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屋外で作業をする建設業の方から「雨により現場作業ができないときに休日と取り扱うことは可能か?」という質問を受けることがあります。
労働基準法における休日は0時から12時まで
まず、抑えておくべき点として、一部に例外はありますが、労働基準法における休日とは、
- 暦日の0時から午後12時まで
のこと、つまり暦日単位で見ます(昭23.4.5 基発第535号)。
継続して24時間の労働義務がない時間帯を作ったとしても、休日を与えたことにはなりません。
なお、以下の記事で、労働基準法における休日の定義、例外的な措置について解説しています。
関連:労働基準法における休日の定義、法定休日と所定休日の違い
当日の雨天中止は休日にならない
「雨により現場作業ができないときに休日と取り扱うことは可能か?」という質問者の意図をかみ砕くと、
- 当日の朝になって、雨が降っており、今日の作業はできないから、急遽今日を休日としてよいか?
ということなのでしょうが、これは休日扱いになりません。
- 始業時刻前に雨天中止と決めるなら良いのではないか、仕事はまだしていないし
と思うかもしれませんが、前述のとおり、労働基準法における休日とは暦日の0時から午後12時までです。
つまり、その日の朝の判断、例えば6時や7時などではすでに0時を過ぎており、休日とするには遅いわけです。
雨なので作業ができない、職場にいても仕事がないので帰宅させたい、その場合は「休業」となり、会社は労働基準法第26条に基づき休業手当を支払うことになります。
関連:休業手当の定義・支給基準等の基礎知識、30万円以下の罰則付
前日の判断による雨天中止は休日になる
では、天気予報を見て、前日に「明日は雨の予報なので休日」とする取り扱いは可能なのか?という疑問が生じるかもしれません。
これは、就業規則による根拠が必要となりまが、振替休日を利用することで可能です。
関連:振替休日と代休の違い:運用により賃金額が異なるので要注意
就業規則で休日を「雨の日」とすることは可能?
最後に、面白い行政通達(昭和23.4.26基発第651号、昭和33.2.13基発第90号)を紹介します。
正直、最初は質問の意味がわからず、よくこんな質問を思いつくものだと感心するやら呆れるやら・・・
- 質問:一般に屋外労働者に対しては休日を規定することは非常に困難を伴うが、雨天の日を休日と規定する如きは差し支えないか
-
回答:屋外労働者についても休日はなるべく一定日に与え、雨天の場合には休日をその日に変更する旨を規定するよう指導されたい
この行政通達の質疑応答の内容を解説すると、一般的に、就業規則では以下のように休日について規定されています。
- 土曜日、日曜日
- 国民の祝日に関する法律に定める日
- その他会社が指定する日
この休日の規定について、以下のように定めるのはありか、というのが質問です。
- 雨天
そして、行政通達はこの質問への回答として、
- 平日でも土日でも良いけど「休日はなるべく一定日に与えること」
- そして「雨天の場合には休日をその日に変更する旨を規定する」
つまり振替休日の規定を就業規則に定め、運用することを求めています。
そもそも、雨の日がいつになるかなんて誰もわかりませんし、雨が1週間降らなければ、週に1回という法定休日の義務すら果たせなくなります。
就業規則に「雨天を休日にする」と定めることに何の意味があるのかわかりませんが、色々なことを思いつく人がいるものですね・・・
- 毎年のように改正される労働法令への対応に頭を悩ませている
- 総務や経理などの他の業務を兼務しているので、人事労務業務だけに時間を割けない
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