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国への労働相談は4年連続で120万件を超えています。このうち最も多い相談が「いじめ・嫌がらせ」いわゆるパワハラとなっており、ダントツの数字となっています。
なお、昨年度までは「15年連続で100万件を超えている」と表現されていましたが、今年度の発表から「4年連続で120万件を超えている」と表現が変更されています。100万件を下回ることはもはやないだろうということでしょうか。
令和5年度の労働相談件数と内容のポイント
まず、令和5年度の労働相談件数と内容についてポイントをまとめると以下のとおりです。
- 総合労働相談件数は121万400件(前年度から3.0%減)と4年連続で120万件を超えて高止まりの状況
- 民事上の個別労働紛争の相談件数、助言・指導の申出件数、あっせんの申請件数の全項目で「いじめ・嫌がらせ」、いわゆるパワハラが最多
- なお、第2位は自己都合退職、第3位は解雇、第4位は労働条件の引下げ、第5位は退職勧奨
用語解説:総合労働相談と民事上の個別労働紛争
調査結果の中で出てくる用語を念のため解説しておきます。
総合労働相談とは、
- あらゆる労働問題に関する相談にワンストップで対応するために国が運営している相談コーナー
- 都道府県労働局、各労働基準監督署内、駅近隣の建物など379か所に設置され、専門の相談員が対応
- 労働基準法や労働安全衛生法に違反する内容については労働基準監督署の担当者が対応
次に、民事上の個別労働紛争とは、
- 労働条件その他労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争
- 労働基準法や労働安全衛生法の違反など労働基準監督署が対応すべき内容は除外
労働相談は4年連続で120万件超え
それでは、発表内容について、以下のとおりわかりやすくグラフにまとめましたのでご参照ください。
平成20年度に相談件数が100万件を突破してから、ずっと100万件を超えている状況です。
以下は本来であればグラフが表示されます。
もしグラフが表示されていない場合はページの更新をしてください。
民事上の個別労働紛争相談件数
次に民事上の個別労働紛争の相談件数ですが、25万件前後を推移していた状況の中で、近年は上昇が続いており、令和5年度は266,160件となっています。
関連:パワハラなどの職場問題の解決に利用される個別労働紛争解決制度
主な個別労働紛争の内訳と推移
そして民事上の個別労働紛争相談の相談内容別にまとめたのが以下のデータです。
一般的に労働相談と聞くと、解雇や賃金の引き下げなどの労働条件の引き下げ、会社による退職勧奨などをイメージしがちです。
しかし、実は圧倒的に多いのは「パワハラ」に関する相談、12年連続で最多となっており、次に多い「自己都合退職」と比べてもダントツな状況です。
なお、令和3年度から4年度で「いじめ・嫌がらせ」の数字が急激に減少していますが、これは、令和4年4月から労働施策総合推進法の改正が全面施行され、同法上のパワーハラスメントに関する相談はすべて(同法に基づく対応となり)別途集計されることとなったためです。それでも「いじめ・嫌がらせ」の相談数がぶっちぎりの1位なわけですが・・・
また、自己都合退職に関する相談内容とは、要するに「辞めたいのに辞めさせてもらえない」ということです。
グラフを見ていただくとわかりますが、27年度以前は、解雇の相談の方が多かったのです。しかし、28年度からは自己都合退職に関する相談の方が増えています。
ここにも人手不足の状況、そして労働者に見捨てられる企業の実態が透けて見える気がします。
なお、パワハラの定義、会社に求められる安全配慮義務については以下の記事で解説していますのでご参考ください。
- 毎年のように改正される労働法令への対応に頭を悩ませている
- 総務や経理などの他の業務を兼務しているので、人事労務業務だけに時間を割けない
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