【罰金あり】パート・アルバイトの労働条件通知書に必要な記載事項

前回、人を採用するときは、「言った」「言っていない」といった不毛な後々のトラブルを防ぐためにも、労働条件通知書を交付することが必要である理由を書きました。そもそも法令で義務づけられていますし、特に行政はきちんと労働条件通知書を交付しているかどうか重視しています。

採用時に必要な労働条件の明示義務、労働条件通知書の項目の違い、よくある質問とその回答を図解して解説します。

ただ、なぜか、このような労務管理の話をすると、パートタイム労働者の場合は、正社員に行っているような手続きが不要と思っている経営者や管理職の方は意外と多くいます。

今回は、パートタイム労働者にも労働条件通知書は必要であり、むしろ正社員よりも厳しい規制と罰金・過料が課せられているという事実と根拠を解説します。

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パートタイム労働者にも労働条件通知書は必要?

冒頭でも紹介しましたが、本当にこの質問はよくされます。

質問というより「不要だよね」という確認をされているような気もしますが、これは大間違いであり、危険な理解です。

労働基準法における労働者の定義

まず、労働者というのは正社員だけではありません。

労働者というのは、労働基準法第9条で定義されているように、パートタイム労働者やアルバイトなどの呼び名は関係なく、事業に使用され、賃金を支払われる人を指します。

例外はありますが、本筋から外れるので、今回は割愛します。

労働基準法第9条(定義)
この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。

以下の記事では、事業場の定義を紹介しましたが、法律を読むときは、定義をきちんと理解しておく必要があります。

労働基準法に限らず法令を読む際には、必ず言葉の定義を理解しておく必要があります。今回は、労働基準法における「事業場」の定義、「企業」や「部門」との違いを解説します。

結論:パートにも労働条件通知書は必要・・・さらに!

パートタイム労働者も、労働基準法における労働者の定義の中に入るので、以下の記事でご紹介した労働条件通知書は、当然、必要ということになります。

特に、パートタイム労働者というのは、正社員よりも、入社・退職といった出入りが多いものです。となると、労働条件の不明確な明示によるトラブルというのが発生しやすいことになるため、正社員以上に重要とも言えるわけです。

このような考え方から、実は、パートタイム労働者の場合は、労働条件通知書の必須記載項目が正社員以上に多いのです。

採用時に必要な労働条件の明示義務、労働条件通知書の項目の違い、よくある質問とその回答を図解して解説します。

本当の結論:パートへの労働条件通知書は項目が増え、過料も課される!

具体的には、パートタイム労働法(正式名称は、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)第6条に規定されているのですが、正社員に明示する労働条件通知書の記載事項に併せて、以下の記載事項も書面に加える必要があります。

  1. 昇給の有無
  2. 退職手当の有無
  3. 賞与の有無
  4. 雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口

ちなみに、違反した場合は10万円以下の過料となります。

そのため、合計すると、労働条件通知書の未交付で30万円の罰金、パートタイム労働者への項目の不備で10万円の過料、合計40万円となりますので注意してください。もちろん、これは最悪のケースということです。

詳細は、厚生労働省が発行している以下のパンフレットをご参照ください。

参考

パートタイム労働者の適正な労働条件の確保のために(厚生労働省発行パンフレット)

追記:パートへの雇用契約書

意外と多くの人が混同しているのですが、労働条件通知書と雇用契約書の違いはわかりますか?

どちらを使ってもよいというとんでもないアドバイスをしている専門家もいるようですが、労働条件通知書と雇用契約書は、目的や用途がかなり違います。

後々の揉めるリスクを考えると雇用契約書の方をオススメしますが、詳細は以下の記事で解説していますのでご参考ください。

一般の方だけでなく専門家ですらきちんと説明できない雇用契約書と労働条件通知書の違いを解説します。

また、最近はブラックバイト問題が大きくクローズアップされたことに伴い、厚生労働省と文部科学省が合同で力を入れているのがアルバイトの労働条件です。以下の記事で詳しく解説していますのでご参考ください。

昨年は学業に支障が出るようなアルバイトが社会問題となり、ブラックバイトという言葉も出てきました。今回は、厚生労働省と文部科学省が作成した学生アルバイトを雇う際のチェックリストを取り上げます。

以下の本は、序章の中でも触れていますが、アルバイトの採用・育成に特化した初の入門書です。もちろん、経営者や管理職のための本はたくさんありますが、そのほとんどは個人の持論や経験に基づき書かれたものです。

以下の本は、アルバイトやパートの採用や育成に関して人を育てる科学的な知見、現場で働く人たちへの社会科学的な調査による分析結果に基づき、属人的な勘、経験、精神論に頼らない手法が紹介されており、かなりオススメの良書です。

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この記事を書いた人


安部敏志:社会保険労務士

「就業規則は働き方のルールであり、社内で自ら作成・修正すべき」という信念のもと、中小企業の人事担当者の育成に従事。
その他、専門雑誌等の記事の執筆にも積極的に対応。

事務所公式サイト:あべ社労士事務所

なお、同業の社労士から事務所運営や営業方法などの相談を受けることが増えていますが、当事務所は開業当時から この方法をそのとおりに実行しているだけです。

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