中小企業の退職金制度の調査結果:退職金ありは71%

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分類: 退職金

退職金は、一般的に賃金や賞与と比べて高額であり、トラブルになりやすいことから、きちんと制度設計をしておく必要があります。

そして、制度設計の際には全体的な動向の把握も重要です。

今回は、従業員10〜299人の東京都内の中小企業を対象にした退職金制度の状況をまとめた調査結果を紹介・解説します。

中小企業に特化した退職金制度に関する調査は珍しいため、中小企業の人事労務担当者には大いに参考になるでしょう。

中小企業の退職金制度の有無

退職金制度について「制度あり」と回答した企業は71.3%、「制度なし」と回答した企業は24.2%です。

ウェブサイト上で追える最も古い調査結果となる平成22年の調査では「制度あり」と回答した企業は81.3%でしたので、今回の数値は減少しているのですが、前回の平成28年の調査では「制度あり」と回答した企業が69.8%だったので、前回に比べると上昇しています。

次に「制度あり」と回答した企業の75.9%が「退職一時金のみ」と回答しており、20.6%が「退職一時金と退職年金の併用」と回答しています。

「退職金制度なんて大企業だけのもの」と思い込んでいる中小企業の社長がたまにいますが、それは誤解であることがこの調査結果からわかります。

中小企業における退職金の積立

退職一時金制度の積立方法としては、「社内準備」と回答した企業が64.4%で最も多く、次いで、「中小企業退職金共済制度」と回答した企業が48.5%です。

また、退職年金の場合は、確定拠出企業年金(企業型)、確定給付企業年金がほぼ同じ、その次に、大きく差はありますが厚生年金基金となっています。

退職金の算出方法

退職一時金の算出方法として、圧倒的に多いのが「退職金算定基礎額 × 支給率」。

大きく引き離されて、次が「勤務年数に応じた一定額」、定額制と言われるものです。

退職金制度を人事制度の一部として考えたときに最も効果があるのはポイント制のはずですが、まだまだ一般的ではないようです。

退職金算定基礎額の算出方法

前述のとおり、退職金の算出方法として圧倒的に多かったのが「退職金算定基礎額 × 支給率」ですが、その退職金算定基礎額は、

  • 退職時の基本給:38.1%
  • 退職時の基本給 × 一定率:35.5%

と合計で7割を超えています。

基本給を上げると退職金が増える」とよく言われますが、確かにこの調査結果からもそれがわかります。

基本給と退職金を連動させる必然性はなく、そのように会社が設定しているだけなのですが・・・

退職金受給のための最低勤続年数

退職一時金受給のための最低勤続年数、つまり何年目から退職金の支給対象となるのかという点ですが、調査結果によると「3年」と回答した企業が、自己都合退職(48.8%)、会社都合退職(29.5%)ともに、最も多くなっています。

当事務所でも多くの退職金規程を見ていますが、最低勤続年数を3年としている企業が多いのは経験的にも同じです。

退職金の特別加算制度

退職金の特別加算制度とは、退職金規程によって定められた計算方法にプラスして支給するものです。

退職一時金の特別加算制度をみると、特別加算企業制度がある企業は37.4%で、ない企業は59.9%となっています。

また、特別加算企業制度があると回答した企業の80.2%が「功労加算」、20.1%が「業務上死傷病」となっています。

当事務所がこれまで見てきた退職金規程では、ほとんどの企業で功労加算の規定があったのですが、役員の退職金規程との関連があったのかもしれません。

特別加算企業制度がある企業が少なく正直なところ驚きました。

参考:中小企業の賃金・退職金事情(平成30年版)(東京都労働相談情報センター)

まとめ

賃金や退職金の制度設計の際には、同一業種や同一規模の企業の賃金水準等を参考に、検討することは基本です。

といっても、多くの統計が大企業中心となっており、中小企業に特化した調査結果というのは珍しいのが実情です。

今回の調査結果は、東京都内の中小企業を対象にしていますが、東京都以外の会社にも大いに参考になるものでしょう。

以下の記事で、学歴別・勤続年数別・自己都合/会社都合による退職金の相場の支給額についてまとめているので、併せてご参考ください。

関連:中小企業の退職金相場の調査結果:定年時は約1千万円

また、退職金に関する基礎的な内容については、以下の記事で解説していますのでこちらもご参考ください。

関連:退職金の対象、発生時期等の基礎知識を詳細解説

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