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規則と規程の違い・使い分け・実務的な対応を徹底解説!

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専門家と呼ばれる方でもよく混同し、誤った情報を流してしまうのが法令用語です。

今回は、規則と規程の違い、就業規則と規程の関係性、人事規程とは何か、そして実は意外と実務的な対応をする上で重要な「その他」について徹底的に解説します。

規則と規程の違い

規則と規程の違いについて多くの方が疑問を感じるようですが、実は、この2つは全く異なるため、実例を交えて解説していきます。

なお、規程と規定についても誤字レベルを超えてよく間違っていますので、その違いが不明瞭な場合はご参考下さい。

関連:規定と規程の違いとは? それぞれの意味と使い方を詳しく解説!

規則とは

就業規則の話をする前に、まずは基本である「規則」と「規程」の違いについて解説します。

規則とは、大辞林によると以下のように解説されています。一般用語としては1の意味ですが、会社で利用する際に意識しておきたいのは2の部分です。

  1. 行為や手続きなどを行う際の標準となるように定められた事柄。きまり。
  2. 国会以外の諸機関によって制定される法の一種。法律・命令などとならぶ実定法の形式の一つ。衆議院規則・参議院規則・最高裁判所規則・会計検査院規則・人事院規則などのほか,地方公共団体の長の定める規則などがある。規則は法律に違反することができない

会社で作成できる規則の代表例が就業規則ですが、就業規則は法的に定められた手続きを行うことによって、法的規範性が認められる、つまり法の一種としてその効力が認められます

国が定めた法令に違反しない限り、民間の組織である会社が、法(の一種)を定めることができるわけです。

規程とは

次に、規程についてですが、同じく大辞林によると以下のように解説されています。

特定の目的のために定められた一連の条項の全体をひとまとまりとして呼ぶ語。国会の両院協議会に関する規程など。

もう少し簡単に言うと、規程というのは、特定の目的のために定めた文章を集めたものです。

規則があって、その中の一部分についてさらに詳細な内容を説明するために設けるのが規程、こんなイメージです。

規則と規程の違いを示す具体例

例えば、労働安全衛生法令は以下のように構成され、規則の下には膨大な告示や通達があるわけですが、規則と規程の関係性を明確に示す例があります。

  • 労働安全衛生法(法律) > 施行令(政令) > 労働安全衛生規則(省令)

この労働安全衛生法令の集まりの中に「安全衛生特別教育規程」というのがありますが、この規程は、労働安全衛生規則39条という「規則」の一部分のために定められたものです。

つまり、繰り返しになりますが、規程は、規則の一部分を詳しく説明するために策定されるものであるということです。

就業規則と規程の関係性

次に、人事労務に関する実務的な話に入っていきます。

人事規程と就業規則の関係

まず、会社内では人事規程という言葉がたまに使われますが、実は人事規程の明確な定義はありません。

例えば、労働法という言葉もよく使われますが、労働法という法律はありません。あるのは、労働基準法や労働契約法など、それぞれ目的を持ってつくられた法律だけです。これらをまとめて労働法と言っているだけです。

人事規程も同じです。人事労務管理に関係する文書として最も重要なものは、労働基準法第89条で定義された「就業規則」ですが、これは総括的に作成されるため「規則」となっています。

そして就業規則の一部分を詳しく説明するために「賃金規程」や「退職金規程」などの人事規程が作成されます。

ポイントをまとめると、以下のとおりです。

  • 就業規則:法律で義務づけられたもの
  • 人事規程:単なる俗称、各種の規程を総称したもの

賃金規程などの各種規程もやはり就業規則

先程、就業規則の一部分を詳しく説明するために「賃金規程」や「退職金規程」などの人事規程が作成されると説明しましたが、就業規則と規程との関係は以下のようになります。

  • 賃金規程などの各種規程 = 就業規則の一部

各種規程を就業規則と分離しているのは、就業規則本体のボリュームが大きくなりすぎるためです。

賃金規程はよく就業規則と別に準備されますが、それは賃金規程自体のボリュームも通常大きくなるからであり、便宜的に分けているにすぎません。

つまり、賃金規程も就業規則そのものということであり、就業規則は労働基準監督署への届出義務がありますが、同様に賃金規程も届出の対象になることを忘れてはいけません。

絶対的必要記載事項よりも意外と重要な「その他」

就業規則は、労働基準法第89条で規定されており、その記載事項として絶対的必要記載事項や相対的必要記載事項に注目されがちですが、実は同条の第10号「その他」は意外と重要な規定です。

労働基準法第89条(作成及び届出の義務)第10号
前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項

つまり、労働者のすべてに適用される定めは、就業規則に該当する、就業規則そのものであるということです。

就業規則に定めるべき第1号から第9号までは、絶対的必要記載事項や相対的必要記載事項として具体的に列挙されているのでわかりやすいものです。といっても、実態はこの具体的に列挙されている事項も定められていないことがあるのですが・・・

念のため、第1号から第9号までの内容をわかりやすい形で紹介しておきます。

まずは、就業規則に絶対に記載しなければならない事項、絶対的必要記載事項です。

  • 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、シフト制の場合の就業時転換
  • 賃金の決定、計算・支払の方法、賃金の締切り・支払の時期、昇給
  • 退職・解雇に関する事項

次に、事業場内で定めた場合に、就業規則に記載しなければならない事項、相対的必要記載事項です。

  • 退職手当が適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払の方法、退職手当の支払時期
  • 臨時の賃金等
  • 労働者への食費、作業用品などの負担内容
  • 安全衛生
  • 職業訓練
  • 災害補償・業務外の傷病扶助
  • 表彰・制裁の種類・程度

そして、この第10号というのは「その他」として扱われているの規定ですが、法令を読むときには、実はこの「その他」に何が含まれるのかを理解しておくことが大事です。

例えば、以前ご相談をいただいたことがあるのですが、労働者に対してストックオプション制度を設けた場合はどうなるでしょうか?

これは、厚生労働省の前身である労働省通達(平成9年6月1日付け基発第412号)によって、「その他」に該当すると解釈が示されています。つまり、就業規則に規定しなければならないということです。

ちなみに、某掲示板では、このストックオプション制度に関する就業規則の規定義務の有無について、専門家の間でなぜか意見が分かれていました。。。しかも「就業規則の有無は別として社内規程は作るべき」という?なアドバイスもありましたし・・・

まとめ

今回は、規則と規程の違いを中心に解説しました。

先程例示した某掲示板では、規則と規程の違いについて「昔の法律なので国も整理できていないようです・・・」などと誤魔化して国に責任転嫁していましたが、今回、取り上げた規程の例は昭和47年に制定されたものなので、少なくとも昭和47年には整理できていたということですし、それ以前にも、きちんと整理できていたと思います・・・

今回のような法令用語の理解を含め、就業規則に規定しなければならないこと、規定する必要のないこと、迷ったときは、きちんとお金を払って信頼できる専門家に確認するか、一次情報にたどり着くまで時間をかけて探しましょう

無料で聞いても適当な答えしか返ってこないですよ。

なお、就業規則の基本的事項については以下の記事で解説していますのでご参考ください。

関連:本当は怖い就業規則! よくある間違い・落とし穴を徹底解説!

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