50人以上の事業場に義務づけられている衛生管理者の役割とは?

こんにちは。福岡の社会保険労務士・安部敏志です。

衛生管理者という資格はご存じですか?

先日、とある経営者の方と話をしていたときに、この質問をしたところ、食品衛生と勘違いをされてしまいました。。。ちなみに、この経営者の会社は社員数30-40人程度ですので、まだ大丈夫です。

今回は、50人以上の事業場で、全ての業種に選任が義務づけられている衛生管理者について解説します。

なお、同じく50人以上の事業場で、全ての業種に義務づけられているのが産業医です。産業医の職務や選任義務に関する基本事項は以下の記事で解説していますので併せてご参考ください。

いまさら聞けない産業医の職務と選任義務を基本から解説!
最近はストレスチェックに関するご相談の関係で、産業医について質問されることが多くなってきましたので、今回は50人以上の事業場に義務づけられている産業医について解説します。
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衛生管理者とは?

衛生管理者とは、事業場の労働衛生全般の管理を行う資格者のことで、労働者の健康障害防止、健康の保持増進に関する事項を担当します。

実際の事業場で行われていることを例にわかりやすく説明すると以下の業務を主に行う専門職となる人です。

  • 熱中症やインフルエンザなどの季節的な流行情報を発信し、社員の健康対策に貢献
  • それに加えて、今年流行したデング熱やMERSなどの情報を発信することも社員の不安を払拭する上で有効
  • 残業時間が個人や部署で偏りがないかチェックし、必要があれば産業医による面談を促す

その他にも、2015年12月から開始されるストレスチェック制度では、中心メンバーになります。

ストレスチェック制度については以下の記事で解説しています。

【自社だけで対応可能】12月より義務化されるストレスチェック対策を詳細解説-導入編
今回は、危機をあおり、あなたの会社からお金をふんだくろうとする悪徳専門家から身を守るために、「完全無料!自社だけで対応可能なストレスチェック対策」と題し、2回に分けて、ストレスチェック制度の内容を詳細に解説します。

衛生管理者の法的義務と必要人数

衛生管理者は、労働安全衛生法第12条に基づき、すべての業種において、常時50人以上の労働者を使用する事業場において選任が義務付けられています。

ちなみに、第12条の2で、常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業場においては、安全衛生推進者もしくは衛生推進者の選任が必要とされています。

注意点としては、事業場の規模によって、必要となる衛生管理者数が異なるという点です。具体的には以下の表のとおりです。

事業場の規模
(常時使用する労働者数)
衛生管理者数
50人以上200人以下 1人
200人を超え500人以下 2人
500人を超え1,000人以下 3人
1,000人を超え2,000人以下 4人
2,000人を超え3,000人以下 5人
3,000人を超える場合 6人

「事業場」という単位で理解が曖昧な方は以下の記事をご参考下さい。

労働基準法における事業場とは?「事業場」と「企業」はどう違う?
労働基準法に限らず法令を読む際には、必ず言葉の定義を理解しておく必要があります。今回は、労働基準法における「事業場」の定義、「企業」や「部門」との違いを解説します。

衛生管理者の資格

衛生管理者というのは国家資格であり、会社が担当者を指名して終わり、というわけにはいきません。

労働安全衛生法令の中で資格の要件は定められており、以下の資格を有する者の中から選任しなければなりません。

  1. 衛生工学衛生管理者免許
  2. 第一種衛生管理者免許
  3. 第二種衛生管理者免許
  4. 医師又は歯科医師
  5. 労働衛生コンサルタント
  6. 教育職員免許法に基づく保健体育の免許所持者、保健体育・保健の教科の教諭免許をもって、学校教育法第一条に定める学校に常勤している教師
  7. 大学・高等専門学校において保健体育を担当する常勤の教授・准教授・講師

衛生工学衛生管理者免許、第一種・第二種衛生管理者免許、労働衛生コンサルタントという資格には馴染みがないかもしれませんが、国家試験への合格、都道府県労働局への登録という手続きが必要であり、その手続きを経ることで免許を持つことが出来ます。

この中で一般的な方法は、衛生管理者の免許試験に合格することでしょう。

なお、第一種・第二種衛生管理者の免許試験、労働衛生コンサルタント試験は、公益財団法人・安全衛生技術試験協会が行っています。

このように、受験資格というのも詳細に定められていますし、その中で注意していただきたい点は、受験には最低1年以上の実務が必要になるということです。

そのため、労働衛生に関する実務を1年間従事する中で並行して試験対策に取り組みましょう。

ちなみに、私は衛生工学衛生管理者免許を所有しています(^0^)

人事・総務関係の実務に役立つ資格と一人前になれる期間は?
50名規模の会社の場合、総務・人事担当は1人だけ、多くても2人という会社がほとんどです。今回は、人事・総務関係の実務に役立つ資格と一人前になれる期間について解説します。

衛生管理者による職場巡視は週1回以上!

衛生管理者が、職場内で具体的に何を行うのかは、その職場の状態によります。

そのため、労働安全衛生法令では、衛生管理者に対し、毎週1回以上、職場を巡視し、設備、作業方法、衛生状態で、労働者にとって有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならないと義務づけています。

そのため、労働安全衛生法令は、事業者に対して、衛生管理者が、衛生に関する措置を行うための権限を与えなければならない、と求めています。

つまり、衛生管理者が、法令に基づく措置を行おうとしたときに、事業者は全面的に支援をしなければなりません。

これは、そもそも労働基準法や労働安全衛生法が使用者・事業者に義務を課しているためであり、衛生管理者は、事業者が本来行わなければならないことを技術的に支援している、という考えに基づいています。

衛生管理者の選任時期と報告義務

衛生管理者は、選任する事由が生じてから14日以内に選任し、労働基準監督署に届出を行わなければなりません。「選任する事由が生じてから」というのは、「事業場の労働者数が50人になったとき」ということです。

ちなみに、衛生管理者は、原則としてその事業場に専属することが求められていますので注意して下さい。

労働安全衛生規則第7条(衛生管理者の選任)
衛生管理者を選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任すること。

衛生管理者の選任・職務違反の罰則

労働安全衛生法第12条の以下の規定に違反した場合は、罰則に関する規定である第120条に基づき、50万円以下の罰金に処すると、罰則も定められていますのでご注意ください。

労働安全衛生法第12条(衛生管理者)
事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、衛生管理者を選任し、その者に衛生に係る技術的事項を管理させなければならない。

以下の記事では、労働基準監督署が調査に来たときの対応方法について解説していますが、50人以上の事業場であれば必ず衛生管理者について確認されます。

  • 衛生管理者はどなたですか?
  • 衛生管理者が日頃行っていることは何ですか?
  • あなたの事業場で労働衛生上、懸案となっていることは何ですか?

このような質問に、経営者や関連する管理職の方が即答できなければ、衛生管理者を選任していても、その職務を果たしていないとみなされる可能性があるため、日頃から衛生管理者として選任している担当者にはその業務を中心に行わせるようにしておいてください。

労働基準監督署の調査に対応するときの3つのポイントとは?
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実際、以下の記事でも解説していますが、まさに労働者の健康確保対策として衛生管理者の選任やその活動内容についてチェックされています。

約74%が違反!過労に関する行政の重点監督結果の具体例を解説!
平成27年度「過重労働解消キャンペーン」の重点監督(企業への立入調査)の実施結果が発表となり、約74%の事業場が違反という結果でした。今回は法令違反の具体的な内容について解説します。

まとめ

以下の記事でも書きましたが、人事労務管理を行う上で、事業場50人以上というのは重要なキーワードになります。

特に、労働安全衛生法令では、事業場の労働者数が50人以上になると、法令による義務づけが急に増えてきます。

今回の衛生管理者のように国家資格である免許が必要になると、試験の準備も必要になるため、50人以上になってから急に慌てることのないように、社員数がある程度の数になってきたら、複数の社員に業務として衛生管理者の資格を取得するよう指示しておきましょう。

また、急な退職などで有資格者がいなくなるような不測の事態にも備えることもリスク管理の基本ですからね。

50人規模の会社に共通する人事労務管理のお悩みとは?
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この記事を書いた人


安部敏志

あべ社労士事務所代表・社会保険労務士

国家公務員I種職員として労働基準法・労働安全衛生法等の立案や企業への徹底的な指導に従事した経験を武器に、退職後は逆に会社を守る立場として経営者・人事担当者からの人事労務管理に関するご相談に対応。

最近は記事の執筆やセミナー講師の依頼にも積極的に対応。仕事内容がわかりにくいとよく言われるので、業務内容・実績を紹介するページを作成しました!

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