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待機などの手待時間は労働時間? 休憩時間との違いも解説!

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時間外労働の上限規制が始まりましたが、何が労働時間に該当する・しないかを理解しておくことは重要です。待機などの手待時間が労働時間に該当するのかという点について解説します。

まず、労働時間の定義については以下の記事で解説していますが、ポイントは

  • 使用者の指揮命令下にある時間かどうか

これが大きな判断基準になります。

関連:労働時間とは? 残業時間の対策の前に労働時間の定義に要注意!

それでは、待機などの手待時間は労働時間になるのでしょうか?

まず、よくある間違いとして、手待時間と休憩時間の混同があります。

手待時間とは

  • 貨物の積み込み作業を行う労働者が、貨物自動車の到着を待機して待っている時間
  • 2名の運転手が交替で運転する場合に、助手席で休息・仮眠している時間

これは手待時間の例ですが、手待時間とは、労働者が使用者の指揮監督の下で時間的・場所的に拘束されている状態です

つまり、労働時間の定義である「使用者の指揮命令下にある時間」に合致するため、行政解釈でも「手待時間は労働時間に該当する」と示されています(昭33. 10. 11基収第6286号)。

手待時間と休憩時間の違い

一方で、休憩時間は労働時間には該当しません

なぜなら、休憩時間は、労働者が時間の自由利用が保障されており、使用者の指揮監督下にないためです。

休憩時間の関係でよく問題になるのが、昼食休憩時間中の電話当番です。

行政解釈(平11. 3. 31基発第168号)では実際に来客がなくても労働時間であると明確に示されていますが、それは電話当番という状態が、休憩時間ではなく手待時間であるためと判断されているためです。

つまり名称の問題ではなく、実態によって判断されるということであり、実際に以下のような裁判例もあります(すし処「杉」事件、大阪地裁・昭56.3)。

  • 客が途切れたときに適宜休憩してもよいという取り扱いは、休憩時間ではなく単に手待時間を休憩時間という名称にしたに過ぎない。

手待時間と休憩時間の違いをまとめると以下のようになります。

  • 手待時間:労働時間に該当する(使用者の指揮監督下にあるため)
  • 休憩時間:労働時間に該当しない(使用者の指揮監督下にないため)

関連:労働基準法に基づく休憩時間の与え方と注意点(罰則あり)

まとめ

上司が安易に休憩時間中の作業など指示していたら、それは休憩時間ではなく労働時間とみなされてしまいます。

三菱重工長崎造船所事件の判例では、

  • 労働時間に該当するか否かは、労働契約、就業規則、労働協約等の定めによって決められるものではなく、
  • 客観的に見て、労働者の行為が使用者から義務づけられたものといえるか否かなど、個別具体的に判断される

と示されていますが、これは実態と異なる労働契約や就業規則であれば、客観的に見るということであって、実態を踏まえた労働契約や就業規則であれば、当然労働契約や就業規則の定めに基づいて判断されます

残業規制が厳しくなっている昨今、労働時間の定義をきちんと理解し、業務の棚卸を行い、想定外の労務リスクに晒されないように予防しておくことが重要です。

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