Work Life Fun

仕事も人生も楽しむ社労士

最低賃金制度の基礎知識:2種類の最低賃金、対象者、都道府県別の金額一覧

※当サイトはリンクに広告ページが含まれている場合があります

都道府県ごとに決定される地域別最低賃金額が、2024年10月1日から順次発効されます。 全国加重平均額は、昨年度から51円引上げの1,055円となっています

今回は、最低賃金制度の基礎知識ということで、2種類の最低賃金、最低賃金の対象者等について解説し、最後に都道府県別の最低賃金額の一覧を示します。

最低賃金とは

最低賃金とは、会社が労働者に支払う賃金の最低額を国が定める制度です。

最低賃金法という法律を根拠としますが、最低賃金法は強行法規であるため、違反した企業に対しては罰則があります

最低賃金法第4条(最低賃金の効力)
  1. 使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない。
  2. 最低賃金の適用を受ける労働者と使用者との間の労働契約で最低賃金額に達しない賃金を定めるものは、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、最低賃金と同様の定をしたものとみなす。

2種類の最低賃金:地域別最低賃金と特定(産業別)最低賃金

最低賃金には、以下の2種類があります。

  • 都道府県ごとに定められた「地域別最低賃金」
  • 特定の産業に従事する労働者を対象に定められた「特定(産業別)最低賃金」

特定(産業別)最低賃金は、地域別最低賃金よりも高い金額水準で定められており、地域別と特定(産業別)の両方の最低賃金が同時に適用される労働者には、会社は高い方の最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません

最低賃金の対象者

地域別最低賃金の対象者

地域別最低賃金は、パートタイマー、アルバイト、臨時、嘱託など雇用形態や呼称に関係なく、すべての労働者とその使用者に適用されます。

年齢にも関係なく適用されるため、例えば学生アルバイトであっても、雇用されていれば地域別最低賃金は適用されます。

特定(産業別)最低賃金の対象者

特定(産業別)最低賃金は、特定の産業の基幹的労働者とその使用者に対して適用されますが、以下の労働者には適用されません

  • 18歳未満又は65歳以上の方
  • 雇入れ後一定期間未満の技能習得中の方
  • その他当該産業に特有の軽易な業務に従事する方

そして、都道府県により産業の種類は異なります

例えば、福岡県の特定(産業別)最低賃金は以下のとおり。

  • 製鉄業、製鋼・製鋼圧延業、鋼材製造業:1053円 - 令和5.12.10
  • 電子部品・デバイス・電子回路、電気機械器具、情報通信機械器具製造業:1019円 - 令和5.12.10
  • 輸送用機械器具製造業:1029円 - 令和5.12.10
  • 百貨店、総合スーパー:945円※ - 令和5.12.10
  • 自動車(新車)小売業:1028円 - 令和5.12.10

ここでおさらいをしておくと、

  • 地域別と特定(産業別)の両方の最低賃金が同時に適用される労働者には、会社は高い方の最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない

となっています。

福岡県の地域別最低賃金額は、令和6年10月5日以降は992円です。

つまり、百貨店、総合スーパーは、945円のままだと違反になるということです。

最低賃金額(2024年10月1日以降)

まず、地域別最低賃金額は以下のとおりです。

都道府県 最低賃金時間額 発効年月日
北海道 1010 令和6年10月1日
青森 953 令和6年10月5日
岩手 952 令和6年10月27日
宮城 973 令和6年10月1日
秋田 951 令和6年10月1日
山形 955 令和6年10月19日
福島 955 令和6年10月5日
茨城 1005 令和6年10月1日
栃木 1004 令和6年10月1日
群馬 985 令和6年10月4日
埼玉 1078 令和6年10月1日
千葉 1076 令和6年10月1日
東京 1163 令和6年10月1日
神奈川 1162 令和6年10月1日
新潟 985 令和6年10月1日
富山 998 令和6年10月1日
石川 984 令和6年10月5日
福井 984 令和6年10月5日
山梨 988 令和6年10月1日
長野 998 令和6年10月1日
岐阜 1001 令和6年10月1日
静岡 1034 令和6年10月1日
愛知 1077 令和6年10月1日
三重 1023 令和6年10月1日
滋賀 1017 令和6年10月1日
京都 1058 令和6年10月6日
大阪 1114 令和6年10月1日
兵庫 1052 令和6年10月1日
奈良 986 令和6年10月1日
和歌山 980 令和6年10月1日
鳥取 957 令和6年10月5日
島根 962 令和6年10月12日
岡山 982 令和6年10月2日
広島 1020 令和6年10月1日
山口 979 令和6年10月1日
徳島 980 令和6年11月1日
香川 970 令和6年10月2日
愛媛 956 令和6年10月13日
高知 952 令和6年10月9日
福岡 992 令和6年10月5日
佐賀 956 令和6年10月17日
長崎 953 令和6年10月12日
熊本 952 令和6年10月5日
大分 954 令和6年10月5日
宮崎 952 令和6年10月5日
鹿児島 953 令和6年10月5日
沖縄 952 令和6年10月9日

参考:地域別最低賃金の全国一覧

次に、特定(産業別)最低賃金についてですが、前述のとおり、都道府県によって異なり、ここでは書ききれないため、以下をご確認ください。

参考:特定(産業別)最低賃金全国一覧

なお、平成14年度から令和6年度までの地域別最低賃金改定状況の全国加重平均額の推移については、以下の記事でグラフにまとめていますので、ご参考ください。

関連:最低賃金の推移のグラフ:平成14〜令和6年度

最低賃金法の違反内容

以下の場合には、最低賃金法違反となります。

最低賃金額より低い賃金で契約している場合

雇用とは、会社と労働者が雇用契約を締結している状態です。

最低賃金額より低い賃金で雇用契約を定めていた場合、仮に労働者、使用者双方の合意の上で定めていても、それは最低賃金法第4条により無効となります。

そして、その雇用契約の賃金額は、最低賃金額で定めをしたものとみなされます

なお、誤解している人がいますが、単に試用期間中という理由だけでは最低賃金を下回ることはできません。

関連:試用期間の長さ、賃金、社会保険、解雇等に関する基礎知識

会社が最低賃金を支払っていない場合

会社が労働者に最低賃金未満の賃金しか支払っていない場合、会社は労働者に対してその差額を支払わなくてはなりません

また、以下のように罰則も定められています。

  • 地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合:
    • 最低賃金法による罰則(50万円以下の罰金)
  • 特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合
    • 労働基準法による罰則(30万円以下の罰金)
【無料】効率的に人事労務の情報を入手しませんか?
  • 毎年のように改正される労働法令への対応に頭を悩ませている
  • 総務や経理などの他の業務を兼務しているので、人事労務業務だけに時間を割けない

といった悩みを抱える企業の経営者・人事労務担当者向けに、公開型のブログでは書けない、本音を交えた人事労務に関する情報・ノウハウ、時期的なトピックに関するメールマガジンを「無料」で配信しています。

過去の配信分は公開しません。

情報が必要な方は、いますぐ以下のフォームから購読の登録をしてください。購読して不要と思ったら簡単に解除できますのでご安心ください。


前の記事へ
次の記事へ
up_line