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今や中小企業のカリスマ社長と言われている株式会社武蔵野の小山社長の「1日36万円のかばん持ち」から、人事制度を考える上で役立つ、そしてクライアントにも伝えていきたい4つの名言・心得をご紹介します。
ちなみに、ちょうどこの本を読んでいるときに、まさにクライアントの社長が、かばん持ち経験者と知って盛り上がりました。
1. 離職率を下げる方法
三流は、社員を「叱り」続ける
二流は、社員を「励まし」続ける
一流は、社員を「ほめ」続ける
小山社長は「離職率を下げたければ「1日1時間以上」社員をほめなさい」と言います。
私のクライアントや友人の会社でも、サンクスカードを実践している会社は多くあります。
同書では「小さなことをたくさんほめる」、「手書きにする」ことを推奨しています。
ほめる頻度を多くすること、手間をかけないと心は通じないとの思いからです。
- 月に5枚以上書くと、500円もらえる
- 一般社員は月10枚、管理職は月20枚以上出さなければ、罰金5000円
という一工夫もあります。ちなみに罰金制の導入には就業規則の変更が必要であることを付け加えておきます。
2. 採用よりも人材育成
三流の口グセは、「誰かいい人いないかな?」
二流の口グセは、「即戦力を採用」
一流の口グセは、「現有勢力を最強に」
小山社長は「『今よりもいい人材』を採用するより、『今いる人材』を『最強』に」と言います。
「辞めても次がいる時代」から「辞めたら次がいない時代」に変わっていることを認識すべしと説いています。
業績の良い会社は「営業力の強い会社」であったが、今後は「いかに人を大切にしているか」が会社の業績を左右するようになったとも言っています。
特に、労働集約型の産業は、人手不足になりがちな一方、生産性を上げる必要があります。また、どこの会社でもやることは同じであるため、「人」で差別化をするしかありません。
結局は、社員教育・人材育成しかないわけです。
3. 残業を減らす2つの方法
三流は、「残業を放置」する
二流は、「社員を犠牲」にして利益を上げる
一流は、「IT化と賞与評価」を一気に見直す
小山社長は「『増収増益』を続けたければ、『残業』を減らしなさい」と言います。
同書では、不要な残業を減らす手段として講じた施策は、IT化と賞与評価の見直しの2つだけと紹介されています。
ただし、そのやり方は中途半端なものではありません。
同書では要した費用までは紹介されていませんが、おそらく相当の費用をかけたことでしょう。
- iPad miniを525台投入し、パート・アルバイトを含む全員に配布し、基幹システムをウェブ化しiPadと連携させることで、3時間かかっていた棚卸しを30秒で完了
- 残業がなくなっても業績が下がらなければ賞与を増やし、残業をするよりも年収が高くなるように人事制度を変更
この結果、同社では、月間100時間近く残業をする社員が10数人いたそうですが、今は月平均36時間に減り、そして業績は過去最高益を続けているということです。
4. 社長と社員が一緒に学ぶ
三流は、「社長ひとり」が学ぶ
二流は、「社長とナンバー2」が学ぶ
一流は、「社長と社員」が学ぶ
小山社長は「勉強しない社長は『ダメ社長』、自分だけ勉強する社長は『もっとダメ社長』」と言います。
また、小山社長は、600社以上の中小企業を指導する中で「おもしろいことに、社長が優秀すぎる会社は、例外なく赤字である」、そしてその原因は、社長と社員の間に溝(実力差)が開いてしまうからとも言っています。
この溝をつくってしまう原因として挙げられている以下の3つについては、私も日頃クライアントのところで多かれ少なかれ感じるものであったため同意するところです。
- 社長と社員では、持っている「ものさし」が違う
- 社長と社員では、見ているものが違う
- 社長が社員に対して「自分と同じように動いてほしい」と思っている
各項目の詳細は省略しますが、特に最後の部分「社長が社員に対して「自分と同じように動いてほしい」と思っている」について、小山社長は、以下のように厳しく指摘しています。
優秀すぎる社長は、社員に「何で、こんなことができないか?」と思ってしまいます。でも、社員はできなくて当たり前、やらなくて当たり前です。だから、できない人でも、やらない人でも「できるようになるしくみ」をつくらなければダメです。
そして、「優秀すぎる社長は、ときに『うちの社員はバカだ』と言いますが、バカな社員をつくったのは、社長自身です。」とも言います。
まとめ
今回は、「1日36万円のかばん持ち」から、人事制度を考える上で役立つ4つの名言・心得をご紹介しました。
個人的には同意する心得ばかりで、また今回は触れなかった銀行との付き合い方や経営計画書など、実務的にもすぐに役立つような内容が詰め込まれた良書です。
経営者による本というのは数多く出回っていますが、人事制度や人材育成という観点から見ると???と思う本も多く、その中で「1日36万円のかばん持ち」は数少ない個人的に完全に同意する素晴らしい内容であったため、珍しく書評を書きました。オススメです。
- 毎年のように改正される労働法令への対応に頭を悩ませている
- 総務や経理などの他の業務を兼務しているので、人事労務業務だけに時間を割けない
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