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経営に必須な労務管理の3要素とは?

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労務管理とは、企業の経営資源であるヒト・モノ・カネの3要素のうち、ヒトを対象とするもので、企業が従業員に対して行う管理のことです。

労務管理の3要素とは?

労務管理を構成する要素は、以下の3つです。

  1. モラールの維持向上
  2. 生産性の向上
  3. コンプライアンス

注意しておくべき点として、この3つの要素は、それぞれが独立しているのではなく、関連しあっているということです。

モラールの維持向上は、生産性向上に直結し、コンプライアンス遵守に積極的に取り組み職場環境を向上させることで、モラール・生産性の向上にもつながります。

そして、この3つの要素について、企業の規模は関係ありません。

労務管理と言うと、すぐに人事評価制度、等級制度、能力開発制度などの各種の人事制度の話をする人がいますが、それらは手段に過ぎず、目的と混同しています。

労務管理の目的は、あくまでこれら3つの要素を達成することであり、3つの要素を達成するための手段として人事制度があると理解しておきましょう。

1. モラールの維持向上(モラールアップ)

モラールという言葉は聞き慣れない言葉かもしれません。

モラールとは、目標を達成しようとする意欲や態度、勤労意欲、やる気のことです。

よく間違われますがモラルとは異なります。モラルとは一般的な道徳観のことです。

「目標達成のために、従業員のモラールアップを図ります」と従業員教育などでよく使われますが、職場などでの労働意欲の向上、士気向上をはかることを意味します。

また、似た用語としてモチベーションがありますが、モチベーションとモラールも違います。

モチベーションは個人のやる気に焦点を当て、モラールは全体の士気を指します

なお、従業員一人一人のモチベーションアップを考えるときに役立つ理論がマズローの欲求5段階説です。

5段階の階層を用いて人間の欲求を理論化したもので、以下の記事で人事制度の関係を解説していますが、人事制度の構築には欠かせない理論です。

関連:人事制度の構築に役立つマズローの欲求5段階説の利用法と注意点

2. 生産性の向上

せっかく人を雇用しても、バラバラに動いていたら無意味です。

そして、従業員の生産性を向上させるには、人材育成が不可欠です。

では、人材育成の第一歩は何か、本音で回答すれば、まずは「人を見極めること」と「業務の見える化」に取りかかるべきでしょう。

多くの会社では、すぐにすべての従業員への教育を考えます。

もちろん、それは良いことです。ただ、投資をするときにはリターンも同時に考えるべきです。

関連:管理職は必見!できる部下とできない部下を見分ける5つの特徴

関連:経営史に残る最強トヨタの人材育成! 史上最悪のアメリカの工場を変えた働き方

3. コンプライアンス(法令遵守)

コンプライアンスは、法令遵守と訳されますが、関連する法令を遵守し、リスクを回避することが目的となります。

労務管理に関係する労働法令は数多くありますが、その中心となるのが労働基準法です。労働基準法は、労働条件の最低基準であり、強行法規であるため、違反すれば罰則があります。

2年ほど前に、「労働基準法なんて守っていたら経営はやってられない」と豪語していた経営者が、訴訟を起こされ、世間に袋だたきにされ、結局和解となり、社長退任、最後は労働協約まで締結した事件がありました。

また「日本の労働法令は海外に比べて厳しい」といった意見を述べる人がいますが、大きな誤解です。むしろ、日本の労働法の規制は海外に比べて甘いと言わざるを得ません。

加えて、海外では労働基準法を軽視する企業は人権侵害をする企業と同視されることを多くの日本人が知りません。

関連:労働基準法を軽視 = 人権侵害の企業は海外では常識

むしろ、これからの時代、法令遵守は当たり前、それ以上に快適な職場環境をどのように整備していくかというのは、これから会社が生き残っていく上で経営戦略の重要な一つであると肝に銘じておくべきです。

大企業・中小企業といった規模は関係ありません。人口減少が顕著になっている日本社会において、コンプライアンスを軽視する企業は淘汰されることを認識しておくべきです。

まとめ

労務管理を行う人事部門はバックオフィスと呼ばれ、黒子的な扱いをされがちですが、実際は会社を支える重要な土台です。お金を扱う経理部門と同様です。

なにより重要なことは、人事部門にも顧客がいるということです。

では、人事部門の顧客とは誰でしょうか?

それは、雇用している従業員です。従業員が活躍していないのであれば、それは人事部門の責任と断言できます。

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