令和元年の高年齢者の雇用状況の調査結果と定年後の動向をグラフ化

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分類: 定年 再雇用

70歳までの継続雇用年齢の引き上げが検討されていますが、現在の高年齢者の雇用状況について、厚生労働省が毎年発表している「高年齢者の雇用状況」をグラフ化しました。

なお、このデータは、企業に義務付けられている毎年6月1日時点の高年齢者の雇用状況報告によるもので、従業員31人以上の企業161,378社の状況が集計されています。

高年齢者の雇用状況のまとめ

まず、全体の状況をまとめておくと、多くの会社が高年齢者の雇用に積極的、逆に言えば昨今の人手不足に危機感を感じていることがわかるデータとなっています。

現在の人手不足は景気による一過性の問題ではなく、日本の人口構成の変化といった構造的な問題ですし。

  1. 65歳までの雇用確保措置のある企業は99.8%(前年と同じ)
  2. 65歳定年企業は17.2%(前年から1.1%増)
    • 中小企業では17.9%(前年から1.1%増)
    • 大企業では10.6%(前年から1.2%増)
  3. 66歳以上働ける制度のある企業は30.8%(前年から3.2%増)
    • 中小企業では31.4%(前年から3.2%増)
    • 大企業では25.3%(前年から3.5%増)
  4. 70歳以上働ける制度のある企業は28.9%(前年から3.1%増)
    • 中小企業では29.6%(前年から3.1%増)
    • 大企業では23.3%(前年から3.2%増)
  5. 定年制廃止企業は2.7%(前年から0.1%増)
    • 中小企業では2.9%(前年と同じ)
    • 大企業では0.5%(前年と同じ)

高年齢者の雇用確保措置

まず基本的な用語を解説しておきます。

高年齢者の雇用確保措置とは、65歳までの安定した雇用確保のため、企業は以下のいずれかの措置を講じなければならない、というものです(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第9条第1項)。

  1. 定年制の廃止
  2. 定年の引上げ
  3. 継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度等)の導入

なお、継続雇用制度については以下の記事で解説しています。

関連:継続雇用制度とは? 継続雇用制度の2つの種類・企業の導入状況を紹介!

高年齢者雇用確保措置の実施状況(時系列)

注意

以下は本来であればグラフが表示されます。
もしグラフが表示されていない場合はページの更新をしてください。

なお、平成25年に大きく数値が落ち込んでいますが「平成25年4月に制度改正(継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止)があったため、平成24年と25年の数値は単純比較できない。」と調査結果資料に付記されています。

規模別の高年齢者雇用確保措置の実施状況

参考までに規模別の高年齢者雇用確保措置の実施状況は以下のとおり。

実施済 未実施
31-50人 55,231社、99.7% 173社、0.3%
51-300人 89.083社、99.9% 84社、0.1%
301人以上 16,803社、99.9% 4社、0.1%

以前、たまたま話した経営者に「小さな会社だから、再雇用などの法的義務を求められても困る」と言われたことがありますが、31-50人規模の会社でも、5万を超える会社が義務を果たし、法違反の企業は173社、0.3%しかありません

それに小さな会社だからこそ、これから猫の手でも借りたい人手不足の時代が到来するわけで、考え方を根本から改めた方が良いでしょう。

高年齢者雇用確保措置の内訳

高年齢者雇用確保措置の3つのうち、圧倒的に多いのが継続雇用制度の導入で、全体の77.9%、約8割を占めています。

昨年の調査からの変更点として注目すべき点は、以下のとおり、定年の引き上げをしている企業が増えているということです。

  • 31-50人:23.9%(昨年調査では22.8%)
  • 51-300人:18.2%(昨年調査では16.8%)
  • 301人以上:11.1%(昨年調査では9.8%)

会社側に属している人から見ると、定年の引き上げも継続雇用も実態として変わらないと思うかもしれませんが、定年間近の社員から見ると、定年の引き上げと継続雇用には大きな違いがあります

法的にもまったく異なる対応となりますし、超高齢社会、人手不足を見据えた企業の対応と言えるでしょう。この辺りの詳しい解説は顧問先限定にしておきますけど・・・

なお、この調査では、従業員31人~300人規模を「中小企業」、301人以上規模を「大企業」と分類しています。

60歳定年後の継続雇用の動向

そして、本調査で最も興味深かったのが、

  • 意外と「継続雇用を希望しない定年退職者」が多い
  • そして「継続雇用を希望したが継続雇用されなかった者」が想像以上に少ない

ということです。

割合が小さすぎるため、人数を示しておくと、60歳定年企業における定年到達者(362,232人)に対して、

  • 継続雇用された者は、306,949人(84.7%)(うち子会社・関連会社等での継続雇用者は13,953人、3.9%)
  • 継続雇用を希望しない定年退職者は、54,714人(15.1%)
  • 継続雇用を希望したが継続雇用されなかった者は、569人(0.2%)

なお、人事労務担当者でも、高年齢者雇用確保措置を誤解している方が多いのですが、高年齢者雇用確保措置では65歳まで安定して働ける制度を準備することを求めているのであり、どんな状況にあっても全員を65歳まで雇用しなさいというものではありません。

具体的には、以下の記事で解説していますが、就業規則に継続雇用しない事由を定めておき、その事由に該当すれば、会社は継続雇用を拒否することができます。

関連:継続雇用制度の対象者に関する誤解と正しい情報・継続雇用は拒否できる?

まとめ

冒頭にも書いたとおり、現在、政府では70歳までの就労機会確保のための継続雇用年齢の引き上げが検討されています。

当事務所の顧問先の多くが中小企業ですが、定年や再雇用の話になるとほぼすべての経営者が「優秀な人は年齢関係なく希望するまで働き続けて欲しい、でもそうでない人の継続雇用を求められても困る」と言っており、これは紛れもない本音でしょう。

ただ辞めて欲しい人がいるならそれは年齢の問題ではなく、能力や業務不適正の問題なので人事制度や就業規則の整備により対応する問題とも言えます。

いずれにしても、継続雇用制度の今後の動向は注視しておくべきです。

参考:令和元年「高年齢者の雇用状況」集計結果

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