裁量労働制の不適正な運用が認められた企業への指導及び公表基準

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法の趣旨を大きく逸脱し裁量労働制を悪用する会社が後を絶たないということで、国は指導・企業名を公表する基準を示しています。

裁量労働制とは

裁量労働制は、労働基準法の定めるみなし労働時間制のひとつとして位置づけられています。

裁量労働制が適用された従業員は、実際の労働時間とは関係なく、労使であらかじめ定めた時間働いたものとみなされます。

ただし、どんな従業員にも適用できるわけではなく、業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に従業員の裁量にゆだねる必要がある業務に限られます。

適用業務の範囲は厚生労働省が定めた業務に限定されており、裁量労働制には「専門業務型」と「企画業務型」があります。

企業への指導及び公表基準の対象企業

まず、今回の方針の概要として、行政通達(H31.1.25付基発0125第1号)には以下のように記載されています。

今回の対象は、中小企業に該当しない企業であって、複数の事業場を有する企業ということですが、社会的に影響力の大きいという部分が気になるところです。

  • 複数の事業場を有する社会的に影響力の大きい企業(中小企業に該当しない企業)において、裁量労働制の不適正な運用が認められた場合、
  • 本社を管轄する局長から、当該企業の経営トップに対して、早期に全社的な是正を図るよう指導を行うとともに、
  • 指導を行った事実を公表

そして、今回の方針の目的は以下のとおりです。

  • 経営トップが当該企業の裁量労働制の不適正な運用の問題点を十分理解した上で、
  • 自ら率先して、全社的な早期是正に向けた取組を行い、当該企業全体の法定労働条件の履行確保を図るようにするもの

なお書きとして以下の内容も加えられています。

  • 当該取組における公表は、その事実を広く社会に情報提供することにより、
  • 他の企業における遵法意識を啓発し、
  • 法令違反の防止の徹底や自主的な改善を促進させ、
  • もって、同種事案の防止を図るという公益性を確保することを目的とし、
  • 対象とする企業に対する制裁として行うものではないこと。

裁量労働制の不適正な運用実態

今回の方針の概要は上の図のとおりですが、不適正な運用実態については以下のように基準が示されています。

  1. 裁量労働制の対象労働者の概ね3分の2以上について、対象業務に該当しない業務に従事していること。
  2. 上記1に該当する労働者の概ね半数以上について、労働基準法第32・40条(労働時間)、35条(休日労働)又は37条(割増賃金)の違反が認められること。
  3. 上記2に該当する労働者の1人以上について、1か月当たり100時間以上の時間外・休日労働が認められること。

2の違反内容は、大まかに説明すると以下のような事案があった場合です。

  • 第32・40条違反 : 時間外・休日労働協定(36協定)で定める限度時間を超えて時間外労働を行わせている等
  • 第35条違反 : 36協定に定める休日労働の回数を超えて休日労働を行わせている等
  • 第37条違反 : 時間外・休日労働を行わせているにもかかわらず、法定の割増賃金を支払っていない等

経営トップに対する指導及び企業名の公表

今回の対象は、不適正な運用実態が組織的に複数の事業場で認められる場合です。

そのため、企業が裁量労働制を相当数の労働者に適用している場合、当該企業の代表取締役などの経営トップが、本社を管轄する労働局へ呼び出され、早期に法違反の是正に向けた全社的な取組を実施することを求める指導書を交付されます。

そして、その指導を受けるとともに、以下の内容が公表されます。

  • 企業名
  • 裁量労働制の不適正な運用、それに伴う労働時間関係違反等の実態
  • 局長から指導書を交付したこと
  • 当該企業の早期是正に向けた取組方針

参考:裁量労働制の不適正な運用が認められた企業への指導及び公表について(厚生労働省ウェブサイト)

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