年次有給休暇の発生条件である継続勤務の定義と状況別の行政解釈

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分類: 休暇

年次有給休暇は、従業員の権利として法律上当然に付与されるものですが、以下の2つの条件があります。

  1. 雇われた日から6か月(その後は1年ごと)継続勤務していること
  2. その期間の中の全労働日の8割以上出勤したこと(8割以上の出勤率)

今回は1つ目の条件「継続勤務」について解説します。

年次有給休暇の条件である継続勤務とは

継続勤務は、単に出勤を意味するのではなく、労働契約の存続期間、すなわち在籍期間を意味するものです(昭和63年3月14日付け基発150号)。

例えば、長期療養などで休職している期間は出勤していませんが、事業場に在籍している状態です。そのため、休職期間は、年次有給休暇の要件である継続勤務期間として取り扱わなければなりません。

そして、この継続勤務は単に形式的に判断するのではなく、勤務の実態に即して実質的に判断すべきものと解されています。つまり、実質的に労働関係が継続している限り、継続勤務とみなし、勤務年数を通算することを意味します。

ここからは、行政解釈(昭和63年3月14日付け基発150号)を用いて、実務で生じる具体的な状況別に継続勤務の考え方を解説していきます。

定年退職後の再雇用

定年退職による退職者を、引き続き嘱託などとして再雇用している場合は、実質的に労働関係が継続していると認められるため、勤続年数を通算しなければなりません。

定年退職時に、退職金規程等に基づき、退職金を支払った場合も同様です。

ただし、退職と再雇用の間に相当期間があり、客観的に労働関係が断続していると認められる場合は、継続期間として勤続年数を通算する必要はありません。

日雇い、2か月以内の有期雇用、4か月以内の季節業務、試用期間中の者

労働基準法第21条に該当する以下の者が、更新等により引き続き使用されているなど実質的に労働関係が継続している場合は、継続期間として勤務年数を通算しなければなりません。

  • 日々雇い入れられる者
  • 2か月以内の期間を定めて使用される者
  • 季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者
  • 試用期間中の者

臨時工で雇用契約が更新されている者

臨時工が一定月ごとに雇用契約を更新され、1年以上に及んでいる場合であって、その実態から引き続き雇用されていると認められる場合は、継続期間として勤務年数を通算しなければなりません。

在籍型の出向者

在籍出向の場合は、出向先で出勤しており、出向元では勤務していない状態です。

しかし、継続勤務は、労働契約の存続期間、すなわち在籍期間を意味するので、出向元は、在籍出向中の期間も、継続期間として勤続年数を通算しなければなりません。

休職者が復職した場合

休職者が復職した場合、実質的に労働関係は継続しているため、継続期間として勤続年数を通算しなければなりません。

臨時工、パート等が正社員に転換した場合

臨時工、パート等が正社員に転換した場合、単なる雇用区分の切り替えであり、実質的に労働関係は継続しているため、継続期間として勤務年数を通算しなければなりません。

会社の解散により新会社に包括承継された場合

会社が解散し、従業員の待遇等を含め権利義務関係が新会社に包括承継された場合、実質的に労働関係は継続しているとみなされ、継続期間として勤務年数を通算しなければなりません。

解雇後の再採用

以下の場合、実質的に労働関係は継続しているとみなされ、継続期間として勤務年数を通算しなければなりません。

少し特殊な例ですが、行政解釈に示されている例なのでおそらく事例としてあったのかと想像します。

  • 全員を解雇し、所定の退職金を支給し、その後改めて一部を再採用したが、事業の実態は人員を縮小しただけで、従前とほとんど変わらず事業継続している場合

まとめ

年次有給休暇の条件である継続勤務について、文言としては簡単ですが、実質により判断される意味を状況別に見てみると、今までの理解と異なる意外な解釈があったかもしれません。

継続勤務の条件を満たさない場合、従業員には年次有給休暇の権利が発生しません。

逆に言えば、人事労務担当者が、継続勤務の考え方を間違えて、年次有給休暇の権利に関する誤った説明をしてしまうと、従業員に大きな不利益を与えてしまうことになるので、ご注意ください。

参考:年次有給休暇の詳細解説 - 対象、発生条件、付与日数、罰則

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