あなたは説明できる? 意外と説明できない法令と法律の違い!

突然ですが、法令と法律の違いを説明できますか?

最近、急激に様々な業種の経営者の方々と交友関係が広がり話をすることが多くなってきました。ありがたい限りです。

ただ、よく感じるのですが、法律=難しい、わけがわからない・・・と思っている方が多い・・・

はっきり言ってもったいないです! そんなこともあってこのように記事を日々書いているわけですが、今回は基本中の基本である法令と法律の違いについて解説します。

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法案と法律の違い

まずは簡単なところから、ということで法案と法律の違いを説明します。

法律というのは、国会(衆議院と参議院)で審議され、可決されることで効力を持ちます。

つまり、可決される前のものは効力がない状態であり、あくまで案です。だから法案(法律案)。で、この法案というのは、行政や国会議員が提出します。

実は、これは中学生のときに習ったはずです・・・(笑)

上ではわかりやすく説明しましたが、この流れが憲法によって以下のように定められているものです。

日本国憲法第59条
  1. 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。
  2. 衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律となる。
  3. 前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議院の協議会を開くことを求めることを妨げない。
  4. 参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて60以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。
  5. 「法令データ提供システム」より

法律と法令の違い

次に本題の法律と法令の違いです。

法律の下には政令や省令というものがあり、まとめると以下のようになります。

  • 法律:国会(衆参両議員)の議決を経て制定されるもの
  • 政令:内閣が制定する命令
  • 省令:各省の大臣が発する命令
  • 通達:行政内部の命令

図でイメージすると以下のようになります。法律の関係で言えば、国会(法律)を頂点に、内閣(政令)、各府省(省令)となるわけです。そして、法律・政令・省令をあわせて「法令」と言います。

law-and-rules

例えば、労働基準法といえば法律になりますし、労働基準法令といえば、労働基準法、労働基準法施行令(政令)、労働基準法施行規則(省令)など関係する規則のすべてを含むわけです。

ちなみに、関係する法律などの規則を引っくるめて関係法令という言い方をしますが、関係法律とは言いませんのでご注意を。

例:賃金支払い5原則

それでは、賃金の支払い方法に関する大原則である「賃金支払い5原則」を用いて、具体的に解説します。

労働基準法第24条では、使用者は以下の原則により賃金を支払わなければならないと求めています。

  1. 通貨で
  2. 直接
  3. 全額を
  4. 毎月1回以上
  5. 一定期日に
労働基準法第24条(賃金の支払)
  1. 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
  2. 賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第八十九条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。

これが法律です。この条文だけを読むと、実際に給与をもらっている方の多くは不思議に感じませんか?

昔は給与の手渡しというのが当たり前でしたが、最近は金融機関への振込が多いはずです。

労働基準法には「直接労働者に・・・支払わなければならない」と書いてあり、この部分だけを読むと、給料は直接労働者に手渡ししなければならないことになっています。

それでは多くの企業は、法律を厳密に読むと、法律違反をしているのでしょうか?

法令=法律と関係する諸々の規制

法律だけを読むと???ということがありますが、大半の場合、法律の下にある施行規則の中で具体的・実務的な方法が定められています。

今回の給与振込については、以下の労働基準法施行規則第7条の2によって認められているものです。そのため、法違反にはならないわけです。

労働基準法施行規則第7条の2
使用者は、労働者の同意を得た場合には、賃金の支払について、当該労働者が指定する銀行その他の金融機関に対する当該労働者の預金又は貯金への振込みによることができる。

まとめ

一度理解してしまえば、それほど難しい話ではありませんし、普通に生活をしているときに、法律に書いていることなのか、それとも政令なのか、省令なのかといったことを意識することはないと思いますし、する必要もないでしょう。

ただ、人事労務管理を行うときには、法令というルールを熟知し、その中でいかに自由に経済活動を展開していくか、この点がポイントになります。

コンプライアンス遵守は大事ですが、不必要に規制を恐れる必要もありません。

スポーツでも、ルールを熟知することは必要です。ルールを熟知しているからこそ、ルールをいかに自らに都合の良い方に利用していくかということが勝負の秘訣です。

専門家がすべての規制の一つ一つを覚えているわけではありません。

しかし、経験を積み重ねる中で、感覚的に判断し、その判断をもとに詳細な規制の内容を調べていくことが出来ます。だからこそ、専門家に相談するというのが結局近道になるわけです。

なお、抑えておきたい法律用語というのは多々ありますが、社会保険労務士のように一般的には人事労務の専門家と言われる人たちでもよく間違えているのが「規程」と「規定」の使い方、「規則」と「規程」の使い方です。

以下の記事で詳しく解説していますので、興味があればご参考ください。

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この記事を書いた人


安部敏志

あべ社労士事務所代表・社会保険労務士

国家公務員I種職員として労働基準法・労働安全衛生法等の立案や企業への徹底的な指導に従事した経験を武器に、退職後は逆に会社を守る立場として経営者・人事担当者からの人事労務管理に関するご相談に対応。

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