新卒の離職率は3〜6割! 不動のワースト5の業界:H30データ

「新卒の3人に1人が3年以内に退職している」とよく言われますが、それは大卒に限った話であることをご存知ですか? データを用いて解説します。

厚生労働省は、2018年10月に、最新の「新規学卒者の3年以内の離職状況」を公表しています。

なお、発表されている最新データは、平成27年3月卒業者が対象となっています。

学校別の離職率は以下のとおりです。

  • 大学卒:31.8%
  • 短大卒:41.5%
  • 高校卒:39.3%
  • 中学卒:64.1%

「新卒の3人に1人が3年以内に退職している」とよく言われますが、実は大卒に限った話で、中卒の場合は、なんと64%、簡単に言えば3人に2人は3年以内に離職しているということです。

離職率の定義

まず、離職率の定義について、Wikipedia「離職率」を引用します。

離職率は、ある時点で仕事に就いていた労働者のうち、一定の期間(たとえば、ひと月、ないし、1年なり3年)のうちに、どれくらいがその仕事を離れたかを比率として表わす指標。

この値が極端に高ければ、労働者がその仕事に定着しにくく、入れ替わっていくことが常態化していることが含意され、逆に極端に低ければ、労働者がその仕事に定着し、転職や産業間の労働力移動が行なわれにくくなっていることが示唆される。

つまり、離職率の定義は以下のようになります。

離職率の定義
一定の期間内でどれくらいの割合の社員が辞めたのかを示す率

「新卒の3人に1人が3年以内に退職している」とよく言われますが、この定義が示すように、離職率に関して、期間が3年と決まっているわけではありません。

また、最近は、企業が自社のウェブサイトで離職率を示していることがありますが、どれくらいの期間における離職率なのかを確認することは重要です。

1年以内の離職率が低くても、期間を長く設定すると、離職率が高くなる場合があります。

10人が入社して1年間は1人だけ退職、しかし3年の間に9人退職したとなれば、1年以内の離職率は10%ですし、3年以内の離職率は90%です。

極端な例を出しましたが、企業が自社のウェブサイトで離職率を示していても、期間が記載されていなければ離職率の比較はできないということです。

3年以内の離職率に関する統計結果

それでは「新規学卒者の3年以内の離職状況」をグラフにして見ていきます。

新規学卒者の卒業後3年以内離職率

新卒の3人に1人は3年以内に辞めると言われますが、確かに、大卒の場合の離職率は3割です。

しかし、短大卒・高卒の場合は10人のうち4人中卒になると10人のうち6-7人が3年以内に離職するという高い数値になっています。

ここで興味深いのは、いずれも1年以内の離職率が最も高いということです。

以下のグラフは3年以内の離職率のうち、1年目、2年目、3年目の離職率を示したものです。

大卒の場合、3年以内の離職率は31.8%ですが、実はそのうちの4割弱の11.9%、中卒に関しては3年以内の離職率64.1%の7割弱の42.6%が、1年以内に離職しています。

つまり、企業の視点から離職対策を考えたとき、

最初の1年が大事であり、1年以内に離職させないための対策を講じることが重要

になるということです。

事業所規模別・卒業後3年以内の離職率

次に、事業所の規模別の離職率を見てみます。なお、ここからは大卒の離職率を取り上げていきます。

規模が大きくなると離職率が下がっています。

イメージどおりとも言える統計結果ですが、それでは、なぜ規模が大きくなると離職率が下がるのでしょうか?

あくまで私の推測ですが、人数が多いことで、人間関係が多層化し、結果的に離職するかどうか悩む人についても相談相手がいて、フォローが行き届き、離職を思いとどまる人がいる、ということかと考えます。

どんな組織でも、良い人もいれば悪い人もいます。

ただ、人数が多ければ、その人と付き合わなくても日々の仕事をこなすことができる、仮に嫌なことがあっても、フォローしてくれる人がいる、そんなところでしょう。

もちろん、意識的に離職率を下げるための対策を講じている企業はたくさんあるでしょうし、そんな企業は離職率も低く、優秀な人材も逃すことなく確保できていることは間違いないです。

産業別・卒業後3年以内の離職率

最後に、産業別・業種別の離職率を見てみます。平均よりも離職率の高い業種については紫色にしています。

こうして見ると離職率の高い業種って多いですね・・・

このうち、離職率ワースト5となる産業は以下のとおりです(その他は除外してます)。

業種 離職率
宿泊業・飲食サービス業 49.7%
教育・学習支援業 46.2%
生活関連サービス業・娯楽業 45.0%
医療、福祉 37.8%
小売業 37.7%

なんと、宿泊業・飲食サービス業の離職率は49.7%、つまり2人に1人は3年以内に離職、そして毎年ワースト1位です。

それ以降の順位は毎年細かく入れ替わっていますが、このワースト5の業種は不動なんですよね・・・

ちなみに、生活関連サービス業・娯楽業というのはわかりにくいかもしれません。

こういった産業別については、標準産業分類というものに基づくことになっており、この生活関連サービス業・娯楽業には、かなり雑多ではありますが、以下の業種が含まれています。

  • 洗濯、理容美容
  • 旅行業
  • 家事サービス
  • 冠婚葬祭業
  • 結婚相談業など

離職防止対策

それでは、企業ができる離職防止対策はどのようなものでしょうか?

すぐに思いつくのは、賃金や賞与などの報酬アップですが、それは短期的な対策に過ぎません。

中長期的に考えると、結局は、社員に職場を好きになってもらうしかありません。

「仕事は好きであり、誇りを感じる、でも職場は嫌い」というのは特に専門職が多い病院などでよく聞く言葉ですが、社員にとって快適な職場を目指していくのが遠回りに見えて、結局は近道です。

以下の記事で「1,200人が答えた理想の職場とは?」というアンケート結果を紹介していますがその結果で明らかになったのは、賃金、有給休暇といった労働条件面以上に、社内の人間関係、風通しの良さといった部分が職場には求められているということです。

https://worklifefun.net/ideal-workplace-from-research/

もちろん、これは統計なので、あなたの会社にすぐに当てはまるとは限りません。最も良い方法は、職場アンケートなどを通じて社員に直接聞くことです。

経営者であれば、顧客満足度(CS: Customer Satisfaction)という言葉はご存知でしょうが、従業員満足度(ES:Employee Satisfaction)という言葉はいかがでしょうか?

https://worklifefun.net/between-es-and-cs/

そして、社員1人ひとりがどのような欲求を持っているのか見極めることが大事です。

以下の記事では、マズローの欲求5段階説を紹介していますが、欲求の段階というのは人によって異なります。まずは生活を安定させるために給料を上げて欲しいという人もいれば、給料ではなく他人に認められたいという欲求が強い人もいます

https://worklifefun.net/maslow-and-hrpolicy/

つまり、経営者や管理職が重視すべき点は、社内のコミュニケーションをいかに円滑にするかという点になります。

人手不足となると、すぐに採用と考えがちですが、今いる社員に離職される方が経営上損失が大きくなります。

野球でも、強いチームは得点力を上げることよりも、まずは不要な失点を抑えることを重視します。

社員のモチベーション管理を含めて、まずは人材の流出を抑えることを第一に考えてみませんか?

https://worklifefun.net/motivation-up-with-other-way/

そして、行った対策をきちんと全社的に制度として浸透させるために、就業規則や規程など書面化して整備しておくことが大事です。

対策を実施して効果を上げても、制度として整備することを疎かにして、一部の部署だけで職場環境が向上し、他の部署では相変わらず・・・といったもったいない事例もよく見ます。

https://worklifefun.net/company-rules/

内定率が低い = 離職率が高い?

なお、この統計には、最後に気になる文章が付け加えられています。

それは、「内定率が低いときに卒業した者の3年以内離職率は高くなる傾向がある」という文章です。

つまり、内定率が低い = 競争が激しいときほど、ミスマッチが起こりやすくなるということです。

中小企業の立場としては、ようやく人材を確保し、時間をかけて育て、いよいよ戦力として期待できるような「人財」になったと思ったら、逃げられた・・・とならないように、戦略的な人事制度を構築しておくことが必要です。

コミュニケーションの重要性はあらゆるところで叫ばれていますが、それでは、経営の観点から組織的にコミュニケーションをどのように促進するか検討していますか?

コミュニケーション経営を行うことで人を育て組織を伸ばす、過去の事例を含め系統立てた解説がなされているため、以下の本はオススメです。

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