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最近は、パワハラ対策に関する企業からのご相談、研修依頼を受けることが増えてきています。
2022年(令和4年)4月から、パワーハラスメント防止措置がすべての企業に義務化されていますが、そもそもパワハラを放置することは企業にとって大きな損失に結び付きます。
また「相談窓口を設置しているから大丈夫」と思っている企業はまだまだ多い印象ですが、「相談窓口の設置」だけでは不十分であると言わざるを得ません。
データを踏まえて正しい状況を説明するのが当事務所のスタンスなので、今回はその理由について国の調査結果を引用して解説します。
パワハラの相談件数は圧倒的に多い
厚生労働省が毎年まとめている「民事上の個別労働紛争相談」の中の、相談内容別にまとめた上位4つが以下のデータです。
労働相談と聞くと、
- 賃金引き下げなどの労働条件に関する相談
- 退職・解雇関係に関する相談
が多いと思うかもしれませんが、実は、以下のグラフのとおり、いじめ・嫌がらせ、いわゆるパワハラに関する相談が圧倒的に多いことがわかります。
以下は本来であればグラフが表示されます。
もしグラフが表示されていない場合はページの更新をしてください。
関連:労働相談は4年連続で120万件超、12年連続でいじめ・嫌がらせが最多
パワハラを受けた経験は3人に1人
厚生労働省が令和3年に発表した「職場のハラスメントに関する実態調査」によると、「過去3年間にパワハラを受けた経験」を聞いたところ、
- 何度も繰り返し経験した:6.3%
- 時々経験した:16.1%
- 1度だけ経験した:9.0%
と合計31.4%、約3人に1人が「過去3年間にパワハラを受けた」と回答したことがわかります。
なお、前回の平成28年調査では以下の回答となっていました。
- パワハラを受けたことがある:32.5% 、H24調査では25.3%
- パワハラを見た・相談を受けたことがある:30.1% 、H24調査では28.2%
会社がパワハラに気づかない理由
冒頭で「相談窓口の設置」だけでは不十分であると書きましたが、その理由が以下の「パワハラを受けた後の行動」を示したグラフからわかります。
なんと「パワハラを受けた後の行動」で最も多いのが、
- 何もしなかった:35.9%(平成28年度の調査では40.9%)
となっています。
「社内の相談窓口に相談した」のはたったの5.4%、だからこそ「相談窓口の設置」だけでは不十分であり、会社は受け身で待っていてもパワハラには気づかないと言えます。
会社として相談されたことはない → 当社にはパワハラはない
とは言えないことがこの実態結果からわかります。
まさしく「王様の耳はロバの耳」状態です。
まとめ
データから「相談窓口を設置しているから大丈夫」だけでは不十分であることがわかります。
「会社を退職した」が13.4%、となっている点も見逃すことができません。
この採用難の時代に、パワハラを受けた人が静かに退職していくのは会社にとって大きな痛手です。
また、状況に気づかず放置することで、パワハラ加害者が次のターゲットを見つけてパワハラを繰り返す可能性が高いと言えます。
「会社は断固としてパワハラを許さない」と強い意思を示すこと、加えて、その周知のための研修は今の時代に欠かせないと言えるでしょう。
- 毎年のように改正される労働法令への対応に頭を悩ませている
- 総務や経理などの他の業務を兼務しているので、人事労務業務だけに時間を割けない
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