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管理職は労働基準法により法的責任を問われるので要注意

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管理職の方々と話をすると、多くの方が人事労務管理の重要性に強く同意しつつ、

  • 会社として人事労務管理を真面目に考える必要がある
  • 社長・人事に何とかしてもらわないといけない

など、まるで他人事のように発言します。

今回は、「労働基準法における使用者とは?」を軸に、実は、経営者よりも管理職の方が法的責任を問われるリスクが高いこと、そして実際に責任が追求されている実例を紹介します。

労働基準法における使用者の定義

まず、労働基準法の中で「使用者」がどのように定義されているか確認しておきます。

労働基準法第10条
この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。

労働基準法第10条の「その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者」という部分が、中間管理職などの管理職を指しています。

「使用者」は、事業主つまり経営者だけを指していると思われがちですが、実は、中間管理職も使用者に該当します。また、中間管理職は労働者にもなりえます。

つまり、管理職は、労働基準法上、使用者にも労働者にもなるということです。

労働基準法は実態を踏まえて適用されるという点にご注意ください。なお、管理職の微妙な位置付けについては、以前も記事を書いていますのでご参考ください。

関連:残業代の対象になる管理職とならない管理職を法令・裁判例で解説!

労働基準法の罰則対象

労働基準法は、使用者に様々な義務を課し、その義務を履行しない使用者に罰則を課しています。

そして前述のとおり、使用者には経営者だけでなく管理職も含まれます。

つまり、労働基準法違反により罰則が課される場合、加害者となるのは経営者だけでなく、管理職も十分なりえるということです。

冒頭で紹介した「他人事のように考えている管理職にこの使用者の概念を説明すると、途端に他人事から自分事になります。

管理職は経営者より罰則を受けやすい?

会社の規模によりますが、実態として人事労務管理を現場に任せっきりの経営者の場合、違反の事実を本当に知らない可能性があります。

その場合、労働基準法違反行為の事実を知り、行政指導を受けても改善しなかったその直接的な責任は誰か、となると、直属の管理職になります。もちろん経営者の責任が0にはなりませんが。

実際「東京労働局の平成22年度の送検事例」を見ると、管理職(総務部長)が送検された例として以下が掲載されています。

なお、実際に送検されるときは会社名が公表されます。

食料品製造会社らを「労災かくし」で書類送検

立川労働基準監督署は,食料品製造会社及び同社の総務部長を,労働安全衛生法違反の容疑で,東京地方検察庁立川支部に書類送検した。

〈事件の概要〉
被疑会社は,食料品製造業を営むものであるが,平成21年9月11日, 東京都東村山市内の同社工場において,同社従業員が製品搬送中に転倒し,左大腿部,腰部等の打撲等の傷害を負い,76日間休業したにもかかわらず,労働災害を隠蔽する目的で,労働者死傷病報告を遅滞なく提出しなかったものである。マンション改修工事現場における墜落災害で足場工事業者を書類送検

まとめ

会社の最終的な責任は当然経営者になりますが、法違反という観点から見た場合、実際に違反行為を知り放置した者が責任を問われることになります。

そもそも経営者が会社内のすべてを把握することは現実的に難しく、だからこそ管理職は置かれているわけです。

そのため、管理職は他人事ではなく自分事として、組織の運営に責任を持った上で適切な部下のマネジメント・人事労務管理を行わなければなりません

なお、国への労働相談は以下のように増加し続けており、あなたの会社も他人事ではなくなるかもしれません。

関連:労働相談は14年連続で100万件超、いじめ・嫌がらせが最多

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