自閉症の人たちが秀でていた作業と抜擢された組織

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分類: オススメ本

何事もデータや研究結果といったエビデンスを元に考えるべきです。

間違った思い込みやイメージで議論する時間はムダであり無意味、それどころか間違った結論にたどり着くとマイナスにしかなりません。

そんな私がハマっている本が「残酷すぎる成功法則」。

本屋に行けば、自己啓発書、成功本にあふれていますが、そのほとんどが自分の体験談などエビデンスがないものです。

それに対して「残酷すぎる成功法則」は膨大なデータ・研究結果に支えられた本であり、多くの箇所で印象的な内容があったので紹介します。

良い遺伝子と悪い遺伝子ではなく、ポイントは違い

良い遺伝子と悪い遺伝子とレッテルを貼り、犯罪者などを悪い遺伝子のせい、と片付けてしまえば簡単です。

心理学者による「脆弱性ストレスモデル」説は、悪い遺伝子を持つ人は何か問題に遭遇すると、うつ病などの精神疾患を発生しやすいというもので、確かに説得力がありそうです。

しかし、遺伝学の最近の研究ではこの説が間違っている可能性が徐々に強まっているとのことです。

遺伝学の最近の研究では「良い遺伝子」対「悪い遺伝子」というモデルが覆され、増強装置概念に近い説が導入されつつある。

心理学者が差次感受性仮説(感受性差次仮説)と呼ぶもので、問題があるとされる遺伝子が、状況さえ異なれば素晴らしい遺伝子になりうるという考え方だ。

大多数の正常な人は、正常なドーパミン受容体遺伝子DRD4を持つが、一部の人は突然変異種のDRD4-7Rを持つ。これは、ADHD、アルコール依存症、暴力制と関連がある悪い遺伝子とされている。

「DRD4-7R」というのが悪い遺伝子と考えられていたものです。

しかし、社会心理学の研究者のアリエル・クナフォが子どもを対象に、自分から進んで他の子にキャンディを分け合うかどうか行った実験では、キャンディを分け与える傾向がより強かったのは「DRD4-7R」遺伝子を持つ子どもたちでした。

つまり「DRD4-7R」は悪い遺伝子ではなく、むしろ虐待や育児放棄などの環境によって特性は変わるということ、良い・悪いではなく単に異なっているということです。

この点について補強する同種の研究も紹介されています。

ある種のCHRM2遺伝子を持つ10代の子が、粗悪な環境で育つと非行に走りやすい。同じ遺伝子を持つ10代でも、良い環境で育てばトップになる。

5-HTTLPRという変異体遺伝子を持つ子が支配的な親に育てられるとズルをしやすいが、優しい親に育てられると規則に従順な子になる。

つまり、環境によって人は変わり者にもなるし、スーパースターにもなるということでしょう。

自閉症の人たちが秀でていた作業と抜擢された組織

以上の研究内容の紹介とともに、「残酷すぎる成功法則」では以下の事例を紹介しています。

イスラエル国防軍は、衛星写真の情報を分析する専門部隊を編成することになった。超人的な視認技能を有し、一日中同じ場所を見続けていても飽きず、微細な変化も見逃さない兵士が求められた。難しい任務だ。

ところが同軍は意外なところから打ってつけの人材を確保した。それは自閉症と診断された人びとだった。

自閉症の人は対人関係に困難を抱えるが、その多くはパズルなどの視覚的作業に秀でている。彼らは、自分たちも国防に役立つ有用な人材であることを証明したのだ。

求められる業務の適正から従業員を選定する、逆に、従業員の適正を見て業務を決定する重要性がよくわかる事例です。

もちろん、言うは易く行うは難しです。しかし、これから人手不足はさらに深刻化します。

企業はあらゆる業務をこなせる従業員を求めるのではなく、苦手な業務がある人でも、特に秀でた業務があればそこに配置する、そしてどのような処遇をしていくのかという多様な人事制度の構築・運用が求められる時代になっていると認識すべきです。

まとめ

障害者雇用の促進として、国は法改正を繰り返し、助成金、障害者雇用納付金など様々な手法を用いています。

ただ、本当の意味で、社会的な障害者雇用が進んでいくためには、企業、そして働く我々の意識が変わらなければならないといつも感じています。

ちなみに「働き方」は「教育」と同様に、誰しも持論があり、昨今はSNSを通じて様々な意見表明や議論がなされています。

議論は大いに結構です。ただ、誤解や単なる思い込みを元になされる議論は、井戸端会議のようにスッキリ感を味わうならともかく、誤った結論を導き、それを元に断言的な主張など弊害にしかなりません。

例えば、以前、以下の終身雇用制に関する記事を書きましたが、イメージでなくデータや研究結果のようなエビデンスを元に議論すれば、今さら「(定年までの雇用が見込めないという意味での)終身雇用制が崩壊したらどうすれば良いのか」なんて議論はありえないわけです。

自省を込めて、常に、エビデンスはあるか、という意識をもって議論したいものです。

関連:終身雇用制の崩壊が話題だがそもそも終身雇用は存在したのか?

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