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3月2日の産経WESTに以下の記事が掲載されていました。
大阪市大正区の医療法人常磐会が運営する「ときわ病院」(同区)が病棟を閉鎖し、従業員の大半が給与が未払いのまま離職したことが1日、関係者への取材で分かった。未払いの対象は約100人で、総額数千万円に上るとみられる。病院は院長と残留した従業員で外来診療のみを継続。退職者らから相談を受けた大阪労働局は、労働基準法違反の疑いもあるとみて調査を始めたもようだ。
関係者によると、ときわ病院では昨年12月に病棟が閉鎖されたのに伴い、勤務していた約100人のうち、入院患者に対応していた看護師や事務員ら大半の従業員が離職。残った人員で外来診療を続けているが、離職者に対して11月25日に支給されるはずだった給与が未払いのままとなっている。さらに、残留した従業員は12月以降も未払いの可能性があるという。
この人手不足の時代に、人を大事にしない組織というのは時代を読めていないわけですから、淘汰されても構わない存在です。
ドラッカーも著書の中で以下のように述べています。まさにこの言葉が象徴される出来事が発生したわけです。しかも、社会的に必要な存在とされる病院で。
企業は、社会と経済のなかに存在する被創造物である。社会や経済は、いかなる企業をも一夜にして消滅させる力を持つ。
企業は、社会や経済の許しがあって存在しているのであり、社会と経済が、その企業が有用かつ生産的な仕事をしていると見なすかぎりにおいて、その存在を許されているにすぎない。
もちろん経営難による苦渋の決断という部分はあるのでしょうが、それは経営センスの問題であって、払うべき賃金を払わなくても良い理屈には全くなりません。
ただ、日本は既に超高齢社会となっており、総務省が発表した2013年9月時点の推計人口によると、総人口に占める65歳以上の割合は25.0%と過去最高を更新、人口の4人に1人が高齢者となっています。
医療機関というのは地域にとっても大切な存在なわけです。
ちなみに、超高齢者などの定義は以下のとおりです(Wikipediaより)
- 高齢化社会→高齢化率7-14%
- 高齢社会→同14-21%
- 超高齢社会→同21%-
記事では、「病院は院長と残留した従業員で外来診療のみを継続」とありますが、病院名まで出ていますし、地域の方は今後も行くんでしょうか。。。
通い慣れた方は行かざるを得ないかもしれませんが、少なくとも応援はしないでしょうね。
というより多くの元従業員はその近辺に住む方でしょうから多くの恨みを買っているでしょうし。給与を払わない、約100人の離職ですから。。。きっとこの病院はもう終わりですね。。。
※2016/9/7追記
この記事を書いた当時、「きっとこの病院はもう終わりですね」と書きましたが、本当に終わりました。
退職した労働者の方が未払賃金立替払制度を利用できるならまだ救われますね。
大阪の医療法人常磐会「ときわ病院」10日に閉鎖へ…給料未払い“事実上の倒産”
医療法人常磐会が運営する「ときわ病院」(大阪市大正区)が看護師や事務員ら約100人の給与を支払わないとして、大阪労働局が同病院を捜索した問題で、病院が10日を最後に閉院し、従業員を全員解雇することが分かった。昨年12月に入院患者の受け入れを停止した後も継続していた外来診療を終了し、保健所に廃止を届け出る。
労働局と大阪西労働基準監督署は7月13日、職員約100人に昨年11月の給与計約2千万円を支払わなかったとして、最低賃金法違反と労働基準法違反の疑いでときわ病院を捜索した。病院は昨年12月、スタッフ不足を理由に入院患者の受け入れを中断し、従業員の大半が離職。外来診療を続けるために必要な人員だけが残留していた。
関係者によると、病院側は今月10日で外来も終了する方針を固め、すでに職員に解雇と病院閉鎖の方針を伝えた。
企業倒産により退職した労働者に対しては、国が未払い賃金の8割を立て替え払いする制度がある。ときわ病院の場合、昨年12月の大量離職から6カ月以内に常磐会が倒産(破産、民事再生などの申請)していないため、大阪西労基署が閉院により「事実上の倒産」を認定することで、元職員らは救済を受けられることになる。
※2016/12/14追記
破産手続き中となっていますが、書類送検までされています。
借金があったということですが、賃金未払い→大量離職→閉鎖・全員解雇→書類送検と、典型的な最悪の結末ですね。
事業の失敗はともかく、書類送検までされていたら、今後の復活は難しいでしょうね。
大阪の病院、医師らに給与5600万円不払い
医療法人常磐会(大阪市大正区、破産手続き中)が、運営していた「ときわ病院」の看護師や栄養士ら9人に昨年11月分の給与計約300万円を支払わず、大阪府の最低賃金を下回ったとして、大阪西労働基準監督署は13日、同法人と男性院長(55)を最低賃金法違反容疑で大阪地検に書類送検したと発表した。12日付。
発表では、常磐会は医師ら114人に対し、昨年11月分 - 今年2月分の給与計5600万円の不払いがあったという。
YOMIURI ONLINE 2016/12/13 ←リンク切れ
- 毎年のように改正される労働法令への対応に頭を悩ませている
- 総務や経理などの他の業務を兼務しているので、人事労務業務だけに時間を割けない
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