会社に不可欠な人事制度と人事規程・就業規則の関係

こんにちは。福岡の社労士・安部敏志です。

50名規模の会社の場合、総務・人事担当は1人だけ、多くても2人という会社がほとんどです。

売上に直結しない業務となるため、仕方のない面はありますが、人事というのは、以前も書きましたように、会社の土台・骨格づくりを担う仕事です。

様々な人たちが集まった会社という組織を効率的に運営していくには、統一されたルールが必要です。

今回は、そんな会社に不可欠な統一的なルールである人事制度・人事規程について解説します。

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人事制度とは?

一定規模の会社に勤めた経験がある方ならわかるでしょうが、人事制度というのは、社員の役職や賃金を決めるための基準を定めたものです。

呼び名は別として、一般的には、

  1. 等級制度
  2. 評価制度
  3. 賃金制度(賞与・退職金を含む)

から構成されます。等級制度によって能力に応じた役職等を決め、半年に1回など定期的に評価し、その結果を受け昇給や賞与を決めます。

人事制度を整備することで、会社はキャリアパスや人事評価基準を示し、社員のモチベーションを維持・向上させているわけです。

人事制度なんてわからないという方でも、この説明をすればすぐに理解できるでしょう。

なぜなら、制度の簡単さ・複雑さの違いはあっても、人が集まって何かを行っていれば、必ずこのようなルールが必要になるからです。

人が集まれば取り仕切る人が必要になります、これが等級制度につながります。活躍した人をみんなで褒め称えるでしょう、これが評価制度です。もし何か分け前があるなら、それを公平、活躍した人には多少多めに配分するでしょう、これが賃金制度です。

こう考えると、人事制度というのは、組織化されていればどこにでもあるものです。ポイントは、それをきちんと明文化しているかどうかということです。

就業規則と人事規程

このような人事制度を明文化していったものが人事規程となります。

繰り返しますが、人が集まり組織化されていれば、人事制度というのは必ずあります。ないと思うのはそれが明文化されていないからです。

人事規程の代表的なものが就業規則です。法的な根拠などについて以下の記事で詳しく解説説明していますのでご参考ください。

本当は怖い就業規則! よくある間違い・落とし穴を徹底解説!
人を雇っている会社のルールブックとも言える就業規則について、中小企業でよくある間違い、その落とし穴について解説します。「就業規則の作成は怖くない」「簡単にできる」と書く素人がいますが、実際に裁判になってからでは遅いのです。

賃金規程では、賃金を支払うためには、締め日や支給日、計算方法などをきちんと定め、それを周知しなければなりません。

例えば、3月1日から入社した人と3月31日に入社した人が、同じ3月入社だからといって3月分の賃金が同額であれば不満が出てしまいますよね?

そもそも思っていること・考えていることは言葉・文章にしなければ伝わりませんし。

情報を基にして適応することはできても、創造することは難しい。創造の世界を開くのは、自分たちの思い(暗黙知)を言葉(形式知)にし、言葉を形に(実践)していくダイナミックなプロセスである。

主な人事規程一覧

ここで、就業規則に含まれる主な人事規程をご紹介しておきます。

会社によっては定めていない規程もあるでしょうし、もっとたくさんの規程があるかもしれません。

数が多いから良いわけでもなく、少ないから自律的な組織というわけでもありません。社員が理解しやすい形になっていればそれで構いません。

ちなみに、私がご依頼を受けたときは、なるべく就業規則の中に盛り込む方向でまずは考えます。規程の数が増えれば管理が大変ですし、一つ見ればその中に会社のルールが全て書かれているという方が、見る人にとってシンプルだからというのが理由です。

人事関係
  • 人事評価規程
  • 裁量労働規程
  • 育児・介護休業規程
  • フレックスタイム制規程
  • 安全衛生規程
  • セクハラ・パワハラ規程
  • 出向規程
賃金関係
  • 賃金規程
  • 退職金規程
  • 旅費規程
  • 持株会規程
福利厚生関係
  • 慶弔見舞金規程
  • 社内貸付金規程
  • 社宅管理規程
  • 貯蓄金規程
  • 自動車管理規程

就業規則と人事規程の関係

これまで主な人事規程をご紹介してきましたが、実は「人事規程」という言葉には定義がありません。単なる俗称です。

例えば、労働法という言葉もよく使われますが、労働法という法律はありません。あるのは、労働基準法や労働契約法など、それぞれ目的を持ってつくられた法律だけです。これらをまとめて労働法と言っているだけです。

なお、人事担当者に大きく関係する労働関連法は以下の記事で解説しています。

人事担当が最低限知っておくべき労働関係法令とは?
人事業務には、労働者の権利保護、労働環境の整備などを規定した多くの労働関係の法令が関係してきます。今回は、人事担当が最低限知っておくべき労働関係法令について解説します。

人事規程も同じです。人事労務管理に関係する規程として最も重要なものが就業規則です。これは労働基準法第89条で定義されたものです。

ポイントをまとめると、以下のとおりです。

  • 就業規則:法律で義務づけられたもの
  • 人事規程:単なる俗称、各種の規程を総称したもの
  • つまり、就業規則=人事規程を集めたもの

人事制度・人事規程の運用上の注意点

以下の記事で詳しく解説していますが、人事制度・人事規程の運用では注意が必要です。

当事務所に寄せられるご相談でも、本来、社員のトラブルを防ぐために整備しているはずの人事制度や人事規程を誤解して運用することで、トラブルをむしろ発生させているようなケースが多いのが実情です。

就業規則の策定と実際の運用・ポイントは性善説と性悪説の使い方!
人事労務管理のご相談を受ける中で最も多いのがトラブル対応ですが、その多くはこの就業規則の運用を間違えているためです。今回は、人事労務管理のコツである就業規則と実際の運用について、そのノウハウを解説します。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

人が集まって何かをするなら共通の決めごと・ルールが必要です。

自律した大人がいればルールは不要なんていう方もいますが、単にワイワイガヤガヤと遊びの延長で仕事をしていくなら、ルールは不要でしょう。パーティーのようなもので、楽しいうちはみんなが集まって盛り上がるでしょうから、売上が上がっているときは、みんな頑張ります。でもつまらなくなったら、みんな離れていきます。

それに、個人商店のような形で、社長の言うことがすべてルールという形で事業をしていくのもある。社長の言うことにみんな納得していれば、ルールなんて不要です。でも、成長は続かないでしょうし、社長の言うことに不満を感じた途端に組織は崩壊へと進んでいくでしょう。

個人型商店がそのまま大きくなってしまった結果どんなことになるかは、以下の本で詳しく解説されています。

企業不祥事の研究: 経営者の視点から不祥事を見る
井上 泉
文眞堂
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社会の中で、企業として成長を続けていく上で、共通のルールづくりというのは必要です。それに、様々な人が集まって実際に仕事をしているということは、すでにルールは存在しているはずです。

問題は、そのルールがみんなの頭の中に存在し、もしかしたらそれが同床異夢になっているかもしれないということです。

だからこそ、すでにその頭の中にあるルールを明文化することが急務です。

以下の記事でもご紹介していますが、就業規則を公開することで、職場環境を整備していることを積極的にアピールし、採用や広報の武器としている会社があります。

専門家が同じことを言っても営業のように捉えられてしまいますが、経営者が言っている以下の言葉はまさにそのとおりです。

破滅しないためにも、制度をきちんと整え、社員に理解・納得してもらうこと、これこそが会社の土台・骨格づくりを担う人事担当の大切な役割です。

無用な雇用トラブルを避け、かつ、従業員のことを考えるのであれば、ルールの明文化は必須で、それが正に就業規則そのものになります。

就業規則に脆弱性を抱えていて、悪意のある従業員が存在したら、零細会社であれば普通に破滅です。

就業規則を公開し採用や広報の武器としている会社がある!
会社の就業規則、作成経緯を公開し、採用や広報の武器としているITベンチャー企業があります。今回はその中で興味深かった点を紹介します。
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この記事を書いた人


安部敏志

あべ社労士事務所代表・社会保険労務士

国家公務員I種職員として労働基準法・労働安全衛生法等の立案や企業への徹底的な指導に従事した経験を武器に、退職後は逆に会社を守る立場として経営者・人事担当者からの人事労務管理に関するご相談に対応。

最近は記事の執筆やセミナー講師の依頼にも積極的に対応。仕事内容がわかりにくいとよく言われるので、業務内容・実績を紹介するページを作成しました!

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