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「言った」「言っていない」といった不毛な後々のトラブルを防ぐためにも、採用時に労働条件通知書を交付することは重要です。
そもそも法令で労働条件通知書の交付は義務づけられていますし、人事労務の基本なので行政はきちんと労働条件通知書を交付しているかどうか重視しています。
ただ、なぜか、経営者や管理職の中には、正社員に行っているような人事労務の手続きが、パートタイム労働者には不要と誤解している人が意外と多くいます。
今回は、パート・アルバイトにも労働条件通知書は必要であり、むしろ正社員よりも厳しい規制と罰金・過料が課せられている根拠を解説します。
パートタイム労働者にも労働条件通知書は必要
「パートタイム労働者にも労働条件通知書は必要なのか?」という質問をよく受けます。質問というより「不要だよね?」という確認をされている気もしますが、間違いです。
当然、パートタイム労働者にも労働条件通知書は必要です。
労働基準法における労働者の定義
まず、労働基準法における労働者の定義を正確に理解しておきましょう。
労働基準法第9条において、労働者とは、パートタイム労働者やアルバイトなどの呼び名は関係なく、事業に使用され、賃金を支払われる人を指します。
- 労働基準法第9条(定義)
- この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。
パートタイム労働者にも労働条件通知書が必要となる根拠法令・罰則もあり
パートタイム労働者も、労働基準法における労働者の定義の中に入ります。
そのため、以下の記事で解説したとおり、労働基準法第15条に基づき、パートにもアルバイトにも労働条件通知書が必要となります。また、労働基準法第15条違反の場合、労働基準法第120条により30万円以下の罰金となります。
ただ、話はここで終わりません。
一般的に、パートタイム労働者は、正社員に比べて、入社・退職といった出入りが多いものです。となると、労働条件の不明確な明示によるトラブルが発生しやすいことになり、労働条件を明確にする労働条件通知書の役割は、正社員以上に重要とも言えるわけです。
このような考え方から、実は、パートタイム労働者の場合、労働条件通知書の必須記載項目が正社員以上に多くなっています。
パートへの労働条件通知書は項目が多く、過料も課される
パートタイム労働法(正式名称は「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」、2020年4月以前は、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)第6条により、
- 短時間労働者(いわゆる、パート、アルバイト)
- 有期雇用労働者(期間を定めて雇用される従業員、契約社員と呼ばれる会社が多い)
に交付する労働条件通知書は、正社員の労働条件通知書の記載事項に併せて、以下の特定事項も書面に加える必要があります。
- 昇給の有無
- 退職手当の有無
- 賞与の有無
- 雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口
ちなみに、違反した場合は10万円以下の過料となります。
そのため、合計すると、労働条件通知書の未交付で30万円の罰金、パートタイム労働者への項目の不備で10万円の過料、合計40万円となりますのでご注意ください。
なお、意外と多くの人が混同しているのが労働条件通知書と雇用契約書です。
どちらを使ってもよいというとんでもないアドバイスをしている専門家もいるようですが、労働条件通知書と雇用契約書は、根拠となる法令も違います。
違いがわからない方は以下の記事をご参考ください。
- 毎年のように改正される労働法令への対応に頭を悩ませている
- 総務や経理などの他の業務を兼務しているので、人事労務業務だけに時間を割けない
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