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賃金不払の総額は約65億円、1企業当たりの賃金不払の平均額は609万円

厚生労働省が発表した令和3年度の賃金不払残業の是正結果によると、

  • 賃金不払の総額は約65億円(65億781万円)
  • 1企業当たりの平均額は609万円
  • 労働者1人当たり10万円

という金額になっています。

賃金不払は、企業が本来払うべきもの、言い換えると、労働者がもらい損ねていたものであり、その総額が約65億円というものすごい金額になっているわけです。

「うちの会社はそんなに残業時間がないから大丈夫」と言う人もいますが、実はこの金額は決して非現実的な数字ではありません

今回は、発表内容に加えて、賃金不払問題がどの企業にも当てはまる決して他人事ではない理由を解説します。

なお、この発表は、賃金不払残業に関する労働者からの申告などの各種情報に基づき、全国の労働基準監督署が企業への監督指導を1年間行った結果として公表されているものです。

1. 賃金不払残業の是正指導を受けた企業数と対象労働者数

賃金不払残業の是正指導を受けた企業数は、1,069企業。

このうち、1,000万円以上の割増賃金を支払ったのは、115企業。

そして、その対象労働者数は、6万4,968人。

なお、この発表内容は、支払額が1企業で合計100万円以上となった事案がまとめられたものです。

100万円未満でも当然労働基準監督署による是正指導は行われますので、実際の数はもっと大きなものになります。

2. 賃金不払残業の総額は約65億、1企業当たりの平均額は609万円

労働基準監督署による是正指導を受け、支払われた1年間の割増賃金合計額は、65億781万円、1企業当たりの平均額は609万円

イメージしにくい大きな金額ですが、冒頭にも書いたようにそれほど非現実的な数字ではありません。

まず、現在、労働基準法において定められている賃金の時効は5年(当面は3年)です。

単純な計算間違いや労働時間管理の問題という理由はさておき、仮に、社員1人に対して月1万円の賃金不払いがあった場合、当面の時効3年で計算してみても

  • 会社がその社員に支払うべき合計額は36万円
  • 社員30人の会社であれば、合計1,080万円の賃金不払い

と結構大きな額になります。

今回発表された「1企業当たりで支払われた割増賃金の平均額609万円」「労働者1人当たりの支払われた割増賃金の平均額10万円」と比較しても、そんなに非現実的な数字でないことがわかると思います。

また、2020年4月からの労働基準法改正により賃金の時効は、当面は3年であるものの、今後原則の5年となっていきます。

そのため、先程の例を用いて時効5年で計算すると、社員1人当たりの賃金不払額は60万円、社員30人で合計1,800万円というかなりの金額になります

関連:賃金の消滅時効期間が2年から3年に変更(2020年4月から)

3. 賃金不払のリスク

1企業当たりの平均額が609万円、そんなに他人事ではない金額であることを解説しましたが、なぜこのような賃金不払が生じるのでしょうか。

原因は様々ですが、主な原因が、不適切な労働時間管理、労働時間の把握・管理方法の原則は客観的であるかどうかでしょう。

タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間、方法は何を選択しても良いのですが、その記録が客観的かどうか、ここがポイントです。

営業など外勤の多い会社ではタイムカードを押すことができないから、と自己申告制にせざるを得ないと思い込んでいる会社もいまだに多く存在します。

しかし、現代のようにほとんどの人がスマートフォンを持ち、クラウドサービスを用いた勤怠管理サービスが数多くある中で、その理由は通じなくなりつつあります。

まとめ

賃金不払の話になると、当社はきちんと払っているので大丈夫と自信満々に答える人がいますが、最後の「賃金不払のリスク」で書いたように、労働時間の適切な把握・管理ができていなければ、賃金不払のリスクを抱えた状態になっています。

人事労務の知識があっても運用が疎かになっている企業はまだまだ多い状況です。不安があれば、人事労務を専門にする社労士に相談するようにしましょう。

なお、労働時間の定義や労働時間の把握・管理方法については、以下の記事で解説していますのでご参考ください。

参考:監督指導による賃金不払残業の是正結果(令和3年度)

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