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育児休業制度は、度重なる法改正の結果、全体像の理解が極めて複雑な難しい制度となっています。
理解が難しい原因の1つが、原則に対する例外措置の多さであり、今回はその1つであるパパママ育休プラスについて解説します。
育児休業の原則の期間
育児休業の期間は、原則として、1人の子につき1回、子が出生した日から子が1歳に達する日(誕生日の前日)までの間で、労働者が申し出た期間です。
つまり、育児休業の期間は、あくまで従業員の申出次第ということです。
1歳に達する日の前日までの約1年なのか、それとも1か月なのか、2週間なのか、従業員の申し出た期間によります。
パパママ育休プラス
前述の原則の例外の1つが、育児休業期間の延長である「パパママ育休プラス」です。
パパママ育休プラスは、
- 両親がともに育児休業をする場合に、以下の要件を満たすことで、育児休業の対象となる子の年齢が1歳2か月にまで延長される制度
です。間違いやすいのですが、あくまで、対象となる子の年齢が1歳2か月にまで延長される制度であって、1人当たりの育児休業の取得可能な最大日数(産後休業含め1年間)は変わりません。
パパママ育休プラスの要件
パパママ育休プラスを利用するための要件は以下のとおりです。
- 配偶者が子が1歳に達するまでに育児休業を取得していること
- 本人の育児休業開始予定日が、子の1歳の誕生日以前であること
- 本人の育児休業開始予定日は、配偶者がしている育児休業の初日以降であること
パパママ育休プラスによる育児休業の期間
パパママ育休プラスは、育児休業の対象となる子の年齢が1歳2か月にまで延長される制度ですが、夫婦1人ずつが取得できる休業期間の上限は1年間です。
休業期間の上限が1年2か月ではないという点にご注意ください。
以上の内容を図示すると以下のとおりです(厚生労働省資料から引用)。
なお、細かな点ですが、育児休業の期間は産後休業期間を含めて1年間であるため、母親が育児休業を取得する場合、育児休業の取得可能日数は以下の計算式によります。
- 育児休業の取得可能日数 = 365日(うるう年は366日) - 出生日以後の産前産後休業期間の日数
パパママ育休プラスの利用パターン
以下が、パパママ育休プラスの利用パターンです。
注意すべき点は、右下のパターンで、記載どおりこのパターンではパパママ育休プラスは利用できません。
その理由は、パパママ育休プラスの要件の3つ目:本人の育児休業開始予定日は、配偶者がしている育児休業の初日以降であること、に該当しないためです。
まとめ
今回は、育児休業制度を複雑にしている原因の1つとして、パパママ育休プラスの解説をしましたが、図示することで少しでもわかりましたでしょうか?
社労士としては、この内容を育児・介護休業規程に文章で盛り込み、顧客にきちんと説明して理解していただかないといけないので、なかなか骨の折れる作業なのですが・・・🥲🥲🥲
ただ、以下のような実態をデータで見ると、パパママ育休プラスはやはり理解しにくい・使いにくい制度であり、育児休業の延長や育児休業の分割制度ほどはニーズがない制度と言えるのかもしれません。
制度開始当初はニーズがあるという見込みだったのかもしれませんが、その後、育児休業関連の制度は着実に増えています。
新たな制度を作るときには、以前の制度のニーズを再調査し、きちんとスクラップ・アンド・ビルドをして欲しいものです。そうしないと企業の負担が増えるばかりですし・・・
関連:パパ・ママ育休プラスの利用状況は2.3%:厚生労働省データ令和3年度
なお、育児休業制度の全体像については以下の記事をご参考ください。
- 毎年のように改正される労働法令への対応に頭を悩ませている
- 総務や経理などの他の業務を兼務しているので、人事労務業務だけに時間を割けない
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