労働相談は10年連続で100万件超・いじめ・嫌がらせがトップの相談

国への労働相談は10年連続で100万件を超えています。このうち最も多い相談が「いじめ・嫌がらせ」いわゆるパワハラとなっており、ダントツの数字になっています。

今回は、総合労働相談件数とその内訳についてグラフにまとめ、また個別労働紛争解決システムの概要、具体的な助言・指導の事例をご紹介します。

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平成29年度の労働相談件数と内容

まず、今回の発表内容のポイントをまとめると以下のとおりです。

平成29年度の労働相談件数と内容
  • 総合労働相談件数は110万4758件(前年度から2.3%減)、10年連続で100万件を超え、高止まり
  • 民事上の個別労働紛争の相談件数では、「いじめ・嫌がらせ」が6年連続トップ
  • 第2位が自己都合退職、第3位が解雇、第4位が労働条件の引下げ、第5位が退職勧奨

念のため、用語を解説しておきます。

総合労働相談
あらゆる労働問題に関する相談にワンストップで対応するために国が運営している総合労働相談コーナー。都道府県労働局、各労働基準監督署内、駅近隣の建物など380か所に設置され、専門の相談員が対応。
民事上の個別労働紛争
労働条件その他労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争。労働基準法等の違反については除外。

それでは、発表内容をわかりやすくグラフにまとめましたのでご参照ください。

グラフの見方
  • PCの場合は、グラフ上にマウスカーソルを持っていってみてください。ラベルと数値がふわっと出て来ます。
  • スマホやタブレットの場合は、グラフ上でタッチしてみてください。ラベルと数値が出て来ます。

一般的に労働相談と聞くと、解雇、賃金の引き下げなどの労働条件の引き下げ、退職勧奨などをイメージしがちです。

しかし、実はパワハラに関する相談が圧倒的に多い状況、そして、その次が自己都合退職となっています。

自己都合退職に関する相談内容とは、要するに「辞めたいのに辞めさせてもらえない」ということです。

グラフを見ていただくとわかりますが、27年度以前は、解雇の相談の方が多かったのです。

しかし、28年度からは自己都合退職に関する相談の方が増えています。

ここにも人手不足、労働者に見捨てられる企業の実態が透けて見えます。

個別労働紛争とは

個別労働紛争とは、労働者個人と使用者との間の労働関係上の紛争のことです。これに対して、労働組合が関係する場合は集団的労使紛争と言います。

今回発表された労働相談というのは、労働者個人からの相談(82.9%)、事業主からの相談(9.8%)であり、個別労働紛争に該当するものです。

個別労働紛争解決制度

個別労働紛争を解決するための制度として、平成13年に「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」が施行され、民事上の相談にも国は対応しています。

きちんとした会社であれば経営者や人事担当者が個別の労働紛争について調整を行うわけですが、人事労務管理の個別化、雇用形態の多様化などもあって、個々の労働者と事業主との間の紛争が増えてきたために、このような解決制度が構築されています。

個別労働紛争解決システムの流れは以下のとおりです。

また都道府県に設置されている労働局による助言・指導の手続きの流れは以下のとおりです。

参考個別労働紛争解決制度(労働相談、助言・指導、あっせん)より

個別労働紛争解決制度の対象

個別労働紛争の最終的な解決手段としては裁判です。しかし、裁判には時間と費用がかかります。

この紛争解決制度の場合、利用料は無料です。

そのため労働関係の問題が生じた場合、労働者は利用しやすいという特徴があります。

もちろん、相談内容が労働基準法等の法違反に該当する場合、労働基準監督署による行政指導が行われるのですが、民事上の個別労働紛争についてはあくまで紛争当事者に対して話し合いによる解決を促すものです。

対象となる紛争の範囲は「労働条件その他労働関係に関する事項」となっており、具体的には以下のようなものです。

個別労働紛争解決制度の範囲の具体例
  • 解雇、雇止め、配置転換・出向、昇進・昇格、労働条件の不利益変更などの労働条件に関する紛争
  • いじめ・嫌がらせなどの職場環境に関する紛争
  • 会社分割による労働契約の承継、同業他社への就業禁止などの労働契約に関する紛争
  • 募集・採用に関する紛争
  • その他、退職に伴う研修費用の返還、営業車など会社の所有物の破損についての損害賠償をめぐる紛争

そして、今回の発表にもあるとおり、最も多いのが「いじめ・嫌がらせ」、いわゆる「パワハラ」です。

「仕事は嫌いではないけど会社は嫌い」という言葉をよく聞きますが、人間関係というのは難しいものです。

ましてや上司・部下という立場が異なると、言葉は同じでも、そのニュアンスや表情によって受け取り方がかなり変わります。

パワハラの当事者の方は「そんなつもりじゃなかった」とよく言いますが、結局は日頃の人間関係と人柄によるということです。

セクハラ問題でもこの種の議論はよくありましたが、正しい、正しくない、の問題というよりも、日頃からの人間関係に落ち着いてしまいます。

なお、パワハラの定義、会社に求められる安全配慮義務については以下の記事で解説していますのでご参考ください。

パワハラの定義、パワハラに該当するかチェックする上で重要な6種類の行為とその事例について解説します。
安全配慮義務とは何か、関連する判例・労働契約法の趣旨・内容、そして会社として安全配慮義務を遵守しているかチェックするための3つのポイントを解説します。

参考「平成29年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表します(厚生労働省)

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この記事を書いた人


安部敏志:社会保険労務士

「就業規則は働き方のルールであり、社内で自ら作成・修正すべき」という信念のもと、中小企業の人事担当者の育成に従事。
その他、専門雑誌等の記事の執筆にも積極的に対応。

事務所公式サイト:あべ社労士事務所

なお、同業の社労士から事務所運営や営業方法などの相談を受けることが増えていますが、当事務所は開業当時から この方法をそのとおりに実行しているだけです。

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