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労働基準監督署って逮捕ができるの? と友人に聞かれたので、今回は労働基準監督官の司法警察権について解説します。
労働基準監督署による異例の逮捕
友人は以下の記事を読んで驚いたということですが、労働基準監督官が司法警察官としての権限を持っているのは、別に最近の話ではなく昔からです。
今回の記事でも異例と書かれているように、まさしく「伝家の宝刀」ということであり、それほど悪質な事案だったということでしょう。この事案は結構ニュースになっていましたし。
労基署が異例の逮捕=賃金未払いの社長ら 岐阜
中国人技能実習生に賃金を適切に支払わず、労基署の調査も妨害したとして、岐阜労働基準監督署は22日、最低賃金法と労働基準法違反容疑で、縫製会社社長粟谷浩司(50)=岐阜県笠松町米野=、技能実習生受け入れ事務コンサルタント伊藤智文(50)=岐阜市中=両容疑者を逮捕した。同署によると、労基署が容疑者を逮捕するのは異例。
逮捕容疑は、中国人技能実習生の女性4人に最低賃金計約165万円と時間外手当計約310万円を支払わなかった上、虚偽の賃金台帳を提出するなど労基署の調査を妨害した疑い。
時事ドットコムニュース(2016/03/22-19:05)より → リンク切れ
労働基準監督官の司法警察権とは
司法警察とは、わかりやすく言えば刑事さんです。お巡りさんは警察官ですが、司法警察ではなく行政警察です。
そして、司法警察権とは、捜索・差押や逮捕、検察官への送致(送検)などを行う権限のことで、労働基準監督官は労働基準法第102条に基づき、この権限があるということです。
- 労働基準法第102条
- 労働基準監督官は、この法律違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行う。
司法警察権という権限は強力なので、すべての行政職員が持っているわけではありません。
ただ、今回のように逮捕までされるのは異例だとしても、労働基準法や労働安全衛生法に違反し是正がされない場合には労働基準監督官が司法警察官として捜査を行うことは、それほど珍しいことではありません。
まとめ
今回のケースでは、虚偽の賃金台帳を提出するなど調査を妨害したということで、その悪質性が問われ、結果逮捕までされたわけです。
「これまでに調査を受けたことがないし、滅多に来ないから大丈夫」というのは「これまでに交通事故にあったことはないから大丈夫」というのと同じです。
車を購入するとき、万が一の交通事故を想定して保険に入るのは常識ですよね?
同様に、人を雇用し経営を行う際には、人事労務に関する保険をかけておく、これが社労士を顧問にし定期的に監査を受けるということであり、リスクマネジメントの一種となるわけです。監査をしない社労士であれば顧問にしておく必要はないかもしれませんが。
労働基準監督署の調査に対応する際のポイントは、以下をご参考ください。
関連:労働基準監督署の調査に対応するときの3つのポイントとは?
また、今回問題となった賃金台帳については、以下の記事をご参考ください。
関連:賃金台帳とは? 記載事項・保存期間・書き方を解説(記入例あり)
しかし、技能実習生受け入れ事務コンサルタントという肩書きは知りませんでした・・・。
一緒に逮捕されているので、きっとこの人が今回の対応を主導したのだろうと想像しますが、結果異例の逮捕までされ、氏名まで出ちゃったわけで、何のためのコンサルタントなのか。。。
- 毎年のように改正される労働法令への対応に頭を悩ませている
- 総務や経理などの他の業務を兼務しているので、人事労務業務だけに時間を割けない
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