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現在の高年齢者の雇用状況について、厚生労働省の「高年齢者雇用状況等報告」をグラフ化しました。
なお、このデータは、企業に義務付けられている毎年6月1日時点の高年齢者の雇用状況報告によるもので、従業員21人以上の企業237,006社の状況が集計されています。
高年齢者の雇用状況のまとめ
まず、全体の状況をまとめておくと、多くの会社が高年齢者の雇用に積極的、逆に言えば昨今の人手不足に危機感を感じていることがわかるデータとなっています。
現在の人手不足は景気による一過性の問題ではなく、日本の人口構成の変化といった構造的な問題ですし。
- 65歳までの高年齢者雇用確保措置を実施済みの企業は99.9%
- 定年制廃止企業は3.9%
- 301人以上企業:0.7%
- 21-300人の企業:4.2%
- 60歳定年企業:66.4%
- 301人以上企業:77.2%
- 21-300人の企業:65.6%
- 65歳定年企業:23.5%
- 301人以上企業:16.5%
- 21-300人の企業:24.0%
このデータで明確ですが、高年齢者が長く働いているのは大企業ではなく中小企業ということです。
高年齢者雇用確保措置
まず基本的な用語を解説しておきます。
高年齢者雇用確保措置とは、65歳までの安定した雇用確保のため、企業は以下のいずれかの措置を講じなければならない、というものです(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第9条第1項)。
- 定年制の廃止
- 定年の引上げ
- 継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度等)の導入
なお、継続雇用制度については以下の記事で解説しています。
関連:継続雇用制度とは? 継続雇用制度の2つの種類・企業の導入状況を紹介!
高年齢者就業確保措置
高年齢者雇用確保措置に対して、高年齢者就業確保措置もあります。
高年齢者就業確保措置とは、70歳までを対象とした高年齢者雇用確保措置に加え、以下の雇用以外の措置のいずれかの措置を講じることが、令和3年4月1日から努力義務とされているものです。
- 業務委託契約を締結する制度の導入
- 社会貢献事業に従事できる制度の導入
高年齢者雇用確保措置の実施状況(時系列)
高年齢者の雇用確保措置を実施している企業の割合を示したのが以下のグラフです。法律による義務化の影響の大きさがよくわかります。
なお、平成25年に大きく数値が落ち込んでいますが「平成25年4月に制度改正(継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止)があったため、平成24年と25年の数値は単純比較できない。」と調査結果資料に付記されています。
以下は本来であればグラフが表示されます。
もしグラフが表示されていない場合はページの更新をしてください。
高年齢者雇用確保措置の内訳
高年齢者雇用確保措置の3つのうち、圧倒的に多いのが継続雇用制度の導入で、全体の69.2%と約7割を占めています。
- 定年制の廃止は9,275社(3.9%、変動なし)
- 定年の引上げは63,772社(26.9%、1.4ポイント増)
- 継続雇用制度の導入は163,768社(69.2%、1.4ポイント減)
規模が小さい企業の方が、定年の引き上げや定年制の廃止という措置にしており、興味深いところです。
また近年、継続雇用制度から定年の引き上げにスライドしている傾向もデータからわかります。
高年齢者就業確保措置の内訳
高年齢者就業確保措置についても、圧倒的に多いのが継続雇用制度の導入となっています。
- 定年制の廃止は9,275社(3.9%、変動なし)
- 定年の引上げは5,361社(2.3%、0.2ポイント増)
- 継続雇用制度の導入は55,694社(23.5%、1.7ポイント減)
- 創業支援等措置の導入は113社(0.1%、変動なし)
高年齢者就業確保措置については現在努力義務の段階であり、また雇用と非雇用の2つの選択肢があるわけですが、
- 規模の小さい企業の方が導入率が高い
- 継続雇用制度(雇用)が選択されている
という点は興味深いところです。実務的に考えると当然とも言えますが。
まとめ
当事務所の顧問先の多くが中小企業で、定年や再雇用の話になると、ほぼすべての経営者が、
- 優秀な人は年齢関係なく希望するまで働き続けて欲しい
- そうでない人が継続雇用を求められても困る
と言いますが、これが紛れもない本音でしょう。
ただ、辞めて欲しい人がいるなら、それは年齢の問題ではなく、能力や業務不適正の問題なので人事制度や就業規則の整備により対応する問題と言えます。
以下の記事で解説していますが、就業規則に継続雇用しない事由を定めておき、その事由に該当すれば、会社は継続雇用を拒否することができます。
- 毎年のように改正される労働法令への対応に頭を悩ませている
- 総務や経理などの他の業務を兼務しているので、人事労務業務だけに時間を割けない
といった悩みを抱える企業の経営者・人事労務担当者向けに、公開型のブログでは書けない、本音を交えた人事労務に関する情報・ノウハウ、時期的なトピックに関するメールマガジンを「無料」で配信しています。
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