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今も昔も変わらず言われ続けているのが人材不足。実際、優秀な人が来てくれない、そもそも応募がない、面接しても辞退されてしまう、入社してもすぐに辞められてしまう、こんなご相談をよく聞きます。
ただ、思い込みやイメージではなく、データを踏まえて正しい状況を説明するのが当事務所のスタンスなので、今回は「中小企業白書(2015年版)」を用いて解説します。
事業の維持・拡大を志向する企業の抱える経営課題のトップ3が人材の問題
まずは、事業の維持・拡大を志向する企業の抱える経営課題を示した「中小企業白書(2015年版)」の図2-2-17を引用して、当事務所で作成したグラフが以下です。
ポイントは、「事業の維持・拡大を志向する企業」の抱える経営課題のトップ3が、
- 求める質の人材がいない:22.1%
- 人材の人数が足りない:18.6%
- 社内人材の教育・育成:15.3%
という「人材の問題」と回答している点です。事業の拡大時に人材不足となるのは理解できますが、維持を志向する企業も人材不足を抱えているのは深刻な課題と言えます。
36%が人材を確保できていない
人材に関する課題が大きい中で、人材の確保状況を示した「中小企業白書(2015年版)」の図2-2-18を引用して、当事務所で作成したグラフが以下です。
確保できている企業は以下を合計して26.7%、それに対して確保できていない企業は36.3%となっています。
- 十分確保できている:6.7%
- 十分ではないが確保できている:20.0%
なお、「確保していない」とは、「確保する必要もしくは余裕がないため」を選択した企業を示しています。
応募がない企業は56.8%
36.3%の企業が人材を確保できていない状況ですが、興味深いのはその内訳を示した以下の「人材を確保できない理由」です。
- 人材の応募がない:56.8%
- 人材の応募はあるが、よい人材でない:39.9%
そもそも人材の応募すらない企業が56.8%という数字は、かなり衝撃的です。
これが、データからわかる平均的な中小企業・小規模事業場の実態です。
もしかしたら「うちも同じ状況だ」「やはり中小企業・小規模事業場は大企業に比べてみんな苦労してるのか」と思ったかもしれませんが、残念ながら違います。
人材が確保できている企業とできていない企業を明確に分ける特徴
「人材の確保状況」を示した1つ目の円グラフをよく見てください。
- 十分確保できている:6.7%
- 十分ではないが確保できている:20.0%
合計して26.7%、3割弱の中小企業・小規模事業場は人材を確保できています。
つまり「人材を確保できている企業」と「人材が確保できていない企業」が明確に分かれているだけです。
あなたの会社が、人材を確保できていないのであれば、その理由は、
- 中小企業・小規模事業場だから
ではないということです。
では、「人材を確保できている企業」と「人材が確保できていない企業」の違いはどこにあるのか?
そのヒントとなるのが、人材が確保できている企業とできていない企業の特徴を示した「中小企業白書(2015年版)」の図2-2-20を引用して、当事務所で作成した以下のグラフです。
このグラフは「人材を確保できている企業」と「人材が確保できていない企業」の特徴の差分を表しています。
つまり、棒グラフの大きい順に違いがあり、このグラフから「人材を確保できている企業」と「人材が確保できていない企業」の最も大きな違いは、
- 人材獲得のためのノウハウ・手段
次いで、労働条件や賃金の差が大きいことがわかります。
まとめ
今回は、中小企業・小規模事業場の経営課題、人材確保の状況、「人材を確保できている企業」と「人材が確保できていない企業」の特徴についてデータを踏まえて解説しました。
右に倣えでビジネスをすれば、あなたの会社はお客様にとって他と同じ、ただのどこにでもある企業です。同様に、右に倣えで人材募集をすれば、あなたの会社は求職者にとって他と同じ、ただの企業です。
今回のデータからわかることは、
- 普通の中小企業・小規模企業が、戦略なく採用をしても人材は応募してこない
- 人材獲得のためのノウハウ・手段が重要
ということです。
当事務所の持論でもありますが、顧客獲得と人材獲得の戦略のどちらも同じ、結局はマーケティング力が重要です。まさにこのデータは、ノウハウ・手段を知っているか、知らないかが重要であることを顕著に示しているとも言えます。
なお、多くの企業がアピールしている「仕事のやりがい」は、あまり差がないこともデータからわかります。無意味とまでは言いませんが「人材を確保できていない企業」は他にやるべきことがたくさんあるでしょ? とも言えます。
- 毎年のように改正される労働法令への対応に頭を悩ませている
- 総務や経理などの他の業務を兼務しているので、人事労務業務だけに時間を割けない
といった悩みを抱える企業の経営者・人事労務担当者向けに、公開型のブログでは書けない、本音を交えた人事労務に関する情報・ノウハウ、時期的なトピックに関するメールマガジンを「無料」で配信しています。
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