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最低賃金制度の基礎知識:2種類の最低賃金、対象者、都道府県別の金額一覧

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都道府県ごとに決定される地域別最低賃金額が、2023年10月1日から10月上旬までの間に順次発効されます。全国加重平均額は、昨年度から43円引上げの1,004円となっています

今回は、最低賃金制度の基礎知識ということで、2種類の最低賃金、最低賃金の対象者等について解説し、最後に都道府県別の最低賃金額の一覧を示します。

最低賃金とは

最低賃金とは、会社が労働者に支払う賃金の最低額を国が定める制度です。

最低賃金法という法律を根拠としますが、最低賃金法は強行法規であるため、違反した企業に対しては罰則があります

最低賃金法第4条(最低賃金の効力)
  1. 使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない。
  2. 最低賃金の適用を受ける労働者と使用者との間の労働契約で最低賃金額に達しない賃金を定めるものは、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、最低賃金と同様の定をしたものとみなす。

2種類の最低賃金:地域別最低賃金と特定(産業別)最低賃金

最低賃金には、以下の2種類があります。

  • 都道府県ごとに定められた「地域別最低賃金」
  • 特定の産業に従事する労働者を対象に定められた「特定(産業別)最低賃金」

特定(産業別)最低賃金は、地域別最低賃金よりも高い金額水準で定められており、地域別と特定(産業別)の両方の最低賃金が同時に適用される労働者には、会社は高い方の最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません

最低賃金の対象者

地域別最低賃金の対象者

地域別最低賃金は、パートタイマー、アルバイト、臨時、嘱託など雇用形態や呼称に関係なく、すべての労働者とその使用者に適用されます。

年齢にも関係なく適用されるため、例えば学生アルバイトであっても、雇用されていれば地域別最低賃金は適用されます。

特定(産業別)最低賃金の対象者

特定(産業別)最低賃金は、特定の産業の基幹的労働者とその使用者に対して適用されますが、以下の労働者には適用されません

  • 18歳未満又は65歳以上の方
  • 雇入れ後一定期間未満の技能習得中の方
  • その他当該産業に特有の軽易な業務に従事する方

そして、都道府県により産業の種類は異なります

例えば、福岡県の特定(産業別)最低賃金は以下のとおり。

  • 製鉄業、製鋼・製鋼圧延業、鋼材製造業:1010円 - 令和4.12.10
  • 電子部品・デバイス・電子回路、電気機械器具、情報通信機械器具製造業:977円 - 令和4.12.10
  • 輸送用機械器具製造業:987円 - 令和4.12.10
  • 百貨店、総合スーパー:897円※ - 令和4.12.10
  • 自動車(新車)小売業:987円 - 令和4.12.10

ここでおさらいをしておくと、

  • 地域別と特定(産業別)の両方の最低賃金が同時に適用される労働者には、会社は高い方の最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない

となっています。

福岡県の地域別最低賃金額は、令和5年10月6日以降は941円です。

つまり、百貨店、総合スーパーは897円のままだと違反になるということです。

最低賃金額(2023年10月1日以降)

まず、地域別最低賃金額は以下のとおりです。

都道府県 最低賃金時間額 発効年月日
北海道 960 令和5年10月1日
青森 898 令和5年10月7日
岩手 893 令和5年10月4日
宮城 923 令和5年10月1日
秋田 897 令和5年10月1日
山形 900 令和5年10月14日
福島 900 令和5年10月1日
茨城 953 令和5年10月1日
栃木 954 令和5年10月1日
群馬 935 令和5年10月5日
埼玉 1028 令和5年10月1日
千葉 1026 令和5年10月1日
東京 1113 令和5年10月1日
神奈川 1112 令和5年10月1日
新潟 931 令和5年10月1日
富山 948 令和5年10月1日
石川 933 令和5年10月8日
福井 931 令和5年10月1日
山梨 938 令和5年10月1日
長野 948 令和5年10月1日
岐阜 950 令和5年10月1日
静岡 984 令和5年10月1日
愛知 1027 令和5年10月1日
三重 973 令和5年10月1日
滋賀 967 令和5年10月1日
京都 1008 令和5年10月6日
大阪 1064 令和5年10月1日
兵庫 1001 令和5年10月1日
奈良 936 令和5年10月1日
和歌山 929 令和5年10月1日
鳥取 900 令和5年10月5日
島根 904 令和5年10月6日
岡山 932 令和5年10月1日
広島 970 令和5年10月1日
山口 928 令和5年10月1日
徳島 896 令和5年10月1日
香川 918 令和5年10月1日
愛媛 897 令和5年10月6日
高知 897 令和5年10月8日
福岡 941 令和5年10月6日
佐賀 900 令和5年10月14日
長崎 898 令和5年10月13日
熊本 898 令和5年10月8日
大分 899 令和5年10月6日
宮崎 897 令和5年10月6日
鹿児島 897 令和5年10月6日
沖縄 896 令和5年10月8日

参考:地域別最低賃金の全国一覧

次に、特定(産業別)最低賃金についてですが、前述のとおり、都道府県によって異なり、ここでは書ききれないため、以下をご確認ください。

参考:特定(産業別)最低賃金全国一覧

なお、平成14年度から令和5年度までの地域別最低賃金改定状況の全国加重平均額の推移については、以下の記事でグラフにまとめていますので、ご参考ください。

関連:最低賃金の推移のグラフ:平成14〜令和5年度

最低賃金法の違反内容

以下の場合には、最低賃金法違反となります。

最低賃金額より低い賃金で契約している場合

雇用とは、会社と労働者が雇用契約を締結している状態です。

最低賃金額より低い賃金で雇用契約を定めていた場合、仮に労働者、使用者双方の合意の上で定めていても、それは最低賃金法第4条により無効となります。

そして、その雇用契約の賃金額は、最低賃金額で定めをしたものとみなされます

なお、誤解している人がいますが、単に試用期間中という理由だけでは最低賃金を下回ることはできません。

関連:試用期間の長さ、賃金、社会保険、解雇等に関する基礎知識

会社が最低賃金を支払っていない場合

会社が労働者に最低賃金未満の賃金しか支払っていない場合、会社は労働者に対してその差額を支払わなくてはなりません

また、以下のように罰則も定められています。

  • 地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、最低賃金法による罰則(50万円以下の罰金)
  • 特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、労働基準法による罰則(30万円以下の罰金)
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