最低賃金制度の基礎知識:2種類の最低賃金、対象者、都道府県別の金額一覧

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カテゴリー: 賃金

都道府県ごとに決定される地域別最低賃金額が、2020年10月1日から40県で順次改定されます。今回は、最低賃金制度の基本について解説します。

最低賃金とは

最低賃金とは、会社が労働者に支払う賃金の最低額を国が定める制度です。

最低賃金法という法律を根拠としますが、最低賃金法は強行法規であるため、違反した企業に対しては罰則があります。

最低賃金法第4条(最低賃金の効力)
  1. 使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない。
  2. 最低賃金の適用を受ける労働者と使用者との間の労働契約で最低賃金額に達しない賃金を定めるものは、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、最低賃金と同様の定をしたものとみなす。

2種類の最低賃金:地域別最低賃金と特定(産業別)最低賃金

最低賃金には、以下の2種類があります。

  • 都道府県ごとに定められた「地域別最低賃金」
  • 特定の産業に従事する労働者を対象に定められた「特定(産業別)最低賃金」

特定(産業別)最低賃金は、地域別最低賃金よりも高い金額水準で定められており、地域別と特定(産業別)の両方の最低賃金が同時に適用される労働者には、会社は高い方の最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません

最低賃金の対象者

地域別最低賃金の対象者

地域別最低賃金は、パートタイマー、アルバイト、臨時、嘱託など雇用形態や呼称に関係なく、すべての労働者とその使用者に適用されます。

年齢にも関係なく適用されるため、例えば学生アルバイトであっても、雇用されていれば地域別最低賃金は適用されます。

特定(産業別)最低賃金の対象者

特定(産業別)最低賃金は、特定の産業の基幹的労働者とその使用者に対して適用されますが、以下の労働者には適用されません

  • 18歳未満又は65歳以上の方
  • 雇入れ後一定期間未満の技能習得中の方
  • その他当該産業に特有の軽易な業務に従事する方

そして、都道府県により産業の種類は異なります

例えば、東京都の特定(産業別)最低賃金は以下のとおり。日付は発効年月日です。

  • 鉄鋼業:871円 - 平成26.03.23
  • はん用機械器具、生産用機械器具製造業:832円 - 平成22.12.31
  • 業務用機械器具、電気機械器具、情報通信機械器具、時計・同部分品、眼鏡製造業:829円 - 平成22.12.31
  • 自動車・同附属品製造業、船舶製造・修理業,舶用機関製造業、航空機・同附属品製造業:838円 - 平成24.02.18

福岡県の特定(産業別)最低賃金は以下のとおり。

  • 製鉄業、製鋼・製鋼圧延業、鋼材製造業:975円 - 令和元.12.10
  • 電子部品・デバイス・電子回路、電気機械器具、情報通信機械器具製造業:926円 - 令和元.12.10
  • 輸送用機械器具製造業:944円 - 令和元.12.10
  • 百貨店、総合スーパー:889円 - 令和元.12.10
  • 自動車(新車)小売業:940円 - 令和元.12.10

最低賃金額(2020年10月1日以降)

まず、地域別最低賃金額は以下のとおりです。

都道府県 最低賃金時間額 発効年月日
北海道 861円 令和元.10.03
青森県 793円 令和2.10.03
岩手県 793円 令和2.10.03
宮城県 825円 令和2.10.01
秋田県 792円 令和2.10.01
山形県 793円 令和2.10.03
福島県 800円 令和2.10.02
茨城県 851円 令和2.10.01
栃木県 854円 令和2.10.01
群馬県 837円 令和2.10.03
埼玉県 928円 令和2.10.01
千葉県 925円 令和2.10.01
東京都 1,013円 令和元.10.01
神奈川県 1,012円 令和2.10.01
富山県 849円 令和2.10.01
石川県 833円 令和2.10.07
福井県 830円 令和2.10.02
新潟県 831円 令和2.10.01
山梨県 838円 令和2.10.09
長野県 849円 令和2.10.01
岐阜県 852円 令和2.10.01
静岡県 885円 令和元.10.04
愛知県 927円 令和2.10.01
三重県 874円 令和2.10.01
滋賀県 868円 令和2.10.01
京都府 909円 令和元.10.01
大阪府 964円 令和元.10.01
兵庫県 900円 令和2.10.01
奈良県 838円 令和2.10.01
和歌山県 831円 令和2.10.01
鳥取県 792円 令和2.10.02
島根県 792円 令和2.10.01
岡山県 834円 令和2.10.03
広島県 871円 令和元.10.01
山口県 829円 令和元.10.05
徳島県 796円 令和2.10.04
香川県 820円 令和2.10.01
愛媛県 793円 令和2.10.03
高知県 792円 令和2.10.03
福岡県 842円 令和2.10.01
佐賀県 792円 令和2.10.02
長崎県 793円 令和2.10.03
熊本県 793円 令和2.10.01
大分県 792円 令和2.10.01
宮崎県 793円 令和2.10.03
鹿児島県 793円 令和2.10.03
沖縄県 792円 令和2.10.03

次に、特定(産業別)最低賃金についてですが、前述のとおり、都道府県によって異なり、ここでは書ききれないため、以下をご確認ください。

参考:特定(産業別)最低賃金全国一覧

最低賃金法の違反内容

以下の場合には、最低賃金法違反となります。

最低賃金額より低い賃金で契約している場合

雇用とは、会社と労働者が雇用契約を締結している状態です。

最低賃金額より低い賃金で雇用契約を定めていた場合、仮に労働者、使用者双方の合意の上で定めていても、それは最低賃金法第4条により無効となります。

そして、その雇用契約の賃金額は、最低賃金額で定めをしたものとみなされます

なお、たまに誤解している人がいますが、試用期間中でも最低賃金を下回ることは原則として認められません。

関連:トラブルの多い試用期間中の賃金や解雇の法的意味を徹底解説!

会社が最低賃金を支払っていない場合

会社が労働者に最低賃金未満の賃金しか支払っていない場合、会社は労働者に対してその差額を支払わなくてはなりません。また、

  • 地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、最低賃金法による罰則(50万円以下の罰金)
  • 特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、労働基準法による罰則(30万円以下の罰金)

と罰則が定められています。

完全歩合給

完全歩合制とは、固定給を支払わず成果に応じて賃金を支給するものを指しますが、雇用形態の場合、完全歩合給は最低賃金法違反です。

関連:雇用で完全歩合給は最低賃金法違反

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