令和2年の高年齢者の雇用状況の調査結果と定年後の動向をグラフ化

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カテゴリー: 退職 再雇用
タグ: 高年齢者 統計

現在の高年齢者の雇用状況について、厚生労働省が毎年発表している「高年齢者の雇用状況」をグラフ化しました。

なお、このデータは、企業に義務付けられている毎年6月1日時点の高年齢者の雇用状況報告によるもので、従業員31人以上の企業164,151社の状況が集計されています。

高年齢者の雇用状況のまとめ

まず、全体の状況をまとめておくと、多くの会社が高年齢者の雇用に積極的、逆に言えば昨今の人手不足に危機感を感じていることがわかるデータとなっています。

現在の人手不足は景気による一過性の問題ではなく、日本の人口構成の変化といった構造的な問題ですし。

  1. 65歳までの雇用確保措置のある企業は99.9%
  2. 65歳定年企業は18.4%
    • 中小企業では19.2%
    • 大企業では11.9%
  3. 66歳以上働ける制度のある企業は33.4%
    • 中小企業では34.0%
    • 大企業では28.2%
  4. 70歳以上働ける制度のある企業は31.5%
    • 中小企業では32.1%
    • 大企業では26.1%
  5. 定年制廃止企業は2.7%
    • 中小企業では3.0%
    • 大企業では0.6%

このデータで明確ですが、高年齢者が長く働いているのは大企業ではなく中小企業ということです。

高年齢者の雇用確保措置

まず基本的な用語を解説しておきます。

高年齢者の雇用確保措置とは、65歳までの安定した雇用確保のため、企業は以下のいずれかの措置を講じなければならない、というものです(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第9条第1項)。

  1. 定年制の廃止
  2. 定年の引上げ
  3. 継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度等)の導入

なお、継続雇用制度については以下の記事で解説しています。

関連:継続雇用制度とは? 継続雇用制度の2つの種類・企業の導入状況を紹介!

高年齢者雇用確保措置の実施状況(時系列)

高年齢者の雇用確保措置を実施している企業の割合を示したのが以下のグラフです。法律による義務化の影響の大きさがよくわかります。

なお、平成25年に大きく数値が落ち込んでいますが「平成25年4月に制度改正(継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止)があったため、平成24年と25年の数値は単純比較できない。」と調査結果資料に付記されています。

注意

以下は本来であればグラフが表示されます。
もしグラフが表示されていない場合はページの更新をしてください。

従業員数の規模別の高年齢者雇用確保措置の実施状況

参考までに、従業員数の規模別の高年齢者雇用確保措置の実施状況は以下のとおり。

実施済 未実施
31-50人 5,669社、99.8% 90社、0.2%
51-300人 90,295社、99.9% 27社、0.1%
301人以上 17,069社、99.9% 1社、0.1%

以前、たまたま話した経営者に「小さな会社だから、再雇用などの法的義務を求められても困る」と言われたことがありますが、31-50人規模の会社でも、5万を超える会社が義務を果たし、法違反の企業は90社、0.2%しかありません

それに、これからまさしく文字通りの猫の手でも借りたい人手不足の時代が到来します。小さな会社ほどその影響を大きく受けることになるため、考え方を根本から改めた方が良いでしょう

高年齢者雇用確保措置の内訳

高年齢者雇用確保措置の3つのうち、圧倒的に多いのが継続雇用制度の導入で、全体の76.4%と約8割を占めています。

昨年の調査からの変更点として注目すべき点は、以下のとおり、定年の引き上げをしている企業が増えているということです。

  • 31-50人:25.2%(昨年調査では23.9%)
  • 51-300人:19.7%(昨年調査では18.2%)
  • 301人以上:12.5%(昨年調査では11.1%)

会社側に属している人から見ると、定年の引き上げも継続雇用も実態として変わらないと思うかもしれませんが、定年間近の社員から見ると、定年の引き上げと継続雇用には大きな違いがあります

法的にもまったく異なる対応となりますし、超高齢社会、人手不足を見据えた企業の対応と言えるでしょう。この辺りの詳しい解説は顧問先限定にしておきますけど・・・

なお、この調査では、従業員31人~300人規模を「中小企業」、301人以上規模を「大企業」と分類しています。

60歳定年後の継続雇用の動向

そして、本調査で最も興味深かったのが「60歳定年企業における定年到達者等の状況」という調査です。

上のグラフから、

  • 意外と「継続雇用を希望しない定年退職者」が多い:14.4%
  • そして「継続雇用を希望したが継続雇用されなかった者」が想像以上に少ない:0.2%

ことがわかります。割合だけでなく念のため人数を示しておくと、60歳定年企業における定年到達者(363,027人)に対して、

  • 継続雇用された者は、310,267人(85.5%)(うち子会社・関連会社等での継続雇用者は12,932人、3.6%)
  • 継続雇用を希望しない定年退職者は、52,180人(14.4%)
  • 継続雇用を希望したが継続雇用されなかった者は、580人(0.2%)

となっています。なお、人事労務担当者のように制度に詳しいはずの人でも高年齢者雇用確保措置を誤解している方が多いのですが、高年齢者雇用確保措置は、

  • 65歳まで安定して働ける制度を準備することを求めているのであって、
  • どんな状況にあっても全員を65歳まで雇用しなさいというものではありません

具体的には、以下の記事で解説していますが、就業規則に継続雇用しない事由を定めておき、その事由に該当すれば、会社は継続雇用を拒否することができます。

関連:継続雇用制度の対象者に関する誤解と正しい情報・継続雇用は拒否できる?

まとめ

当事務所の顧問先の多くが中小企業ですが、定年や再雇用の話になるとほぼすべての経営者が「優秀な人は年齢関係なく希望するまで働き続けて欲しい、でもそうでない人の継続雇用を求められても困る」と言っており、これは紛れもない本音でしょう。

ただ、辞めて欲しい人がいるならそれは年齢の問題ではなく、能力や業務不適正の問題なので人事制度や就業規則の整備により対応する問題と言えます。

参考:令和2年「高年齢者の雇用状況」集計結果

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