【罰金40万円?】パート・アルバイトにも労働条件通知書は必要?

前回、人を採用するときは、「言った」「言っていない」といった不毛な後々のトラブルを防ぐためにも、労働条件通知書を交付することが必要である理由を書きました。そもそも法令で義務づけられていますし、特に行政はきちんと労働条件通知書を交付しているかどうか重視しています。

労働条件の明示義務と労働条件通知書について図解解説!
今回は人事労務管理の基本中の基本である労働条件の明示について、労働条件通知書と交錯するやっかいな点を図解して解説します。

ただ、なぜか、このような労務管理の話をすると、パートタイム労働者の場合は、正社員に行っているような手続きが不要と思っている経営者や管理職の方は意外と多くいます。

今回は、パートタイム労働者にも労働条件通知書は必要であり、むしろ正社員よりも厳しい規制と罰金・過料が課せられているという事実と根拠を解説します。

スポンサーリンク

パートタイム労働者にも労働条件通知書は必要?

冒頭でも紹介しましたが、本当にこの質問はよくされます。

質問というより「不要だよね」という確認をされているような気もしますが、これは大間違いであり、危険な理解です。

労働基準法における労働者の定義

まず、労働者というのは正社員だけではありません。

労働者というのは、労働基準法第9条で定義されているように、パートタイム労働者やアルバイトなどの呼び名は関係なく、事業に使用され、賃金を支払われる人を指します。

例外はありますが、本筋から外れるので、今回は割愛します。

労働基準法第9条(定義)
この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。

以下の記事では、事業場の定義を紹介しましたが、法律を読むときは、定義をきちんと理解しておく必要があります。

労働基準法における事業場とは?「事業場」と「企業」はどう違う?
労働基準法に限らず法令を読む際には、必ず言葉の定義を理解しておく必要があります。今回は、労働基準法における「事業場」の定義、「企業」や「部門」との違いを解説します。

結論:パートにも労働条件通知書は必要・・・さらに!

パートタイム労働者も、労働基準法における労働者の定義の中に入るので、以下の記事でご紹介した労働条件通知書は、当然、必要ということになります。

特に、パートタイム労働者というのは、正社員よりも、入社・退職といった出入りが多いものです。となると、労働条件の不明確な明示によるトラブルというのが発生しやすいことになるため、正社員以上に重要とも言えるわけです。

このような考え方から、実は、パートタイム労働者の場合は、労働条件通知書の必須記載項目が正社員以上に多いのです。

労働条件の明示義務と労働条件通知書について図解解説!
今回は人事労務管理の基本中の基本である労働条件の明示について、労働条件通知書と交錯するやっかいな点を図解して解説します。

本当の結論:パートへの労働条件通知書は項目が増え、過料も課される!

具体的には、パートタイム労働法(正式名称は、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)第6条に規定されているのですが、正社員に明示する労働条件通知書の記載事項に併せて、以下の記載事項も書面に加える必要があります。

  1. 昇給の有無
  2. 退職手当の有無
  3. 賞与の有無
  4. 雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口

ちなみに、違反した場合は10万円以下の過料となります。

そのため、合計すると、労働条件通知書の未交付で30万円の罰金、パートタイム労働者への項目の不備で10万円の過料、合計40万円となりますので注意してください。もちろん、これは最悪のケースということです。

詳細は、厚生労働省が発行している以下のパンフレットをご参照ください。

参考

パートタイム労働者の適正な労働条件の確保のために(厚生労働省発行パンフレット)

追伸:労働条件通知書と雇用契約書はどう違うの?

一般の方にとって、意外と混同しがちなのが、労働条件通知書と雇用契約書です。

どちらを使ってもよいというとんでもないアドバイスをしている専門家もいるようですが、労働条件通知書と雇用契約書は、目的や用途がかなり違います。

以下の記事で解説していますのでご参考ください。

雇用契約書と労働条件通知書の違いとは?
一般の方にはわかりにくい、そして「専門家ですらきちんと説明できない」労働条件通知書と雇用契約書の3つの違い、ついでに雇用契約書と労働契約書の違いも解説します。

また、最近行政が力を入れているのがアルバイトの雇用状況です。以下の記事で詳しく解説していますのでご参考ください。

アルバイトを雇う際に確認しておきたい21のチェック項目
昨年は学業に支障が出るようなアルバイトが社会問題となり、ブラックバイトという言葉も出てきました。今回は、厚生労働省と文部科学省が作成した学生アルバイトを雇う際のチェックリストを取り上げます。
【罰金40万円?】パート・アルバイトにも労働条件通知書は必要?
本記事以外の人事労務情報も満載の
Facebookページを、
いいねしてチェックしよう!
スポンサーリンク

フォローする

人事の秘訣を知りたくありませんか?

人事の秘訣を知りたくありませんか?

本音満載で人事の秘訣を毎週お伝えしています。

過去の配信情報など、さらに詳しい情報をお知りになりたい場合は、こちらをご覧ください。

注意
*は必須項目を示しています。なお、氏名の欄には本名を漢字で入れてください。「たこ」など明らかにふざけた名前を登録している方がいますが、見つけ次第削除しています。


この記事を書いた人


安部敏志

あべ社労士事務所代表・社会保険労務士

国家公務員I種職員として労働基準法・労働安全衛生法等の立案や企業への徹底的な指導に従事した経験を武器に、退職後は逆に会社を守る立場として経営者・人事担当者からの人事労務管理に関するご相談に対応。

最近は記事の執筆やセミナー講師の依頼にも積極的に対応。仕事内容がわかりにくいとよく言われるので、業務内容・実績を紹介するページを作成しました!

ご相談・ご依頼はこちらから

error: Content is protected !!