今や週休2日制なんて当たり前と言う人もいれば、週休2日制なんて大企業しか導入していないと言う人もいますが、実態はどうなんでしょう?
思い込みやイメージではなくデータで説明するのが当事務所のスタンスなので、今回は「令和2年就労条件総合調査結果」を用いて、週休2日制を導入している企業の割合、業種別の割合をグラフ化して解説します。
完全週休2日制と週休2日制の違い
まず、調査結果のグラフを見る前に用語を正しく理解しておきましょう。
「完全週休2日制」と「週休2日制」という用語は同じように見えますが、実はまったく異なります。
違いを簡単にまとめると以下のようになります。
- 完全週休2日制:毎週、2日の休日がある
- 週休2日制:月に1回以上、週2日の休日がある
この違いは転職を考えている人も理解しておかないと、入社してから「ダマされた・・・」と後悔することになるかもしれません。
完全週休2日制とは
完全週休2日制とは、毎週2日の休日がある状態です。
毎週、土曜・日曜を休日としている会社で「当社は完全週休2日制です」と言ったとき、その週に祝日があっても、祝日は休日にはなりません。
祝日を休日にすると、その週は休日が3日あることになってしまいます。
会社が、祝日も休日になることを示す場合には「完全週休2日制(土日)、祝日」のような書き方になります。
週休2日制とは
週休2日制とは、月に1回以上、週2日の休日がある状態です。
例えば、毎週日曜日と第1土曜日のみが休日の場合でも、週休2日制と言うことができます。
つまり、週休2日制の場合、毎週2日の休日があるとは限らないということです。
最近は、求職者も休日数に敏感になっているため、求人の際の書き方には注意が必要です。
逆に、転職を考えている方は、求人条件で「完全週休2日制」なのか「週休2日制」なのかによって、休日の日数が変わることになるため、よく見て応募すべきです。
労働基準法における最低限の休日数
なお、労働基準法では、週に1日の休日、または4週間を通じて4日以上の休日が最低限となっています。
週の休日数を2日にするかどうかは会社の裁量ということです。
- 労働基準法第35条(休日)
-
- 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも1回の休日を与えなければならない。
- 前項の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない。
年間365、366日ですから、1年間の週の数は52週または53週となります。
しかし「最低限の年間休日数は52日または53日で良い」と考えるのは間違いです。
それは労働時間に関する規制によるのですが、以下の記事で解説しています。
関連:年間休日の平均は厚労省の2020年調査によると110日
完全週休2日制の企業の割合
それでは「週休2日制の企業は当たり前なのか?」という点について調査結果を紹介します。
まず、細かい点ですが、先ほどの説明のとおり、冒頭の「今や週休2日制は当たり前」といった発言をする人の意図は「今や『完全週休2日制』は当たり前」という意味でしょうから、完全週休2日制を導入している企業の割合を以下のようにグラフにしてみました。
以下は本来であればグラフが表示されます。
もしグラフが表示されていない場合はページの更新をしてください。
このグラフから以下のことがわかります。
- 最新のR2調査では、完全週休2日制としている企業は44.9%。
- H27調査で50%を超えたが、近年はむしろ減少傾向にある。
つまり、データから見ると、完全週休2日制の企業は多いどころか、むしろ少ない状況と言えます。「今や週休2日制は当たり前」という認識は間違いのようです。
なお、平成27年の調査では、調査対象に「複合サービス事業」が加わったことにより数値が押し上げられています。
完全週休2日制を導入している企業の規模別の割合
次に、完全週休2日制を導入している企業の規模別の割合のグラフを紹介します。
規模が小さくなるにつれて、完全週休2日制の導入割合は減少し、100人未満になると50%を切っている状況です。
もし、あなたの会社が完全週休2日制を導入しており、同規模の会社の割合が低いのであれば、求職者に対して大きなアピール材料になります。
完全週休2日制を導入している企業の業種別の割合(平成29年調査)
最後に、完全週休2日制を導入している企業の業種別の割合もグラフで見ておきましょう。平均を超えている業種は黄色で示しています。
なお、令和2年、平成31年、30年の調査では、業種別の割合に関する調査項目がないため、以下は平成29年調査のデータです。
こうして見ると、業種間でかなり異なる状況にあることがわかります。
最も高いのは「金融業、保険業」の95.9%、そして最も低いのは「鉱業、採石業、砂利採取業」の24.7%、その差はなんと70%以上です。
金融業、保険業の方からすると、同業他社を見てもほとんど完全週休二日制でしょうから、今や週休2日制は当たり前と感じるでしょう。
逆に、鉱業、採石業、砂利採取業の方からすると、週休2日制の企業なんて見たことがない・・・となるでしょう。
もし、あなたの会社が完全週休2日制を導入しており、同業種の割合が低い(同業他社は完全週休2日制にしていない)のであれば、それは大きなアピール材料になるということです。
まとめ
冒頭で書いたように、今や週休2日制なんて当たり前と言う人もいれば、週休2日制なんて大企業しか導入していないと言う人もいるわけですが、
- 全体的に見ると50%すら超えていない状況で、少なくとも当たり前とは言えない
というのがデータからわかる事実です。
ただ、業種や規模によって大きく異なっているのも事実です。金融業、保険業で働いている方にとっては、同業他社を見ても同じ状況なので、完全週休2日制が当たり前と思っても仕方のないところです。
しかし、何事もイメージでなく、数字で語るべきです。
そして、こういった調査結果や統計をもとに、あなたの会社が対外的にアピールできる点は何かという視点を常に持つことが大事です。
これは今後の採用だけでなく、社員に対しても「他社に比べて我が社は頑張っている」というメッセージになります。人間、隣の芝生は青く見えるものですからね・・・
なお、今回は休日に関する統計を扱いましたが、そもそも休暇と休日を混同している方がたまにいます。
法的には休暇と休日はまったく違います。以下の記事で詳しく解説していますのでご参考ください。
関連:休日と休暇の違い・多くの人事労務担当が知らない残業代への影響
【無料】毎月1回、効率的に人事労務の情報を入手しませんか?
あべ社労士事務所は、毎月1回(次回はに発出予定)、
- 毎年のように改正される労働法令への対応に頭を悩ませている
- 働き方の見直しといっても、具体的な実務でどう対応すれば良いかわからない
- 総務や経理などの他の業務を兼務しているので、人事労務業務だけに時間を割けない
といった悩みを抱える経営者・人事労務担当者向けに、公開型のブログでは書けない本音を交えて、人事労務に関する情報・ノウハウ、時期的なトピックをメールマガジンでお送りしています。
しかも「無料」で。
過去の配信分は公開しません。
情報が必要な方は、いますぐ、以下のフォームから購読の登録をしてください。同業の社労士の方も情報収集のために、遠慮なく登録していただいて結構です(^^)
購読して不要と思ったら簡単に解除できますのでご安心ください。
氏名の欄には、会社名ではなく、本名をフルネーム、漢字で入れてください。