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中小企業によくある組織風土の4パターンと仕組み作りに役立つ人事制度

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労務の相談やコンサルティングを行う中でその企業に深く関わっていると、その会社の組織風土や社風というのは千差万別と感じます。

では、組織風土とは何なのか、どのようにして作られるのかという点について、日経トップリーダー2019年6月号の特集「組織風土とは何か - 悪しき行動が変わらない理由」で取り上げられており、大変興味深い内容だったので紹介します。

組織風土や社風はどのようにして作られるのか

組織風土とは、各企業に固有の思考、行動様式の傾向を指す。

私は大学卒業後、厚生労働省に入省しましたが、その後、外務省、環境省、在シンガポール日本国大使館と、様々な組織を経験する機会に恵まれました。

働いてみると各組織にはまさに組織風土を示す固有の思考や行動様式の傾向というのはありました。厚生労働省のように昔ながらの組織と環境省のように比較的新しい組織で異なりますし、外務省のように外国人を接することの多い組織だと日本っぽくない雰囲気というのもありましたし。

これらの組織風土は、一朝一夕に作られるものではないし、最初は社長が始めたことで合っても、ずっと続けていくうちに根付いていくものと言えます。

そういえば、顧問先のほとんどで共通する素晴らしい職場風土の1つとしていつも感銘を受けるのが挨拶 です。

訪問を終えて帰ろうとすると、その場にいる全員が立ち上がって見送り・挨拶を受けるんですよね。

毎回恐縮してしまいますが、これも立派な組織風土ですし、当初は挨拶をしない人もいたのではないかと思います。それが、全員で続けていき、しない人には周囲が注意する、こうした長年の行動の積み重ねによって組織風土ができあがっていったのでしょう。

組織風土のチェックリスト

以下の項目は、同誌に掲載されていた「こんな症状が見られたら要注意 - 組織風土のチェックリスト」です。

  • 会社のビジョンや価値観が社員に共有されていない
  • 社員からあまり意見が出ない
  • 噂話や陰口が絶えない
  • 若い社員に元気がなく、すぐ辞めてしまう
  • 他人のミスを責めたり、責任をなすりつけ合ったりすることが多い
  • 信頼関係がなく、他人の仕事に関心がない
  • 職場での会話がほとんどない
  • 職場が暗くよどんでいる
  • 社員の目に活力がない
  • 顧客が来客してもあいさつしない

どの企業でも1つは当てはまりそうな気もしますが、良い組織風土が積み重ねであれば、悪い組織風土も積み重ねです。

経営者はもちろん、各社員まで知らず知らずのうちに、ある傾向で思考・行動する。個人や組織に染み付いたものなので、風土が悪い場合には厄介だ。矯正するには相当な努力が要る。「今後は新しいことに挑戦してほしい」とトップが言うだけで改善するほど簡単なものではない。

これはまさによく目にすることです。創業社長などはリスクを背負って起業しているため、挑戦するマインドを持っていますが、雇われた社員が全て同じとは限りません。

というより、挑戦するマインドを存分に持っている人は自分で起業するでしょうし。

挑戦した人を評価する組織風土や仕組みがなければ、誰も失敗の可能性がある挑戦なんてしませんし、ましてや挑戦して失敗した人を批判したり減点評価するような仕組みが合ったりすれば最悪です。

中小企業によくある組織風土4パターン

同誌では中小企業の風土改革を支援するエムケーパーソナルセンターの社長に取材を基に作成した「中小企業によくある組織風土4パターン」をまとめています。

ちなみに、ブリリアンス(brilliance)とは元々英語で「輝き、明るさ、優れた才気」という意味です。

同社長によると「良い風土の会社は成果を求める意識とチームワーク力が両方高い」そうです。

確かに、和気あいあいとした会社は一見すると良い会社のように見えますが「仲良しクラブ型」になりがちかもしれませんし、同社長は「業績への厳しさに欠ける」と指摘しています。

では、中小企業で風土改革が失敗しやすいのはなぜか。よくある原因は社員だけに取り組ませ、経営者が考え方や動き方を変えない点。「『社員の風土を改善してほしい』と、自分だけ別世界にいるような感覚で依頼してくる経営者が多い。これでうまくいくはずがない」と堀之内社長は強調する。

これも私がよく感じる点に一致します。

部下がなかなか言うことを聞いてくれないと管理職に相談されることが多いのですが、その際には、私はよく以下の名言を利用しています。

やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。
山本五十六

良い組織風土を根付かせるために役立つ人事評価制度

組織風土は行動の積み重ねです。そして良い組織風土を作るには、会社が求める良い行動をまずは定義し、その積み重ねを社員に求めなければなりません。

会社が求めることなのに、勝手に社員に自立を求め、ましてや社員が行った行動を批判するようなことをしてしまえば、社員は自ら行動することをやめてしまいます。

そのために役立つのが人事評価制度です。人事評価制度という仕組みを用いて、会社が求める良い行動を定義し評価するわけです。

最近は人事評価制度構築の相談を受けることが増えていますが、その際に「他社と同じように」「まずはテンプレートを用いて」といったことも言われますが、それは大きな間違いですし、むしろ悪影響しか出ません。

以下の記事でも触れているように、ただでさえ労力のかかる人事評価制度を運用しても、社員に受け入れられない人事評価制度を運用してしまうと、制度がない場合よりもモチベーションが下がるという調査結果もあります。

関連:目標設定・人事評価とモチベーションの関係(調査結果)

良い組織風土を作るには時間がかかります。良い行動の積み重ねを自律的に行えるように人事評価制度の仕組みを利用することはオススメです。

ただし、型通りの人事評価制度を行ってモチベーションを下げないように注意が必要です。

そういえば、最近、同じ趣旨の本として「社風の正体」を読みましたが、こちらもオススメです。

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