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人事制度の構築手法としてアジャイル人事は検討の価値あり

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最近よく耳にするようになったアジャイル人事について調べてみたので私見を含めてまとめます。

アジャイル人事とは

AppleやUberも実践!組織を進化させ続ける「アジャイルHR」を始める4ステップによると、

アジャイルHRというキーワードは、2015年からすでに海外で注目を集めています。HR Trend Institute の選ぶ「HR Trend Institute」でも、堂々の1位で選ばれています。

ということで、海外では以前から流行しているようです。

ちなみに、アジャイル開発とは、Wikipedia「アジャイルソフトウェア開発」によると以下のとおり。

アジャイルソフトウェア開発手法の多くは、反復 (イテレーション) と呼ばれる短い期間単位を採用することで、リスクを最小化しようとしている。 1つの反復の期間は、プロジェクトごとに異なるが、1週間から4週間くらいであることが多い。

人事領域にテクノロジーを組み合わせるHR techは今まさに流行しているところですが、開発手法であるアジャイルの概念を人事にも活用しているんですね。

ハーバード・ビジネス・レビューでも「アジャイル人事 俊敏な組織に進化する」という特集があり、その手法が紹介されています。

  • 10名程度、最大でも20名程度のプロジェクトチーム(アジャイルチーム)を作る
  • プロジェクトチームの権限は所属する組織から完全に離れたものにする
  • 適用する人事制度の範囲を最小限、短時間でのレビュー

など、従来の考え方とは異なる興味深いものです。なお、特集記事の一覧は以下のとおりです。

  • 伝統的な組織を俊敏に変える3つのステップ - 日本企業が「アジャイル」を実践する方法
  • 採用、評価から育成まで - アジャイル化する人事
  • [インタビュー]テクノロジーを活用したIBM流人事改革 - アジャイル成功のカギは社員との信頼関係にある
  • フィンテック時代のING全社戦略 - 世界的金融グループはアジャイル手法で組織を変えた
  • 「つくる人を増やす」カヤックの組織戦略 - “面白さ”を追求したら生き物みたいな会社になった

アジャイル人事が活用されている6つの分野

ハーバード・ビジネス・レビューの記事によると、アジャイル人事が活用されている分野は以下のとおり。

  1. 業績査定
  2. コーチング
  3. チーム
  4. 報酬
  5. 人材の募集と採用
  6. 学習と能力開発

詳しくはハーバード・ビジネス・レビューを読んでいただくとして、近年大きな話題となったのは業績査定の部分です。

「アメリカでは人事評価をもうしなくなった」という誤解が昨年広まっていましたが、正しくは年次評価を止め、短期間によるフィードバックを重視するようになったというものです。

また、記事の中では、業績査定を目的とする人事評価では、所属のマネージャーの政治的な駆け引きが横行したという内容もあり、これは日本でもよく聞くことです。

そもそも人事評価 = 年次評価と考えるのが間違いですし、書面に評点をつけるのが人事評価というのも完全に誤解であり、人事評価で最も重要な点がフィードバックであるというのは以前からの常識ですけどね。

当事務所でも人事評価のご相談をいただく際には、人事評価には相当の労力がかかるので覚悟が必要、フィードバックをしない人事評価ならしない方が良いとよく言ってますし。

アジャイル人事は日本企業にこそ適している?

ハーバード・ビジネス・レビューの中で、欧米企業よりも日本企業の方がアジャイルの手法が適しているのではないかという指摘があったのは興味深い点です。

その理由として挙げられていたのが以下の点です。

欧米企業では個々の業務やリポーティングラインがジョブ・ディスクリプション(職務規定書)で明確に規定されており、採用時と異なる役割を命じることは簡単ではない。

一方、セネラリストの育成を目指す日本企業の場合、そこはよい意味で曖昧である。アジャイルチームへの参加を促しやすく、これは大きな利点ではないか。

海外では「仕事基準」による職務給が一般的ですが、日本では「ヒト基準」による職能給という特殊な賃金形態が発展してきた歴史があるので、この指摘には確かに大いに同意する点です。

関連:職務記述書・ジョブ・ディスクリプションの定義と記述項目

まとめ

伝統的なソフトウェア開発として有名なのが以下の「ウォーターフォールモデル」です。

ウォーターフォール開発手法は、数あるソフトウェア開発手法の中でも、最も計画重視であると位置づけられる手法である。ウォーターフォール開発手法では、要件定義、分析、設計、実装、テストの各工程を、予め計画された順序に厳格に従って行う。また、プロジェクトの進捗は、一般的には、次のような納品可能な成果物をもとに計測される。

人事制度の構築や見直しでは、このウォーターフォールモデルの手法を利用していますが、それは人事制度の場合、従業員全体へ公平性が重要、失敗が許されない、という考え方が根強いためです。

ハーバード・ビジネス・レビューの記事でも、ウォーターフォールモデルがダメと言っているわけではなく、人事制度の内容や目的によって適した手法は異なるとまとめられていますので、その点はご注意ください。

しかし、当事務所が人事制度の構築・見直しを行う際には「小さく産んで大きく育てることが重要」と常々言ってきたのですが、アジャイル人事とはうまい表現だなと感心しましたw

参考記事

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