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プレイングマネージャーという理想論で組織は混乱する?

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プレイングマネージャーという言葉で思いつくのは、野球の選手兼監督ですが、最近はビジネスでもこの言葉が使われます。

「プレイングマネージャー」が生まれた背景として、人件費抑制のためのリストラで、現場の従業員だけでなく管理職のポストも激減した結果という説があるようですが、確かに周りでも見聞きすることが増えてきています。

管理職だから自らの時間をコントロールできるし、プレイヤーとしての時間、マネージャーとしての時間を分ければできるだろうと一見思ってしまうところが、この愚策を推進している理由でしょう。

管理職の適正

管理職になるくらいなので、その人が優秀なプレイヤーであったことは間違いありません。もしかしたら、2人分、いや3人分くらいの働きを見せていたかもしれません。

しかし、管理職としての適正は、

  • 部下の力を発揮させるマネジメントの力を持っているか

に尽きます。本人がいかに優秀なプレイヤーだったとしても、マネジメント力がなければ管理職として不適正と言わざるを得ません。

組織こそ用いるべきレバレッジの威力

プレイングマネージャーが頑張って3人分くらいの働きをした場合、+2人分。

しかし、マネジメント力を発揮し、部下の力を活かせば、もっと効果を出すことができます。

例えば、10人の部下が1.5人分の働きをしてくれたら、15人分、つまり+5人分となります。

プレイヤーとしての1人当たりの働きで見れば、+2人分のプレイングマネージャーの方が優秀ですが、+1.5人分でも部下の数が多くなれば、専任マネージャーの方が組織に貢献できることになります。

つまり、個人のがんばりには限界があり、部下のマネジメントを適切に行い、各自に力を発揮してもらった方が、組織にとってはるかに良いということであり、これが組織によるレバレッジの力です。

ちなみに、レバレッジ(Leverage)とは「てこの原理」という意味です。組織が人を抱えるのは、レバレッジを効かせるためであり、人で頑張るだけなら個人で仕事をしていればよいわけです。

私に支点を与えよ。さらば地球も動かさん。 — アルキメデス

「部長ならできます」が笑い話になるのは日本だけ?

日本の雇用と中高年」のP164「社内身分としての管理職」の中で、日本企業の管理職に関する本質を以下のように指摘しています。

大企業の部長経験者が面接に来て、「あなたは何ができますか?」と聞かれて「部長ならできます」と答えた・・・という小噺です。

これのどこが笑い話なのか? と欧米人なら聞くでしょう。ビジネススクールを出て管理職として働いてきた人が「部長ならできます」というのは、メディカルスクールを出て医師として働いてきた人が「医者ならできます」というのと、ロースクールを出て弁護士として働いてきた人が「法務ならできます」というのと、本質的に変わりはないはずです。しかし日本では変わりがあるのです。なぜなら、日本の労働社会では、管理職というのはいかなる意味でも職種ではないからです。

「管理」という専門的な業務をするのが「管理職」、こんな国際的に見て当然のことを日本では行われていない現状があるわけです。

そんな本来果たすべき管理職としての職責ができていない現状にも関わらず、「プレイングマネージャー」といったプレイヤーの役割まで求めている、こんな状況だからこそ、私は愚策だと思ってしまうのです。

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