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今回は、継続雇用制度の導入による定年再雇用後の労働条件、特に実務を行う人事労務担当者にとって気になる賃金に関する法規制と調査結果について解説します。
継続雇用制度の導入による労働条件の変更
まず、継続雇用制度の導入による定年再雇用後の労働条件について、法律上の具体的な規制はありません。
そのため、賃金、勤務時間などの労働条件は、会社と社員による当事者同士の合意・決定に委ねられます。
ただ、その際に注意しておくべき法規制として、労働契約法第20条があります。
- 労働契約法第20条(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)
- 有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。
この条文は、有期契約労働者に対する不合理な労働条件の禁止に関する規定です。
そのため、継続雇用制度との直接的な関係はありません。しかし、再雇用制度の場合、1年ごとの嘱託となる会社が多い傾向にあります。
その場合、定年前後の職務内容・責任の程度に変更がなければ、労働条件、特に賃金について、定年後の再雇用という理由だけで賃金を減額してしまうと問題となる可能性が高いことになります。
この点については、昨年人事業界で大きな議論となった裁判をきっかけに、同一労働同一賃金制度に関する議論の中でもまだ検討されている状況です。
継続雇用制度の導入による賃金の変更
定年前後の職務の内容や職務の重要性に応じて、賃金を変更することについては一定の合理性が認められます。
それでは、実態としてどの程度の賃金変更となっているかという点について、東京都が平成24年度に行った「高年齢者の継続雇用に関する実態調査」では、定年時の賃金に比べて5〜7割程度という結果を示しています。
5〜6割未満と6〜7割未満を合計すると45.9%となり、半数近くを占めています。
再雇用後の賃金を検討する際には、年金や公的給付の受給状況を勘案することになりますが、いずれにしても、賃金というのは労働条件の中でも特に大きな比重を占めるものであるため、社員の意欲をあまりにも低下させてしまうようなものにしてしまうと、大きな問題を抱えることになります。
継続雇用者との直接的なトラブルはもちろんですが、現役社員も継続雇用者に対する会社の姿勢を静かに見ているということを忘れないようにしましょう。
まとめ
今回は、継続雇用制度の導入による定年再雇用後の労働条件、特に人事労務担当者にとって気になる賃金に関する法規制と調査結果について解説しました。
なお、継続雇用制度に関しては以下の記事でも解説していますのでご参考ください。
- 毎年のように改正される労働法令への対応に頭を悩ませている
- 総務や経理などの他の業務を兼務しているので、人事労務業務だけに時間を割けない
といった悩みを抱える企業の経営者・人事労務担当者向けに、公開型のブログでは書けない、本音を交えた人事労務に関する情報・ノウハウ、時期的なトピックに関するメールマガジンを「無料」で配信しています。
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