労働生産性が向上している企業のOJTの取組内容

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カテゴリー: マネジメント
タグ: 統計

平成30年版の労働経済白書によると、日本はOECD主要国G7(フランス、米国、英国、ドイツ、日本、イタリア、カナダ)の中で、

  • 名目労働生産性、実質労働生産性ともに、G7の中で最も低い水準にある
  • 労働生産性の企業規模間格差が国際的にみて大きい

と指摘(P77)されており、日本全体の労働生産性の問題については多くの有識者が様々なことを語っています。

ただ、個々の企業にとってはそんなことはどうでも良く、関心が高いのは、我が社ではどうすれば労働生産性が向上するのか? ということでしょう。

能力開発は労働生産性の向上に効果が高い

OECD「国際成人力調査(PIAAC:Programme for the International Assessment of Adult Competencies)」によると、

  • 能力開発の実施率が高い方が、労働生産性の上昇率が高い傾向にある

ことがわかっています(P85)。

OJT、OFF-JT、外部のセミナーやワークショップなど様々な能力開発の手法がありますが、調査では、OJT限定、OFF-JT限定、能力開発全般それぞれの実施率を比較した結果、

  • いずれの能力開発においても能力開発の実施率が高いと、労働生産性の上昇率が高くなる傾向がある

と指摘しています。

つまり、能力開発をしっかりとすればするほど労働生産性は上昇するということです。

当たり前と思うかもしれませんが、多くの企業では従業員に対して「生産性を上げよう」と念仏のように唱えるばかりじゃありませんか? とついつい嫌味っぽく聞いてしまいそうですw

OJTに関する各取組の実施率

では、具体的に各企業は生産性向上のためにどのようなことをしているのか、OJTの取組内容をまとめたのが以下のグラフです。

注意

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このグラフを見て、やっぱりな・・・と思ったのが「とにかく実践させ、経験させる」というのが最上位に来ています。経営者や管理職たちが役立ったと思い込んでいる方法を、過去の成功例として、愚直に繰り返す姿が目に浮かびます。

イメージや過去の小さな経験のみに頼るのではなく、大規模調査、研究、統計を活かすという科学的視点を持つことは企業の実務でも重要のはずです。

かのニュートンでさえ「私がかなたを見渡せたのだとしたら、それはひとえに巨人の肩の上に乗っていたからです。」と言っていたのであり、ましてや我々のような凡人が・・・

なお、白書では、

「とにかく実践させ、経験させる」といった明確な計画性がないOJTは、生産性の向上との関連があまりみられない

とまとめられています(P139)。

労働生産性の向上につながるOJTの取組内容

ポイントは、効果があった取組と効果がなかった取組の差、つまり、実施率のギャップが多い取組、それが労働生産性の向上につながるOJTの取組内容と言えます。

実施率のギャップが多い取組を上位から並べると以下のグラフとなります。

この調査結果について、白書の中では、

「段階的に高度な仕事を割り振っている」といった明確な計画性のあるOJT、「仕事について相談に乗ったり、助言している」といった具体的な業務内容に直結するOJT、「仕事の幅を広げている」といった新たな業務内容にチャレンジさせるようなOJTなどが、生産性の向上につながる可能性が示唆される。

とまとめられています(P139)。

個人的な意見を付け加えると、「段階的に高度な仕事を割り振っている」「仕事について相談に乗ったり、助言している」「仕事の幅を広げている」といったことをするためには、きちんと部下を育成するために時間と労力をかけなければならないということです。

最近は、プロスポーツ選手を例に、従業員もプロ意識を持つべしといった論の展開が目に付きます。

「教えてもらってないのでできません」といった輩は私も問題ありと考えますが、安直な自己責任論に偏りすぎるのも問題です。

私の好きなプロ野球の福岡ソフトバンクホークスは3軍までありますし、選手の育成に定評があります。そして、活躍する選手は、様々な場面で監督やコーチ、サポートしてくれるスタッフへの感謝の言葉を述べています。

従業員にプロであることを求めるなら、経営者や管理職もプロであり、従業員をしっかりと育成し、感謝されるようなサポートをすることが当然です。

参考:平成30年版の労働経済白書(厚生労働省)

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