今や週休2日制なんて当たり前と言う人もいれば、週休2日制なんて大企業しか導入していないと言う人もいますが、実態はどうなんでしょう?
思い込みやイメージではなく、データを踏まえて正しい状況を説明するのが当事務所のスタンスなので、今回は「令和3年就労条件総合調査結果」を用いて、週休2日制を導入している企業の割合、業種別の割合をグラフ化して解説します。
なお、以下の記事で解説していますが、「完全週休2日制」と「週休2日制」という用語は、似ているようで実はまったく異なるものです。
関連:完全週休2日制と週休2日制の違い:1か月で3日も休日数が異なる?
完全週休2日制の企業の割合
それでは「週休2日制の企業は当たり前なのか?」という点に関する調査結果を紹介します。
まず、細かい点ですが「今や週休2日制は当たり前」といった発言をする人の意図は、今の時代「週に2日の休日は当然」ということなのでしょう。
そうすると、確認すべきデータは、完全週休2日制を導入している企業の割合はどうなのか? ということになります。
以下は本来であればグラフが表示されます。
もしグラフが表示されていない場合はページの更新をしてください。
このグラフから以下のことがわかります。
- 最新のR3調査では、完全週休2日制としている企業は48.4%と前年から上昇(R2調査では44.9%)
- H27調査で50%を超えたが、近年はむしろ減少傾向にあった。
完全週休2日制の企業は50%にも達していないわけなので、データから見ると、完全週休2日制の企業は多いどころか、むしろ少ない状況と言えます。「今や完全週休2日制は当たり前」という認識は間違いのようです。
なお、平成27年の調査では、調査対象に「複合サービス事業」が加わったことにより数値が押し上げられています。
完全週休2日制を導入している企業の規模別の割合
次に、完全週休2日制を導入している企業の規模別の割合のグラフを紹介します。
規模が小さくなるにつれて、完全週休2日制の導入割合は減少し、100人未満になると50%を切っている状況です。
50%を超えれば当然と言っても良いかもしれません。そのため、100人以上の企業で働いている方なら「今や完全週休2日制は当たり前」という認識になってしまうかもですね。
なお、もし、あなたの会社が完全週休2日制を導入しているのであれば、このデータをもとに、求職者に対して大きなアピール材料とすべきです。
完全週休2日制を導入している企業の業種別の割合(平成29年調査)
最後に、完全週休2日制を導入している企業の業種別の割合もグラフで見ておきましょう。平均を超えている業種は黄色で示しています。
なお、令和3年の調査項目に業種別の割合がないため、以下は最新の結果である平成29年の調査データになります。
こうして見ると、業種間でかなり異なる状況にあることがわかります。
最も高いのは「金融業、保険業」の95.9%、そして最も低いのは「鉱業、採石業、砂利採取業」の24.7%、その差はなんと70%以上です。
金融業、保険業の方からすると、同業他社を見てもほとんど完全週休二日制でしょうから、今や週休2日制は当たり前と感じるでしょう。
逆に、鉱業、採石業、砂利採取業の方からすると、週休2日制の企業なんて見たことがない・・・となるでしょう。
もし、あなたの会社が完全週休2日制を導入しており、同業種の割合が低い(同業他社は完全週休2日制にしていない)のであれば、それは大きなアピール材料になるということです。
まとめ
冒頭で書いたように、今や週休2日制なんて当たり前と言う人もいれば、週休2日制なんて大企業しか導入していないと言う人もいるわけですが、
- 全体的に見ると50%すら超えていない状況で、少なくとも当たり前とは言えない
というのがデータからわかる事実です。
ただ、業種や規模によって大きく異なっているのも事実です。金融業、保険業で働いている方にとっては、同業他社を見ても同じ状況なので、完全週休2日制が当たり前と思っても仕方のないところです。
しかし、何事もイメージでなく、数字で語るべきです。
そして、こういった調査結果や統計をもとに、あなたの会社が対外的にアピールできる点は何かという視点を常に持つことが大事です。
これは今後の採用だけでなく、社員に対しても「他社に比べて我が社は頑張っている」というメッセージになります。人間、隣の芝生は青く見えるものですからね・・・
なお、今回は休日に関する統計を扱いましたが、そもそも休暇と休日を混同している方がたまにいます。
法的には休暇と休日はまったく違います。以下の記事で詳しく解説していますのでご参考ください。
関連:休日と休暇の違い・多くの人事労務担当が知らない残業代への影響
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