※当サイトはリンクに広告ページが含まれている場合があります
過去の職歴もあって、労働基準監督署の調査対応に関するご相談を多く受けます。
今回は、労働基準監督署の調査対応に関する3つのポイントを解説します。なお、一般的な用語として「調査」と書いていますが、正確には「臨検監督」という用語になります。
労働基準監督署とは?
まず、労働基準監督署とは、厚生労働省が管轄する組織です。全国47都道府県に都道府県労働局があり、各労働局の傘下に労働基準監督署があります。
県の組織と誤解している方がいますが、国の組織です。そのため労働基準監督署で働いている職員は、国家公務員に該当します。
監督署は、労働基準法をはじめ、労働安全衛生法や最低賃金法などの違反について指導を行っており、具体的には賃金、時間外手当(残業代)をきちんと払っているか、労働時間や休憩、休日、休暇など法律に定められた対応を会社が適切に行なっているかチェックします。
なお、誤解している人が多いのですが、解雇の妥当性は労働基準法の範囲に含まれないため、監督署はその判断を行いません。
労働基準監督署の調査対応に関する3つのポイント
1. 基本的に拒否できない
労働基準監督官は、労働基準法第101条に基づいて、事業場の臨検を行うことができます。つまり、突然会社にやってきて調査をすることができる権限をもっています。
- 労働基準法第101条(労働基準監督官の権限)
- 労働基準監督官は、事業場、寄宿舎その他の附属建設物に臨検し、帳簿及び書類の提出を求め、又は使用者若しくは労働者に対して尋問を行うことができる。
零細企業の場合、経営者や管理職など権限のある人が出払っていて対応できないことがあるかもしれません。その場合、その旨を正直に伝えれば、別の日に来てくれることもありますが、法律上の権限により基本的に臨検は拒否できないことは知っておいてください。
2. 普段から法定帳簿を整備しておく
労働者名簿、出勤簿、賃金台帳は、人事労務管理に関する法定帳簿であり、これら法定帳簿の整備は法令で定められており、労働基準監督官は、必ず法定帳簿を確認します。
人事労務管理を行う上で、これらの法定帳簿は基本となる書類であるため、どこにあるかわからない状態であれば、監督官はそれだけで「この会社は大丈夫なんだろうか?」という印象を持つことになります。
法定帳簿の内容を含め、常日頃からきちんと整備しておきましょう。
私自身、まさしく足の踏み場のない職場に調査に入ったことがあります。それこそ色々な場所から脈絡のない書類やお金が出てきて。。。
関連:賃金台帳とは? 記載事項・保存期間・書き方を解説(記入例あり)
3. 指導内容の根拠を確認する
本記事で最も強調しておきたいのが、この「指導内容の根拠を確認する」ということです。
社労士を顧問にしているから、労働基準監督署の調査対応は万全、と多くの会社が思っているようです。当の社労士自身もそれを売り文句にしていたりするので始末が悪いのですが。。。
労働法は、多種多様な上に、ほぼ毎年改正されている状況であるため、社労士を顧問にしていても抜けている点はあるでしょうし、労働基準監督署の監督官も調査している以上、何らかの指導をしようとします。
顧問社労士がいなければ、監督官の指摘している内容は理解できても、それがどんな法律のどんな違反になるのか、わからない場合もあります。ただ、重要な点は、その後、どのように改善していくかということです。
法違反であれば「是正勧告書」、法違反でない指導事項であれば「指導票」を監督官からもらうことになります。ほとんどの監督官は、きちんと法令違反の根拠を説明してくれますが、実態としてそうでない人もいます。
ただ、企業として、是正勧告書や指導票に具体的に対応していかなければなりません。そのため、法的根拠の確認、そして具体的にどのような対応を行えばよいのかを含めてアドバイスを受けておくことをオススメします。
わかったふりをするのが一番まずいです。
なお、労働基準法の内容を理解していると豪語する人でも、政令や省令の法的位置付けといった基本的なことを知らなかったりします。そんな方は以下の記事をご参考ください。
まとめ
労働基準監督署の監督官が突然やってきて、強権的な様子で質問責めにされると焦ると思います。
以前の話を聞くと、公僕とは思えないほど偉そうな態度の監督官もいたそうですが、私の知る限り、この10年程度で格段に穏やか・丁寧な人が増えています。
労働基準監督署の調査に対して、怖い・面倒というイメージを持ってしまう人が多いようですが、きちんと法令遵守をしようとしている会社に対してはサポートをしてくれる存在です。
むしろ、無料で労務管理の法令チェックを受けることができるという意識で対応して構いません。
是正勧告書や指導票への対応は期限があります。信頼できる社労士が身近にいなければ、むしろ労働基準監督署に相談することをオススメするくらいです。
- 毎年のように改正される労働法令への対応に頭を悩ませている
- 総務や経理などの他の業務を兼務しているので、人事労務業務だけに時間を割けない
といった悩みを抱える企業の経営者・人事労務担当者向けに、公開型のブログでは書けない、本音を交えた人事労務に関する情報・ノウハウ、時期的なトピックに関するメールマガジンを「無料」で配信しています。
過去の配信分は公開しません。
情報が必要な方は、いますぐ以下のフォームから購読の登録をしてください。購読して不要と思ったら簡単に解除できますのでご安心ください。