常時使用する労働者とは? 常時雇用労働者、常用雇用労働者の違いを詳細解説!

こんにちは。福岡の社労士・安部敏志です。

労働法関係では、「常時○人以上の労働者」、「常時雇用労働者」、「常用雇用労働者」など、似ているようで異なる表現を見ることが多くあります。

人事労務の実務を行う上で、実はこの違いを正確に理解しておく必要があります。思わぬ法令違反や本来不要な作業をすることになりかねませんし。

今回は、労働法関係でよく出てくる「常時○人以上の労働者」、「常時雇用労働者」、「常用雇用労働者」の違いについて、代表的な労働基準法、労働安全衛生法、障害者雇用促進法、労働者派遣法を用いて解説します。

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常時使用する労働者、常時雇用労働者、常用雇用労働者の大きな違い

結論を先に申し上げると、それは法律の定義や解釈による違いということになります。

イメージとしては、いわゆる正社員ということになりますが、問題は「パートタイム労働者のような短時間労働者を含むのか」ということです。

これは、それぞれの法律の定義や解釈を見なければなりません。

労働基準法における常時使用する労働者

労働基準法では、常時10人以上の労働者を使用する使用者に対して就業規則の作成義務を課しています。

この常時使用する労働者というのは、東京労働局ウェブサイトによると、常態として10人以上であり、この場合の労働者には、いわゆる正規社員のほか、パートタイム労働者やアルバイト等すべての人が含まれます。

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そのため、常態は8人で、繁忙期等においてさらに2、3人雇い入れるという場合は、常時10人以上とはなりません。

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労働安全衛生法における常時使用する労働者

労働安全衛生法は、元々、労働基準法から分かれて制定されたものであり、労働基準法に共通する部分が多くあります。

労働安全衛生法では、常時使用する労働者50人以上の事業場への衛生管理者や産業医の選任義務など、安全衛生管理体制の部分で多く出てきます。

昨年12月に義務づけられたストレスチェックの実施も、対象となるのは、常時使用する労働者50人以上の事業場です。

労働安全衛生法における「常時使用する労働者」については、解釈通達である昭和47年9月18日基発第602号により、「常時当該各号に掲げる数以上の労働者を使用する」とは、日雇労働者、パートタイマー等の臨時的労働者の数を含めて、常態として使用する労働者の数が本条各号に掲げる数以上であることをいうものであること、とされており、労働基準法と同じものとなっております。

ただし、気をつけなければならない点があります。

例えば、定期健康診断については、労働安全衛生法第44条において「常時使用する労働者に対して」行うことが求められています。

労働安全衛生法第44条(定期健康診断)
事業者は、常時使用する労働者に対し、1年以内ごとに1回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。

この点については東京労働局ウェブサイトの解説によると、以下のとおりです。

昨年12月に改正労働安全衛生法に基づき義務づけられたストレスチェックについては、常時使用する労働者50人以上の事業場を対象に、すべての労働者となっていますが、このすべての労働者から「契約期間が1年未満の労働者や、労働時間が通常の労働者の所定労働時間の4分の3未満の短時間労働者」は除かれていますが、これも同じことです。

パート労働者等の短時間労働者が「常時使用する労働者」に該当するか否かについては、平成19年10月1日基発第1001016号通達で示されています。その中で、一般健康診断を実施すべき「常時使用する短時間労働者」とは、次の(1)と(2)のいずれの要件をも満たす場合としています。

  1. 期間の定めのない契約により使用される者であること
  2. 期間の定めのある契約により使用される者の場合は、1年以上使用されることが予定されている者、及び更新により1年以上使用されている者
  3. その者の1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分3以上であること

上記(1)と(2)のどちらも満たす場合、常時使用する労働者となりますが、上記の(2)に該当しない場合であっても、上記の(1)に該当し、1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の概ね2分の1以上である者に対しても一般健康診断を実施するのが望ましいとされています。

なお、労働者派遣事業法に基づく派遣労働者についての一般健康診断は、労働者の派遣元の事業場で実施し、有害業務従事労働者についての健康診断は派遣先の事業場で実施することとなります。

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障害者雇用促進法における常時雇用労働者

常時雇用労働者と常用雇用労働者について厳密な違いはなさそうです。

厚生労働省による平成22年7月の政策レポートで、短時間労働者の扱いに関する制度改正を解説しています。

この中で、常時雇用労働者と常用雇用労働者が同じ意味で使用されています。法律では、「雇用する労働者・・・の数が常時・・・」となっているので、常時雇用労働者という略が適切かと思いますが、まあ同じことです。

本題の「常時雇用労働者」の定義に戻りますが、厚生労働省系の独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の資料によると、以下のとおりです。

  1. 雇用期間の定めがなく雇用されている労働者
  2. 雇用(契約)期間を定めて雇用されている労働者であって、その雇用(契約)期間が反復更新され、雇入れのときから1年を超えて引き続き雇用されると見込まれる労働者
  3. 過去1年を超える期間について引き続き雇用されている労働者であって、1週間の所定労働時間が20時間以上の労働者

労働者派遣法における常時雇用労働者

労働者派遣法では、先程の障害者雇用促進法と異なり、常時雇用労働者と常用労働者について意識的に違いを示しています。

厚生労働省作成の労働者派遣事業関係業務取扱要領(平成28年4月)では、常時雇用される労働者を以下のように定義しています。そして、常用労働者については、いわゆる「正社員」と括弧書きを入れています。

「常時雇用される労働者」とは、労働契約の形式の如何を問わず、事実上期間の定めなく雇用されている労働者のことをいう。 具体的には、次のいずれかに該当する場合に限り「常時雇用される労働者」に該当する。

  1. 期間の定めなく雇用されている者
  2. 一定の期間(例えば、2か月、6か等)を定めて雇用されている者であって、その雇用期間が反復継続されて事実上1と同等と認められる者。すなわち、過去1年を超える期間について引き続き雇用されている者又は採用の時から1年を超えて引き続き雇用されると見込まれる者
  3. 日日雇用される者であって、雇用契約が日日更新されて事実上1と同等と認められる者。すなわち、2の場合と同じく、過去1年を超える期間について引き続き雇用されている者又は採用の時から1年を超えて引き続き雇用されると見込まれる者
  4. なお、雇用保険の被保険者とは判断されないパートタイム労働者であっても、1から3までのいずれかに該当すれば「常時雇用される」と判断するものであるので留意すること。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回、私自身も整理してみて改めて気づいた点もありますし、法律により対象となる範囲が微妙に異なっていることがわかりました。

規制により義務づけられた対応は、コンプライアンス上、必須となりますが、何を行うのかの前に、そもそも義務なのかどうかという点はしっかりと確認しておきたいところです。

最後にポイントをまとめると、

常時使用する労働者、常時雇用労働者、常用雇用労働者とは、法律の定義や解釈によって対象者が異なるため、それぞれの法律や一次情報を調べるべし

ということです。

なお、今回の「常時使用する労働者」の微妙な違いと同じようにややこしいのが規制の対象となるのが企業なのか事業場なのかという点です。

企業と事業場では考え方が変わりますので、法令の対象となる規制の範囲に該当するのかどうかは正確に理解しておきましょう。

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労働基準法に限らず法令を読む際には、必ず言葉の定義を理解しておく必要があります。今回は、労働基準法における「事業場」の定義、「企業」や「部門」との違いを解説します。

また、「労働者」の定義というのは簡単なようで実は結構難しいものです。以前、厚生労働省は研究会を設置し「労働者性」の判断基準について報告書をまとめており、以下の記事で詳細を紹介していますのでぜひご参考ください。

労働者性を判断する2つの基準と労働者の定義を詳細解説!
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この記事を書いた人


安部敏志

あべ社労士事務所代表・社会保険労務士

中小企業の人事労務担当者の育成を中心に業務展開。専門記事の執筆やセミナー・社内研修の講師業も実施。

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