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子の看護休暇の対象者・日数・取得単位・賃金等の基礎知識

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育児をしている従業員を支援するための法制度の1つである「子の看護休暇」の対象者・日数・取得単位・賃金などに関する基礎知識を解説します。

子の看護休暇とは

子の看護休暇とは、6歳までの子を養育する従業員が、怪我、病気、予防接種など、子の世話を行うために取得できる休暇制度です。

「6歳までの子」と書きましたが、法律のとおりに正確に説明すると以下のとおりです。

  • 6歳の誕生日の含まれる年度の3月末日までの子

そして、子の看護休暇は、以下の目的で取得できます。予防接種には、予防接種法に定める定期の予防接種以外のもの、例えばインフルエンザの予防接種も含まれます。

  • 子の体調不良、病気、ケガ
  • 子の通院
  • 乳幼児健診
  • 子の予防接種
育児・介護休業法 第16条の2(子の看護休暇の申出)
小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者は、1の年度において5労働日(その養育する小学校就学の始期に達するまでの子が2人以上の場合にあっては、十労働日)を限度として、負傷し、若しくは疾病にかかった当該子の世話又は疾病の予防を図るために必要なものとして、当該子の世話を行うための休暇(以下「子の看護休暇」という。)を取得することができる。

そして会社は、従業員から子の看護休暇の申出があった場合、業務の繁忙などを理由に拒むことはできません。

育児・介護休業法 第16条の3(子の看護休暇の申出があった場合における事業主の義務等)
事業主は、労働者から子の看護休暇の申出があったときは、拒むことができない。

子の看護休暇の対象者:申出ができる従業員の条件

子の看護休暇は、正社員やパートなど雇用区分にかかわらず、原則としてすべての従業員が取得できます。ただし、以下に該当する従業員は子の看護休暇の申出ができません。

  1. 日雇い労働者
  2. 入社6か月未満の労働者(労使協定が必要)
  3. 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者(労使協定が必要)
  4. 半日単位・時間単位で子の看護休暇を取得することが困難と認められる業務に従事する労働者(労使協定が必要)

ただし、4に該当する従業員は、できないのは半日単位・時間単位の取得ができないだけであって、1日単位の子の看護休暇の取得は可能です。会社は1日単位の取得の申出があれば拒否できません

また、2〜4の条件は労使協定が必要であり、労使協定を締結していなければ会社は拒否できません。

上の条件以外、例えば「有期契約労働者、配偶者が専業主夫・主婦の場合は認めない」など会社が独自に子の看護休暇を取得できない条件を設定することは法違反となります。

子の看護休暇の日数

子の看護休暇の日数は、年5日、子が2人以上の場合は最大10日です

対象となる子が3人いても日数は10日が限度です。

そして会社は、年次有給休暇の日数と別に、子の看護休暇を付与しなければなりません。

例えば、年次有給休暇の日数が20日ある従業員の場合、20日(年次有給休暇) + 5日(子の看護休暇)= 合計25日の休暇日数となります。

子の看護休暇の取得単位

子の看護休暇の取得単位は、1日または1時間単位です。

時間単位の取得が可能となったのは2021(令和3年)1月1日からです。以前は1日または半日単位の取得が義務でした。

もちろん、1日単位、半日単位、時間単位の取得のすべてを会社として認めても構いませんが、時間単位の取得が可能な場合、あまり半日単位の取得のニーズはないでしょう。実際、勤務時間で午前と午後の時間が半々でない場合、半日単位の取得には以下のような工夫が必要になります。

  • 労使協定によって異なる時間数を半日と定める
  • 半々となるように時間調整を行う
  • 時間単位の取得を認める

子の看護休暇の時間単位の取得については、以下の記事で解説していますのでご参考ください。

関連:令和3年1月より⼦の看護休暇・介護休暇は時間単位でも取得可能

子の看護休暇中の賃金

育児休業と同様、会社は、子の看護休暇を取得する従業員に対して賃金を支払う義務はありません

もちろん、有給でも構いませんが、中小企業に限らず大企業でも賃金なしという会社が多い印象です。

無給にすると、従業員は「子の看護休暇」ではなく「年次有給休暇」を利用したいという要望があるかもしれませんが、どちらを利用するかは従業員に任せましょう。

ただし、有給・無給は会社の裁量次第ですが、後々のトラブルを防ぐために、就業規則にきちんと規定しておくことが大事です

なお、子の看護休暇を取得した従業員に対して、賞与、昇給等で不利益な算定を行うことは禁止されています(育児・介護休業法第16条の4)。

まとめ

当事務所で従業員に対して就業規則の説明を行うと、最も多く質問を受けるのが休暇・休業制度です。

休暇は就業規則の絶対的必要記載事項であり、指針でも、子の看護休暇制度について就業規則に規定することが求められています。実務的には、多くの会社が、就業規則と別に育児・介護休業規程を整備しているはずです。

従業員の関心が高い内容であり、法律に沿った運用をしておかなければ違反になるため、この機会に、就業規則と育児・介護休業規程をきちんと見直しておきましょう。

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