69.6%が違反!長時間労働に対する労働基準監督署の指導事項

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長時間労働が疑われる事業場に対する労働基準監督署による指導結果が公表されています。

結果は、調査対象の69.6%の事業場が法違反

労働基準監督署の指導対象

労働基準監督署の指導対象は以下のとおり。

  • 時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると考えられる事業場
  • 長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場

指導対象となった事業場数は29,097、このうち20,244事業場(全体の69.6%)で労働基準関係法令違反があったということです。

なお、たまに「うちのような零細企業に労働基準監督署は調査に来ない」と思っている方がいますが、それは大きな間違いです。

今回の指導対象となった事業場数29,097の内訳は以下のとおりです。

  • 事業場規模1 - 9人:7,128(24.5%)
  • 事業場規模10 - 29人:9,983(34.3%)
  • 事業場規模30 - 49人:4,575(15.7%)
  • 事業場規模50 - 99人:3,409(11.7%)
  • 事業場規模100 - 299人:2,824(9.7%)
  • 事業場規模300人以上:1,178(4.0%)

指導対象の約7割が50人未満の事業場となっています。むしろ小規模の企業こそ指導の対象となっている状況です。

1. 違法な時間外労働

ここからは労働基準監督署による指導事項と違反内容を見ていきます。

まず、違法な時間外労働があったとして是正勧告を受けたのが、11,766事業場、対象の40.4%。

そのうち、時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が

  • 月80時間を超えるもの:7,857事業場(66.8%)
    • うち、月100時間を超えるもの:5,210事業場(44.3%)
    • うち、月150時間を超えるもの:1,158事業場( 9.8%)
    • うち、月200時間を超えるもの:219事業場( 1.9%)

となっています。違法な時間外労働というのは、

  • 36協定を締結していない
  • 36協定を締結してもその上限の時間数を超えている

といったものです。

ちなみに是正勧告を受けると、一定の期限内に是正したという報告を提出する必要があります。

2. 賃金不払残業

賃金不払残業があったとして是正勧告を受けたのが、1,874事業場、対象の6.4%。

賃金不払残業の説明は必要ないでしょう。残業させたのにその分の賃金を払っていないということです。

なお、この数字に計算誤り等は含まれていませんので、払うつもりがそもそもなかったという悪質な違反がこの数字です。

3. 過重労働による健康障害防止措置が未実施

過重労働による健康障害防止措置が未実施であったとして是正勧告を受けたのが、3,510事業場、対象の12.1%。

このうち、健康障害防止のため指導票を交付した事業場として

  • 過重労働による健康障害防止措置が不十分なため改善を指導したもの:20,526事業場(70.5%)
    • このうち、時間外・休日労働を月80時間以内に削減するよう指導したもの: 11,632事業場(56.7%)
  • 労働時間の把握が不適正なため指導したもの:4,752事業場(16.3%)

となっています。

そもそも、なぜ「時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると考えられる事業場」が労働基準監督署の指導対象となっているかという点にも関係しますが、

  • 脳・心臓疾患の発症前1か月間におおむね100時間
  • または発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外・休日労働が認められる場合

は、業務と発症との関連性が強いとの医学的知見があります。

そのため、長時間労働の風土がある会社としては、時間外・休日労働を月80時間以内に抑えること、また、それ以前に客観的な労働時間の把握が重要となります。

なお「過重労働による健康障害防止措置」は人事労務初心者にはわかりにくいかもしれません。

過重労働による健康障害防止措置の主な違反は以下のとおりです。

  • 衛生委員会を設置していない(労働安全衛生法第18条違反)
  • 健康診断を行っていない(労働安全衛生法第66条違反)
  • 医師による面接指導を実施していない(労働安全衛生法第66条の8違反)
  • 心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)を行っていない(労働安全衛生法第66条の10違反)

まとめ

発表内容の最後は以下の文言で締めくくられています。

  • 今後も長時間労働の是正に向けた取組を積極的に行うとともに、11月の「過重労働解消キャンペーン」期間中に重点的な監督指導を行います

残業が恒常化している企業は業務改善など対応が急務です。来年4月からは中小企業も時間外労働の上限規制も始まりますし。

一方、長時間労働が蔓延し、仕方ないと割り切っているような時代遅れの会社もまだまだありそうです。

そんな会社は徹底的に指導を受けることになりますが、特に11月にはご注意ください。

参考:長時間労働が疑われる事業場に対する平成30年度の監督指導結果を公表します(厚生労働省)

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