年次有給休暇の出勤率の計算方法と実務上の注意点

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年次有給休暇は、従業員の権利として法律上当然に付与されるものですが、以下の2つの条件があります。

  1. 雇われた日から6か月(その後は1年ごと)継続勤務していること
  2. その期間の中の全労働日の8割以上出勤したこと(8割以上の出勤率)

2つ目の条件「8割以上の出勤率」について、意外と実務的に間違いが多いため、今回は出勤率の計算方法と実務上の注意点を解説します。

年次有給休暇の出勤率の計算方法

年次有給休暇の出勤率の計算方法は、以下のように計算されます。

  • 出勤率(%) = 出勤日数 / 全労働日 × 100

計算式自体は簡単です。

ただし、出勤日数・全労働日に何を含めるのか・何を含めないのかという点で間違いが多いので注意が必要です。

なお、 8割未満の出勤率の場合の実務について、たまに質問されるので補足解説しておきます。

8割以上の出勤率が年次有給休暇の付与の条件になっている、逆に言えば、8割未満の出勤率の者には年次有給休暇の権利が発生しないということです(昭和22年11月26日付け基発第389号)

例えば、入社後6か月継続勤務し、その6か月間は出勤率8割を満たしていれば、年次有給休暇として10日の権利が発生します。

次に継続勤務1年6か月になったとき、通常であれば年次有給休暇として11日の権利が発生しますが、もし出勤率が8割未満であれば、年次有給休暇の権利は発生せず0日となります。

年次有給休暇の出勤率の計算時に出勤日数に含める日

出勤日数は、実際に出勤した日だけではありません。

以下の期間は、実際には出勤していないわけですが、労働基準法第39条第8項に基づき、出勤扱いとし、出勤日数に含めなければなりません。

  1. 業務上の傷病により療養のため休業した期間
  2. 産前産後の休業期間
  3. 育児・介護休業法に基づく育児休業・介護休業期間
  4. 年次有給休暇を取得した日
  5. 使用者の責によって休業した日

なお、「介護休業」と「介護休暇」を混同しがちですが、この2つは法律上異なる別のものですし、実務的には日数が違います。「介護休業」は出勤扱いとしなければなりませんが、「介護休暇」は出勤扱いとする必要はありません

単なる「休業と休暇」という言葉の違いに感じるかもしれませんが、このような場面で影響が出てきますので法律用語は正しく押さえておきましょう。

労働基準法第39条第8項
労働者が業務上負傷し、または疾病にかかり療養のために休業した期間、育児休業または介護休業をした期間、産前産後の女性が休業した期間は出勤したものとみなす。

年次有給休暇の出勤率の計算時に全労働日から除外する日

次に、分母の「全労働日」ですが、これは労働義務が課せられている日を意味します。

具体的には労働協約や就業規則で定められた労働日であり、一般的には、総歴日数から所定の休日を除いた日になります。

そのため、以下の3・4にもあるとおり、休日労働をしたとしても、その休日は全労働日には含まれません(昭和63年3月14日付け基発第150号)があります。

全労働日から除外する期間は以下のとおりです。

  1. 使用者の責に帰すべき事由によって休業した日
  2. 正当なストライキその他の正当な争議行為により労務が全くなされなかった日
  3. 休日労働させた日
  4. 法定外の休日等で就業規則等で休日とされる日等であって労働させた日
  5. 公の職務による休暇日(裁判員休暇)

遅刻・早退に関する出勤率の取り扱い

遅刻・早退は、労働時間の一部を就労しないものですが、出勤自体はしています。

年次有給休暇の出勤率の計算は労働日を単位として見ます。そのため、出勤率の計算では、遅刻・早退は欠勤として取り扱うことは認められていませんので、「出勤日数」に含めてください

労使で自由に決めることができる休暇・休業

実務上よく問題になる以下の休暇・休業については、法令による規制がなく、行政解釈においても労使で自由に定め得るものとされており、出勤日数や全労働日に含める・含めないを自由に決めることができます。

  • 生理休暇
  • 会社が就業規則で定める法定以外の特別休暇(慶弔休暇など)
  • 通勤災害による休業

まとめ

年次有給休暇の日数は、今回解説した出勤率の計算によって異なります。

特に「出勤日数」は、実際に出勤していないため、含めることを忘れがちなのでご注意ください。

参考:年次有給休暇の詳細解説 - 対象、発生条件、付与日数、罰則

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