【29年度対応】社会保険の算定基礎届の必要な書類等を徹底解説!

こんにちは。福岡の社労士・安部敏志です。

人事労務担当者にとって忙しい時期がやってきましたが、準備は大丈夫ですか?

人事労務担当者の年間業務には大きな山が2つあります。1つは年末調整、そして、もう1つが労働保険の年度更新の申告・納付、社会保険の算定基礎届の提出を行う6〜7月です。

今回は、社会保険の算定基礎届の対象者、報酬月額の原則と例外的な計算方法、必要な書類、提出期限など基本的な部分をわかりやすく解説します。

スポンサーリンク

算定基礎届とは

算定基礎届とは、7月1日現在で使用している全ての被保険者の4〜6月に支払った賃金を提出するものです。

この提出された算定基礎届をもとに、厚生労働大臣は毎年1回、標準報酬月額を決定しますが、これを定時決定と言います

なお、標準報酬月額が決定するのは9月1日であり、標準報酬月額により算出された社会保険料は、原則として9月から翌年の8月まで適用されることになります。

この定時決定を毎年1回行うことで、実際の報酬額と標準報酬月額の整合を取り見直しを行っているわけです。

実際に支給される賃金は毎月変動するものですが、毎月社会保険料の計算をするのは手間がかかるため、このようなやり方が昔からされています。

といっても、労働保険は実際に支給した賃金額を用いて計算されていますし、今では給与計算ソフトを用いることで手間はほとんどないわけですが。

4〜6月の賃金(給料)は低い方が良いと言われるのはこの定時決定が関係しています。昇給時期が4月の場合、等級が上がり、社会保険料も増額になる可能性もあります。

標準報酬月額の計算例

例えば、4月に20万円、5月に18万円、6月に19万円の給与が支払われたときは以下のように計算します。

(20万円 + 18万円 + 19万円)÷ 3 = 19万円

3か月間の1か月当たりの平均給与額は19万円となります。

これを標準報酬月額の表に当てはめると、報酬月額が185,000円以上195,000万円未満となるため、16等級・標準報酬月額が19万円になることがわかります。

算定基礎届の対象者

算定基礎届の対象者は7月1日現在の全ての被保険者です。

ただし、以下のいずれかに該当する方は提出が不要です。

  • 6月1日以降に被保険者の資格を取得した人
  • 6月30日以前に退職した人
  • 7月改定の月額変更届を提出する人

月額変更届というのは、給与に著しい変動があったときに行われる手続きのために提出する書類のことです。

年1回の算定基礎届に基づく決定を定時決定と言うのに対して、この月額変更届による手続きを随時改定と言います。

報酬月額の計算方法・原則と例外

原則は、4〜6月の報酬月額を用いて、標準報酬月額を計算します。先程示した標準報酬月額の計算例が原則です。

ただし、先程は解説を省略しましたが、4〜6月の支払基礎日数が17日以上という前提があります。

例えば、4月の報酬支払基礎日数が17日未満で、5・6月の報酬支払基礎日数が17日以上の場合は、5・6月の報酬月額の平均を用いて、標準報酬月額が決まります。

整理すると、報酬月額の平均額は以下のように算出します。

原則
4・5・6月に支払った賃金の総額を3で除して得た額
4月の報酬支払基礎日数が17日未満、5・6月が17日以上の場合
5・6月の平均報酬額
4・5月の報酬支払基礎日数が17日未満、6月のみ17日以上の場合
6月の報酬額
パート・アルバイトなどで4〜6月のすべての月で報酬支払基礎日数が17日未満の場合
15日以上17日未満の月を対象月として算出した額

なお、先程から「報酬」と書いていますが、社会保険における報酬とは以下のように定義されています。

賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのもの

ただし「臨時に受けるもの及び3月を超える期間ごとに受けるものはこの限りでない。」とされており、年3回以下の賞与や退職金は含まれません。以下の記事では具体的に何が報酬に該当し、何が報酬に該当しないかをわかりやすく表にしています。

社会保険の対象となる報酬の範囲をわかりやすく表にしました!
社会保険の対象となる報酬の範囲はわかりにくいと感じられがちなので、わかりやすく表にしてまとめてみました。

算定基礎届に必要な書類

算定基礎届で提出する書類は以下の3つです。

  • 健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額算定基礎届
  • 健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額算定基礎届総括表
  • 健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額算定基礎届総括表附表(雇用に関する調査票)

また、70歳以上の被用者がいる場合は、以下の書類も併せて必要になります。

  • 厚生年金保険70歳以上被用者 算定基礎・月額変更・賞与支払届

7月改定の人がいる場合は以下の書類も必要になります。

  • 被保険者報酬月額変更届

また、これは意外と知らない人が多いのですが、年間平均の中で4〜6月の賃金額が他の月と比べて異なる場合、年間平均による保険者算定を求めることもできます。

その場合は、以下の書類を提出する必要があります。

  • 年間報酬の平均で算定することの申立書
  • 健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額算定基礎届・保険者算定申立に係る例年の状況、標準報酬月額の比較及び被保険者の同意等

なお、様式は必ず最新のものを用いてください。以下の日本年金機構のウェブサイトに掲載されています。

参考 算定基礎届の申出書様式(日本年金機構)

算定基礎届の提出期限

算定基礎届の提出期限は7月10日です。

労働保険の年度更新の手続き期間は6月1日から7月10日であるため、どちらも期限が7月10日なので要注意です。

まとめ

今回は社会保険の算定基礎届に関する基本的な部分を詳細解説しましたが、いかがでしたでしょうか?

労働保険は概算保険料・確定保険料という独特な考え方を取り入れていますが、それに対して、社会保険も報酬支払基礎日数、標準報酬月額など独特な設計となっています。

どちらの提出期限も7月10日でありながら、それぞれ異なった制度設計、そして1年に1回の作業なので手順などを忘れているといったことがありがちですが、計画的に進めていくことが大事です。

特に、算定基礎届の場合、7月10日が期限のため、6月の給与確定後すぐに着手しなければなりません。

早めに着手できる年度更新を終えて算定基礎届に取りかかるなど、計画的に事務を進めてください。

なお、労働保険の年度更新の注意点については、以下の記事で解説しています。特に概算保険料と確定保険料の関係については図を用いてイメージ的に理解しやすいようにしています。

【29年度対応】労働保険の年度更新・提出前の最終チェック事項を解説!
人事担当者の主要業務の1つである労働保険の年度更新について誤解の多い点などを基本からわかりやすく解説します。

また、社会保険・労働保険の全般的な基礎知識については以下の記事で解説していますので、今回の算定基礎届をはじめて行う方であれば、まずは社会保険の基礎的な知識を押さえておきましょう。

社会保険・労働保険の基礎知識:種類・加入条件などを詳細解説!
社会保険・労働保険の基礎知識として、社会保険の定義・種類・加入条件などを詳細に解説します。特に加入条件の部分はよく質問を受けますので念のため確認しておきましょう。

算定基礎届や月額変更届にも対応したオススメのソフト

算定基礎届について解説してきましたが、実は、算定基礎届や月額変更届に対応した給与計算ソフトを利用していれば、帳票は自動で出力されます。

たまにオススメの給与計算ソフトについて質問を受けますし、昔ながらの何十万もするようなソフトを利用している会社(しかもバージョンアップや年間保守でも何万円も取られているという今どきありえないビジネスモデル・・・)もありますが、今のクラウドソフトは、もっと手軽で、そして安価です。

当事務所のクライアントの多くが、給与計算ソフトfreee、またはMFクラウド給与のどちらかを利用しており、どちらも算定基礎届や月額変更届の帳票出力にも対応しています。

社会保険の算定基礎届というと、書類を記入して郵送していた時代もありますが、隔世の感がありますね。

どちらのサービスも無料で利用を開始できるため、まずは試しに登録してみてはいかがでしょうか?

ちなみに、当事務所では、パートナー契約のクライアントに限って代行業務はしていますが、e-Govの電子証明書を取得しすべて電子申請で対応しています。

今どき、紙を印刷して、行政に持ち込むことなんてしていませんよ。。。

【29年度対応】社会保険の算定基礎届の必要な書類等を徹底解説!
本記事以外の人事労務情報も満載の
Facebookページを、
いいねしてチェックしよう!
スポンサーリンク

フォローする

人事の秘訣を知りたくありませんか?

人事の秘訣を知りたくありませんか?

毎月1回、人事に悩む経営者や人事担当者向けに、公開型のブログでは書けない本音を交えた人事の秘訣をお伝えしています。

また、人事担当者が対応すべき時期的なトピック、購読者限定のお得なサービスのご案内などを配信していますので、ぜひお気軽にご登録ください。

注意
*は必須項目を示しています。なお、氏名の欄には本名を漢字で入れてください。「たこ」など明らかにふざけた名前を登録している方がいますが、見つけ次第削除しています。


この記事を書いた人


安部敏志

あべ社労士事務所代表・社会保険労務士

中小企業の人事労務担当者の育成を中心に活動。その他、労働法令に関する専門記事の執筆やセミナー・社内研修の講師にも対応。詳しくは業務内容のページをご参照。

error: Content is protected !!