Work Life Fun

73.2%が違反!長時間労働に対する労働基準監督署の指導事項

作成:
カテゴリー: 労働基準監督署対応
タグ: 統計

長時間労働が疑われる事業場に対する労働基準監督署による指導結果が公表され、調査対象の73.2%の事業場で労働基準関係法令違反が認められたということです。

なお、以下の数字は、令和2年4月から令和3年3月までの監督指導の結果によるものです。

労働基準監督署の指導対象

今回発表された労働基準監督署による監督指導の対象は以下のとおり。

  • 時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると考えられる事業場
  • 長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場

指導対象となった事業場数は24,042、このうち17,594事業場(全体の78.1%)で労働基準関係法令違反があったということです。

なお、たまに「うちのような零細企業に労働基準監督署は調査に来ない」と思っている方がいますが、それは大きな間違いです。

今回の指導対象となった事業場数24,042の内訳は以下のとおりです。

  • 事業場規模 1 - 9人:6,676(27.8%)
  • 事業場規模 10 - 29人:9,739(40.5%)
  • 事業場規模 30 - 49人:3,336(13.9%)
  • 事業場規模 50 - 99人:1,914(8.0%)
  • 事業場規模 100 - 299人:1,638(6.8%)
  • 事業場規模 300人以上:739(3.1%)

円グラフにしてみると一目瞭然ですが、指導対象の約8割が50人未満の事業場(円グラフの緑の部分)となっており、むしろ小規模の企業こそ指導の対象となっている状況です。

注意

以下は本来であればグラフが表示されます。
もしグラフが表示されていない場合はページの更新をしてください。

1. 違法な時間外労働

ここからは労働基準監督署による指導事項と違反内容を見ていきます。

まず、違法な時間外労働があったとして是正勧告を受けたのが、8,904事業場で対象の37.0%。

そのうち、時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が

  • 月80時間を超えるもの:2,982事業場(33.5%)
    • うち、月100時間を超えるもの:1,878事業場(21.1%)
    • うち、月150時間を超えるもの:419事業場( 4.7%)
    • うち、月200時間を超えるもの:93事業場( 1.0%)

となっています。違法な時間外労働というのは、

  • 36協定を締結していない
  • 36協定を締結してもその上限の時間数を超えている
  • 法定の時間外・休日労働の上限時間(月100時間未満、複数月平均80時間)を超えている

といったものです。

ちなみに是正勧告を受けると、一定の期限内に是正した結果を報告する必要があります。

2. 賃金不払残業

賃金不払残業があったとして是正勧告を受けたのが、1,551事業場で対象の6.5%。

賃金不払残業の説明は必要ないでしょう。時間外労働・休日労働をさせたのにその分の賃金を払っていないということです。

なお、この数字に計算誤り等は含まれていません。つまり「そもそも払うつもりがなかった」という悪質な違反がこの数字です。

3. 過重労働による健康障害防止措置が未実施

過重労働による健康障害防止措置が未実施であったとして是正勧告を受けたのが、4,628事業場で対象の19.2%。

このうち、健康障害防止のため指導票を交付した事業場として

  • 過重労働による健康障害防止措置が不十分なため改善を指導したもの:9,676事業場(40.2%)
  • 労働時間の把握が不適正なため指導したもの:4,301事業場(17.9%)

となっています。

そもそも、なぜ「時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると考えられる事業場」が労働基準監督署の指導対象となっているかという点にも関係しますが、

  • 脳・心臓疾患の発症前1か月間におおむね100時間
  • または発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外・休日労働が認められる場合

は、業務と発症との関連性が強いとの医学的知見があります。

そのため、長時間労働の風土がある会社は、時間外・休日労働を月80時間以内に抑えること、また、それ以前に客観的な労働時間の把握が重要となります。

なお「過重労働による健康障害防止措置」は人事労務初心者にはわかりにくいかもしれません。

過重労働による健康障害防止措置の主な違反は以下のとおりです。

  • 衛生委員会を設置していない(労働安全衛生法第18条違反)
  • 健康診断を行っていない(労働安全衛生法第66条違反)
  • 申出があったにもかかわらず、医師による面接指導を実施していない(労働安全衛生法第66条の8違反)
  • 客観的な方法その他の適切な方法により労働時間の状況を把握していない(労働安全衛生法第66条の8の3違反)

まとめ

発表内容の最後は以下の文言で締めくくられています。

  • 今後も長時間労働の是正に向けた取組を積極的に行うとともに、11月の「過重労働解消キャンペーン」期間中に重点的な監督指導を行います

残業が恒常化している企業は業務改善など対応が急務です。

長時間労働が蔓延し、仕方ないと割り切っているような時代遅れの会社もまだまだあるようですが、そんな会社は徹底的に指導を受けることになります。

参考:長時間労働が疑われる事業場に対する令和2年度の監督指導結果を公表します

【無料】毎月1回、効率的に人事労務の情報を入手しませんか?

  • 毎年のように改正される労働法令への対応に頭を悩ませている
  • 働き方の見直しといっても、具体的な実務でどう対応すれば良いかわからない
  • 総務や経理などの他の業務を兼務しているので、人事労務業務だけに時間を割けない

といった悩みを抱える経営者・人事労務担当者向けに、公開型のブログでは書けない本音を交えた、人事労務に関する情報・ノウハウ、時期的なトピックをメールマガジンを配信しています。

過去の配信分は公開しません。情報が必要な方は、いますぐ以下のフォームから購読の登録をしてください。購読して不要と思ったら簡単に解除できますのでご安心ください。

なお、あべ社労士事務所では、信頼できる社労士仲間を増やしていきたいという想いから、社労士が業務を行う上で役立つ情報提供も行っています。ご関心があればこちらをクリックしてご登録ください。