※当サイトはリンクに広告ページが含まれている場合があります
1年単位の変形労働時間制とは、1年以内の期間を平均して1週間当たりの労働時間を40時間以内にすることで、柔軟な労働時間の設定を可能とする制度です。
1年単位の変形労働時間制は、年間を通じて特定の季節(夏季・冬季)や特定の月に業務の繁閑がある場合などに導入が適している制度であり、詳細は以下の記事で解説しています。
1年単位の変形労働時間制の導入状況
1年単位の変形労働時間制は、1か月単位の変形労働時間制に比べて、規制による制約や必要な手続きが多くあり、導入時だけでなく、運用時にも注意すべき点が多々あります。
それでは、どのような業種、規模の会社が1年単位の変形労働時間制を導入しているのか?
思い込みやイメージではなく、データを踏まえて正しい状況を説明するのが当事務所のスタンスなので、今回は「令和5年就労条件総合調査結果」を用いて、1年単位の変形労働時間制の業種別・規模別の導入状況をグラフ化して解説します。
まず、全業種の変形労働時間制の導入状況は、以下のとおりです。
- 変形労働時間制を導入している:59.3%
- 変形労働時間制を導入していない:39.4%
以下は本来であればグラフが表示されます。
もしグラフが表示されていない場合はページの更新をしてください。
なお、変形労働時間制を導入している企業59.3%の内訳は以下のとおりです(複数回答あり)。
- 1年単位の変形労働時間制:31.5%
- 1か月単位の変形労働時間制:24.0%
- フレックスタイム制:6.8%
1年単位の変形労働時間制は、1か月単位の変形労働時間制に比べて、規制や手続き上の制約がはるかに多い制度です。
しかし、驚くべきことに、1年単位の変形労働時間制の方が多い状況になっています。
1年単位の変形労働時間制の規模別の導入状況
従業員数の規模別に見ると以下のとおりです(複数回答あり)。
1年単位の変形労働時間制 | 1か月単位の変形労働時間制 | フレックスタイム制 | |
---|---|---|---|
1,000人以上 | 19.1% | 49.1% | 30.7% |
300人-999人 | 24.6% | 38.3% | 17.2% |
100人-299人 | 33.5% | 29.9% | 9.4% |
30人-99人 | 31.9% | 20.0% | 4.2% |
前述のとおり、全体としても1年単位の変形労働時間制の方が多いわけですが、規模別に見ると、300人未満の規模の会社で多くなっています。
以下の記事でも触れているように、1年単位の変形労働時間制は運用が難しいはずで、適切に運用されているのか正直甚だ疑問ですが・・・
1年単位の変形労働時間制の業種別の導入状況
業種別の導入状況をまとめたのが以下のグラフです。
なお、「令和5年就労条件総合調査結果」では業種別のデータが集計されていないので、データが集計された中で最近となる平成30年の調査結果を整理したのが以下のグラフです。
「1年単位の変形労働時間制」が「1か月単位の変形労働時間制」よりも導入が多いのは以下の業種です。
- 鉱業、採石業、砂利採取業
- 建設業
- 製造業
- 運輸業、郵送業
- 卸売業、小売業
- 不動産業、物品賃貸業
- 学術研究、専門・技術サービス業
- 生活関連サービス業、娯楽業
- 教育、学習支援業
意外にも、多くの業種で1年単位の変形労働時間制が利用されていて驚きました。
いずれにせよ、1年単位の変形労働時間制は、様々な法令による厳しい制約があり、導入よりも運用面でかなり注意を要する制度です。
制度を否定された場合は、未払賃金などで会社に大きな損害が生じることになります。
1年単位の変形労働時間制を導入したい、または1年単位の変形労働時間制を導入しているが適切な運用になっているかといった不安な点があれば、当事務所にご相談ください。
- 毎年のように改正される労働法令への対応に頭を悩ませている
- 総務や経理などの他の業務を兼務しているので、人事労務業務だけに時間を割けない
といった悩みを抱える企業の経営者・人事労務担当者向けに、公開型のブログでは書けない、本音を交えた人事労務に関する情報・ノウハウ、時期的なトピックに関するメールマガジンを「無料」で配信しています。
過去の配信分は公開しません。
情報が必要な方は、いますぐ以下のフォームから購読の登録をしてください。購読して不要と思ったら簡単に解除できますのでご安心ください。