人事担当が最低限知っておくべき労働関係法令とは?

こんにちは。福岡の社労士・安部敏志です。

50名規模の会社の場合、総務・人事担当は1人だけ、多くても2人という会社がほとんどです。

売上に直結しない業務となるため、仕方のない面はありますが、人事の仕事というのは会社の土台・骨格づくりを担います。

そして、社員の入社から退職までの労働保険・社会保険の手続きをはじめ、社員とのトラブルやメンタルヘルス等、人に関する問題はすべて人事担当が担うことになります。

これらの業務には、労働者の権利保護、労働環境の整備などを規定した多くの労働関係の法令が関係してきます。

今回は、人事担当が最低限知っておくべき労働関係法令について解説します。

スポンサーリンク

人事担当の法律とのつき合い方

先程書いたように、人事労務管理を行う上で、労働関係のみならず法令というのは切っても切り離せません。

そして、一般の方にとって法令というのはわかりにくいものです。

以前書きましたように、人事担当は顧客視点を持たなければ円滑な業務を行うことはできません。

人事担当に求められる顧客視点とは?
人事担当に必要不可欠な資質として忘れがちなのが顧客視点です。今回は人事担当にとっての顧客とは誰なのか、求められる顧客視点について解説します。

そのため、わかりにくい労働関係法令の内容を熟知し、わかりやすく解説したり、就業規則などの人事制度に使い勝手の良い形で仕組みをつくっていくか、ここが人事担当の腕の見せ所になります。

ちなみに、ここまで法令という用語を使っていますが、法律と法令の違いについて明確にわからない方は以下の記事をご参考ください。

あなたは説明できる? 意外と説明できない法令と法律の違い!
専門家でもよく混同している法令と法律の違いについて、憲法、法律、政令、省令、通達と段階別に、そして賃金5原則を例に解説します。

基本となる労働三法

労働者の権利を保護する法律として、抑えておくべきものが「労働三法」です。

  1. 労働基準法
  2. 労働組合法
  3. 労働関係調整法

学校で習いましたよね?

労働基準法というのは、労働者を雇う上での賃金や労働時間、休憩、休日など最低限の労働条件を定めた法律です。

労働基準法・労働協約・就業規則・労働契約の関係
人を採用し、経営を行う上で人事労務管理というのは必須です。今回は人事労務管理を行う上で上位概念となる労働基準法・労働協約について解説します。

労働組合法というのは、労働者の代表者が会社と労働条件について団体交渉やストライキなどを行う場合のルールを定めた法律です。

最後に、労働関係調整法というのは、労働紛争が起きないようにするための予防策や起きた後の解決策を定めた法律です。

人事担当が関わる主な労働法

法律名 こんなときに参照する
労働基準法 労働条件を考えるとき
労働組合法 労働組合と交渉するとき
労働関係調整法 ストライキなどの争議行為が発生したとき
労働契約法 労働契約の締結や変更をするとき
最低賃金法 賃金額を決めるとき
労働安全衛生法 安全面・健康面の体制づくりを考えるとき(健康診断等)
パートタイム労働法 パートタイマーの採用や労働条件を考えるとき
障害者雇用促進法 障害者の採用や労働条件を考えるとき
労働者災害補償保険法 労働災害が発生したとき
労働者派遣法 派遣社員を活用するとき
高年齢者雇用安定法 高年齢者を採用するとき
育児・介護休業法 社員が育児休業や介護休業を取得するとき
雇用保険法 社員が入社するとき、退職するとき
男女雇用機会均等法 セクハラ問題が発生したとき

上の表はあくまで主な労働関係法です。

この他にも、労働保険の具体的な手続きの際には、「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」が関係しますし、社会保険の関係では、健康保険法、国民年金法、厚生年金保険法も関係してきます。

実際の手続きは法律まで参照しなくてもできますが、不明な点があれば最終的には法令を参照し、解釈することになります。

労働法は頻繁に改正される!

上の表のように思った以上に多い労働法ですが、さらに、労働法というのは社会情勢の変化に対応するため頻繁に法改正が行われています。

平成27、28年だけでも、マイナンバー法、労働安全衛生法改正(ストレスチェック制度)、労働者派遣法改正、パートタイム労働法改正、障害者雇用促進法改正、若者雇用促進法改正、女性活躍推進法と盛りだくさんでした。

【自社だけで対応可能】12月より義務化されるストレスチェック対策を詳細解説-導入編
今回は、危機をあおり、あなたの会社からお金をふんだくろうとする悪徳専門家から身を守るために、「完全無料!自社だけで対応可能なストレスチェック対策」と題し、2回に分けて、ストレスチェック制度の内容を詳細に解説します。
女性活躍のために中小企業こそ利用したい無料・オススメのサービス
女性活躍推進法というのをご存じですか? 今回は、女性活躍推進法の概要と、既に女性が活躍している、今後も女性を採用したいという中小企業にこそオススメしたい無料の行政サービスを紹介します。
3/1から法律で義務化された就活生への職場情報開示のポイントを解説
3/1から法律で義務化された就活生への職場情報開示の対応は行っていますか?今回はポイントを解説します。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は、人事担当が最低限知っておくべき労働関係法令について解説しました。

改めてポイントを整理しておきます。

  • 人事業務において労働法の骨格部分は必ず理解しておく、特に労働基準法などの罰則がある法律は必須
  • 最近話題のパートやアルバイトの労働条件に関係するパートタイム労働法は要チェック
  • 法改正情報には常に目を配り、関連書籍やセミナーに参加する、社員にわかりやすく伝える工夫も必要!
  • 自ら情報収集を行うときは必ず一次情報(行政発表資料など公式情報)を確認する

最後に、上手な人事担当者の手法をご紹介しておきます。

冒頭で申し上げたように、50名規模の会社の場合、総務・人事担当は1人だけ、多くても2人という会社がほとんどです。

人事担当者が一人では、日々の業務に追われており、頻繁に改正される法令を抑えるというのは至難の業です。

そんな彼らは、上手に社会保険労務士などの外部の専門家を活用しています。

内容が一般的なものになりがちなセミナーや関連書籍ではなく、あなたの会社の状況を伝えた上で、どのような対策を取る必要があるのかなど具体的な対策の部分に焦点を当てた講義を依頼したり、社員に周知するのに利用できる資料づくりなどを外注したりしています。

このように、自らの知識をブラッシュアップするとともに、省力化しているわけです。

ぜひご参考ください。

【人事担当必見!】平成28年度上半期の労働法令改正ポイント
今回は、総務・人事担当者が抑えておくべき平成28年度上半期の労働法令改正のポイント・実務的な対応方法をご紹介します。

参考:社会保険労務士に必須の労働関係法

参考までに、社会保険労務士が試験に合格するために必要な労働関係法について、社会保険労務士法別表1から抜粋したものをご紹介しておきます。

  1. 労働基準法
  2. 労働安全衛生法
  3. 労働者災害補償保険法
  4. 雇用保険法
  5. 労働保険の保険料の徴収等に関する法律
  6. 健康保険法
  7. 国民年金法
  8. 厚生年金保険法
  9. 職業安定法
  10. 職業能力開発促進法
  11. 最低賃金法
  12. じん肺法
  13. 障害者の雇用の促進等に関する法律
  14. 雇用対策法
  15. 家内労働法
  16. 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律
  17. 作業環境測定法
  18. 賃金の支払の確保等に関する法律
  19. 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律
  20. 地域雇用開発促進法
  21. 中小企業における労働力の確保及び良好な雇用の機会の創出のための雇用管理の改善の促進に関する法律
  22. 介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律
  23. 労働時間等の設定の改善に関する特別措置法
  24. 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム労働法)
  25. 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律
  26. 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律
  27. 個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律
  28. 次世代育成支援対策推進法
  29. 国民健康保険法
  30. 介護保険法
  31. 児童手当法
  32. 高齢者の医療の確保に関する法律
人事担当が最低限知っておくべき労働関係法令とは?
本記事以外の人事労務情報も満載の
Facebookページを、
いいねしてチェックしよう!
スポンサーリンク

フォローする

人事の秘訣を知りたくありませんか?

人事の秘訣を知りたくありませんか?

本音満載で人事の秘訣を毎週お伝えしています。

過去の配信情報など、さらに詳しい情報をお知りになりたい場合は、こちらをご覧ください。

注意
*は必須項目を示しています。なお、氏名の欄には本名を漢字で入れてください。「たこ」など明らかにふざけた名前を登録している方がいますが、見つけ次第削除しています。


この記事を書いた人


安部敏志

あべ社労士事務所代表・社会保険労務士

国家公務員I種職員として労働基準法・労働安全衛生法等の立案や企業への徹底的な指導に従事した経験を武器に、退職後は逆に会社を守る立場として経営者・人事担当者からの人事労務管理に関するご相談に対応。

最近は記事の執筆やセミナー講師の依頼にも積極的に対応。仕事内容がわかりにくいとよく言われるので、業務内容・実績を紹介するページを作成しました!

ご相談・ご依頼はこちらから

error: Content is protected !!