事業所割合を業種別に示すと、以下のグラフとなります。
業種別のグラフを見ると、業種による偏りが意外と大きいと思いませんか?
メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者または退職した労働者がいた事業所割合が大きい業種3つを並べると、
- 電気・ガス・熱供給・水道業:34.8%
- 情報通信業:29.6%
- 複合サービス事業:23.4%
となっています。なお、複合サービス業とは、日本標準産業分類によると、郵便局、協同組合(他に分類されないもの)として以下が該当します。
- 管理,補助的経済活動を行う事業所(87協同組合)
- 農林水産業協同組合
- 事業協同組合(他に分類されないもの)
まとめ
記事の途中でも書いたように、規模別の割合の結果(事業所規模が大きいと、メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者または退職した労働者が多くなる)については、まあ、そうだろうな、という感想でしたが、業種別の偏りについては正直驚きました。
求職者目線で考えると、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、複合サービス事業に就職したら、
- メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業することになるかもしれない
と不安に感じるかもしれません。といっても、メンタルヘルス不調の問題は、業種特有の問題ではないでしょう。
以下の記事のように、職場うつ病の原因は「嫌な上司」や「平等でない職場環境」にあるという研究結果もあります。
また、以下の研究結果があるように、従業員のメンタルヘルス不調の問題は、従業員の問題ではなく、会社全体の問題として真剣に取り組むべきです。
- メンタルヘルス休職者比率は、2年程度のラグを伴って売上高利益率に負の影響を与える可能性がある
- 水準自体は低くても、メンタルヘルスの休職者比率が労働慣行や職場管理の悪さの代理指標あるいは先行指標になっていると解釈することもできる
- 毎年のように改正される労働法令への対応に頭を悩ませている
- 総務や経理などの他の業務を兼務しているので、人事労務業務だけに時間を割けない
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