賃金不払の総額は約126億円、1企業当たりの賃金不払の平均額は711万円

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厚生労働省が発表した平成30年度の賃金不払残業の是正結果によると、賃金不払の総額は約126億円、1企業当たりの平均額は711万円、とものすごい金額です。

賃金不払は、企業が本来払うべきもの、言い換えると、労働者はもらい損ねていたものとも言えます。

「うちの会社はそんなに残業時間がないから大丈夫」と言う人もいますが、実はこの金額は決して非現実的な数字ではありません

今回は、発表内容に加えて、賃金不払問題はどの企業にも当てはまる決して他人事ではない理由を解説します。

なお、この発表は、賃金不払残業に関する労働者からの申告などの各種情報に基づき、全国の労働基準監督署が企業への監督指導を1年間行った結果として公表されているものです。

1. 賃金不払残業の是正指導を受けた企業数と対象労働者数

賃金不払残業の是正指導を受けた企業数は、1,768企業。

このうち、1,000万円以上の割増賃金を支払ったのは、228企業。

そして、その対象労働者数は11万8,837人。

なお、この発表内容は、支払額が1企業で合計100万円以上となった事案をまとめたものです。

100万円未満でも当然労働基準監督署による是正指導は行われますので、実際の数はもっと大きなものになります。

2. 賃金不払残業の総額は約126億、1企業当たりの平均額は711万円

労働基準監督署による是正指導を受け、支払われた1年間の割増賃金合計額は、125億6,381万円、1企業当たりの平均額は711万円。

イメージしにくい大きな金額ですが、冒頭にも書いたようにそれほど非現実的な数字ではありません。

まず、現在、労働基準法において定められている賃金の時効は2年です。

単純な計算間違いや労働時間管理の問題という理由はさておき、仮に、社員1人に対して月1万円の賃金不払いがあった場合、時効は2年なので会社がその社員に支払うべき合計額は24万円になります。

そして、もし社員30人の会社であれば、合計720万円の賃金不払いとなります。

今回の発表にある「1企業当たりで支払われた割増賃金の平均額711万円」とほぼ同じ額です。

なお、先般の民法改正に伴い、賃金の時効を2年からもっと長くすべきではないかと検討されています。

検討中のため、なんとも言えませんが、賃金の時効が5年になる可能性があります。

賃金の時効が5年になった場合、先程の計算例でいえば、社員1人当たりの賃金不払額は60万円、社員30人で合計1,800万円という、さらにものすごい金額になります

3. 賃金不払のリスク

1企業当たりの平均額が711万円、そんなに他人事ではない金額であることを解説しましたが、なぜこのような賃金不払が生じるのでしょうか。

原因は様々ですが、主な原因が、不適切な労働時間管理でしょう。

労働時間の把握・管理方法の原則は客観的であるかどうかです。

タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間、方法は何を選択しても良いのですが、その記録が客観的かどうか、ここがポイントです。

営業など外勤の多い会社ではタイムカードを押すことができないから、と自己申告制にせざるを得ないと思い込んでいる会社もいまだに多く存在します。

しかし、現代のようにほとんどの人がスマートフォンを持ち、クラウドサービスを用いた勤怠管理サービスが数多くある中で、その理由は通じなくなりつつあります。

なお、労働時間の定義や労働時間の把握・管理方法については、以下の記事で解説していますのでご参考ください。

参考:監督指導による賃金不払残業の是正結果(平成30年度、厚生労働省)

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