パート・アルバイトの有給休暇の日数を徹底解説!

こんにちは。福岡の社労士・安部敏志です。

当事務所には、会社側・労働者側のどちらからもご相談やお問合せをいただくのですが、その中で休暇関係、特に有給休暇に関するご相談は多くいただきます。

労働者側からの相談としては、

  • うちの会社には有給休暇はないと言われる
  • パート・アルバイトだからという理由で有給休暇がもらえない
  • 有給を会社に買い取って欲しい

経営者や管理職からの相談としては、

  • 前日になって休みたいと言われても人繰りに困る
  • 時給制のパート・アルバイトに有給休暇があるのはおかしいのではないか

などが主な相談内容です。

今回は、パート・アルバイトの有給休暇に関して、2種類ある有給の日数表とその適用基準、計算方法などを解説します。

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パートとアルバイトの違い

まず、パートとアルバイトという職種は一般的に使い分けられていますが、パート、アルバイトという名称は単なる俗称であり、法的にその違いはないことに注意しておきましょう。

パートとは、パートタイム労働法(正式名称は「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」)により、「短時間労働者」として以下のように定義されています。

1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者

一般的には、パートタイマー、アルバイト、嘱託、臨時社員、準社員と様々な呼び名がありますが、上の定義に該当すれば法的にはすべて同じ扱いです。

パートだから、アルバイトだから、といって処遇に違いがあったとしても、それはあくまで会社の中でそのような扱いをしているというだけです。

人事を担当している方でも、意外とこの法的な定義・違いを知らないので、この機会に知っておいてください。

以下の記事では法的な面からの正社員とパートの違いについて解説しています。無期契約と有期契約の違い、社会保険の適用の違いなどと答えてしまう人もいますが、それは違いますよ。

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パートの有給休暇

さて、本題のパート・アルバイトの有給休暇について解説します。

先程解説したとおり、パート・アルバイトの法的な違いはないわけですから、ここからはパートという名称だけ使っていきます。

まず、前提条件として、以下のことは覚えておかなければなりません。

有給休暇は労働者には原則付与

正社員、パートという職種による違いはありません。違うのは日数だけです。

そして、その日数の違いも職種によってあるのではなく、週の所定労働時間によって違うということです。

なお、「原則付与」と書いた理由は、後で解説する表に出てきますが、年間所定労働日数が47日以下(つまり所定労働日数が週1日未満)の場合は、有給休暇の付与が義務づけられていないためです。

いずれにしても、パートだから正社員より有給休暇の日数が少ないというのは間違いです。

パートの有給休暇の日数

有給休暇の日数を定めた表は2種類あります。この2つの表のどちらを適用するかは以下の基準によって分けられます。

  1. 週の所定労働時間が30時間以上
  2. 所定労働日数が週5日以上
  3. 1年間の所定労働日数が217日以上

この3つのうち、1つでも該当すれば、以下の「基本の表」が適用されます。この表は、いわゆる正社員の方も適用されるもので、有給休暇の基本となる表です。

繰り返しになりますが、正社員、パート、アルバイト、職種の呼び名は関係ありません

例えば、以下の2つの場合、先程の3つの基準に該当するため、パートという職種の方であっても「基本の表」が適用され、継続勤務期間(雇われた日からの継続期間)のみによって、有給休暇の日数が決まることになります。

  • 週4日、1日7.5時間勤務 → 週の労働時間が30時間になり、上の基準の1に該当
  • 週5日、1日6時間勤務 → 上の基準の2に該当

基本の表
雇われた日からの勤続期間 付与される休暇の日数
6か月 10日
1年6か月 11日
2年6か月 12日
3年6か月 14日
4年6か月 16日
5年6か月 18日
6年6か月 20日

そして、上の3つの基準に該当しない人の場合、次の「比例付与の表」が適用されます。

この表は、勤務日数により比例して付与されるという考え方ですが、注意していただきたいのは、有給休暇の日数の違いは週の所定労働日数のみによって変わるということです。

理解しやすいように具体例を示します。

  1. 週4日、1日6時間勤務、勤続2年 → 継続勤務1.5年以上なので有給日数8日
  2. 週2日、1日6時間勤務、勤続5年 → 継続勤務4.5年以上なので有給日数6日
  3. 週2日、1日4時間勤務、勤続5年 → 継続勤務4.5年以上なので有給日数6日

太字にしていますが、2番目と3番目の違いは、1日の勤務時間だけです。

しかし、有給休暇の日数を判断するときは、週の所定労働日数と継続勤務期間だけです。

そのため、付与する有給休暇の日数は同じということになります。

比例付与の表
週の労働日数 雇入れた日から起算した継続勤務期間(単位:年)
0.5 1.5 2.5 3.5 4.5 5.5 6.5以上
4日 7 8 9 10 12 13 15
3日 5 6 6 8 9 10 11
2日 3 4 4 5 6 6 7
1日 1 2 2 3 3 3 3

パート・アルバイトで有給休暇がもらえない場合

先程の比例付与の表を見ていただくと、有給休暇は「年間所定労働日数が48日以上」から発生しています。

つまり、年間所定労働日数が48日以下の場合は、有給休暇の付与が義務づけられていないということです。

ただ、よく考えると、年間所定労働日数が48日以下というのは、週に換算すると、所定労働日数が週1日未満ということであり、週1日も勤務しない場合は有給休暇がなくてもよいでしょうという判断なんでしょう。

パートの有給休暇の日数と就業規則の注意点

労働基準法上の有給休暇の日数の説明は以上のとおりですが、ここで注意点があります。

もし、あなたの会社の就業規則で、先程の「基本の表」、つまり正社員向けの日数しか就業規則に記載していないときは、たとえ週4日勤務のパートの人でも正社員と同じ日数の有給休暇を与えなければなりません。

就業規則の規定が労働基準法を上回ったらそれが適用されるという考え方になるわけです。就業規則なんてコピペで良いという人もいますが、慎重に規定しておかないと後で大変なことになりますよ。

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まとめ

いかがでしたでしょうか?

実は、はじめて「なぜパートに有給休暇を与える必要があるのか?」という質問を受けたとき驚きました。

なんでそんな発想になるんだろう? と思ったわけです。

労働基準法では、労働者に対して有給休暇を与えるべしと書かれています。そして、その対象となる労働者についても、別に正社員とパートを分けていません。適用される表が違うだけです。

で、聞いてみると、「パートには働いた分の給料として時給ベースで払っているわけだから、働いていない時間分の給料を払うのはおかしいのではないか」という理屈なわけです。

この理屈を聞いたとき、実はちょっと感心しました。筋が通っているように見えませんか?

もちろん、すぐに訂正しましたが。

この理屈の最大の間違いは雇用という考え方を全く理解していないことです。

知り合いに、1時間1000円払うから作業を手伝って欲しいというのであれば、全く問題はありません。そもそも休暇なんて考え方はありません。

この違いは雇用契約があるかないかです。

パートやアルバイトを雇うというのは雇用契約を結ぶということです。雇用契約については民法に規定されており、一般法である民法に優先する特別法として労働契約法があるわけです。

なぜか、多くの経営者や管理職がパートやアルバイトであればそれほど法的な規制が多くない、正社員にすると大変というイメージを持っているようですが、法的には、実は逆です。パートやアルバイトを雇用するときの方が大変なんです。

例えば、パート・アルバイトを雇うときにも労働条件通知書は必要です。しかも、正社員より義務づけられている記載項目が多くなっています。

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なお、今回はパート・アルバイトの有給休暇に特化しましたが、有給休暇取得の条件として出勤率や取得時季の問題があります。以下の記事で法的な基礎知識を網羅していますのでご参考下さい。

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この記事を書いた人


安部敏志

あべ社労士事務所代表・社会保険労務士

国家公務員I種職員として労働基準法・労働安全衛生法等の立案や企業への徹底的な指導に従事した経験を武器に、退職後は逆に会社を守る立場として経営者・人事担当者からの人事労務管理に関するご相談に対応。

最近は記事の執筆やセミナー講師の依頼にも積極的に対応。業務内容がわかりにくいとよく言われるので、業務内容を紹介するページを作成しました!

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