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そもそも試用期間に関して、現行法上、明確な法的規制は存在しません。
そのため、会社によって、試用期間の長さは1か月、3か月、6か月と様々ですし、試用期間に関する定めがない会社もあります。
それでは実態はどうなのか、今回は「従業員の採用と退職に関する実態調査(独立行政法人労働政策研究・研修機構)」の調査結果、裁判例から、試用期間の長さ、限度について解説します。
試用期間の長さは3か月 or 6か月?
以下は本来であればグラフが表示されます。
もしグラフが表示されていない場合はページの更新をしてください。
グラフから、新卒採用・中途採用のいずれも
- 試用期間の長さは3か月が最も多い(新卒:66.1%、中途:65.7%)
- 次に多いのが、6か月以上(新卒:19.8%、中途:18.9%)
とわかります。
試用期間の長さの限度
それでは、試用期間の限度となる長さはどれくらいでしょうか?
この件に関する有名な裁判例がブラザー工業事件です。
この事案は、
- 見習社員としての期間が6か月から1年
- その後に試用期間として6か月から1年の試用期間
が設けられており、試用期間はなんと最長2年になってしまい、いくらなんでも長すぎると判断されたものです。
- ブラザー工業事件(名古屋地判昭和59年3月23日)
-
- 労働者の労働能力や勤務態度を評価するに必要な合理的範囲を超えた長期の試用期間の定めは公序良俗に反し無効
- 「見習社員」から「試用社員」に登用したうえ、6か月ないし1年の試用期間を設ける雇用契約につき、右試用期間に関する特約部分は無効
- 正社員登用試験(勤怠評価)に不合格となったことを理由とする右試用社員に対する解雇は無効
試用期間は14日?
「試用期間は14日ではないのか?」「試用期間は14日以内ならどんな理由でも解雇できるのではないか?」と質問されて、驚いたことがあります。
なまじ労働基準法を少し知っている人ほど誤解しているようです。法律は正しく読みましょう!
労働基準法第21条第1号第4号は、以下のように定められています。
- 労働基準法第21条
-
前条の規定は、左の各号の一に該当する労働者については適用しない。ただし、(略) 第4号に該当する者が14日を超えて引き続き使用されるに至った場合においては、この限りでない。
四 試の使用期間中の者
この「試の使用期間中の者」と、ただし書きの「14日」という部分から、試用期間 = 14日と勘違いする人が意外といます。
この第21条は、その前条である第20条の「解雇の予告」について定めた適用除外です。
つまり、労働者を解雇しようとする場合は、
- 原則として少なくとも30日前に予告をしなければならない(または、30分以上の平均賃金を支払わなければならない)
とされているわけですが、雇用契約から14日以内の「試の使用期間中の者」であれば、解雇の予告は不要としているのが、第21条の趣旨です。
逆に言えば、雇用契約後15日目以降であれば、試用期間中でも当然に解雇予告が必要ということです。
試用期間が14日ということでもなく、14日以内であればどんな理由でも解雇できるわけでもない、ということが理解できたでしょうか?
まとめ
今回は試用期間の長さ、限度期間の裁判例を解説しましたが、試用期間に関するトラブルはかなり多いのが現状です。
以下の記事でまとめていますのでご参考ください。
- 毎年のように改正される労働法令への対応に頭を悩ませている
- 総務や経理などの他の業務を兼務しているので、人事労務業務だけに時間を割けない
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