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年俸制の意味・月給との違い・割増賃金の注意点を解説

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人事労務関係のそこそこ有名な本を読んでいたら「棒給」と書いていて驚きました・・・😅。

正しくは「俸給」です。

年俸制については、読み方から割増賃金の扱いまで、実務の現場でも誤解が多い制度です。この記事では年俸制の基本から実務上の注意点まで解説します。

年俸制の意味

年俸制とは、1年単位で支払われる報酬の総額を定める賃金制度のことです。Wikipediaの「年俸」によると以下のとおり。

年俸(ねんぽう)とは、1年単位で支払われる報酬のこと。または1年間の報酬総額のこと。年給。雇用契約においては労働の給与形態の一種である。

月給制が毎月の金額を決めるのに対して、年俸制は年間の報酬総額を決めて契約します。プロ野球選手の「契約更改」でよく耳にする言葉です。

ちなみに、年俸制の読み方について、賃金制度に関するご相談の中で話題になると、意外と多くの人が

ねんぼうせい

と読みます。正しくは、

ねんぽうせい

Wikipediaでも「まれに『年棒』との表記や『ねんぼう』との発音が見られるが、これらは誤りである」と明記されています。読み方を間違えているから「年棒」とか「棒給」とか書いてしまうのでしょう😅

蛇足ですが、公務員の基本給は「俸給表」で定められています。読み方は「ほうきゅうひょう」です。これも「棒」ではなく「俸」です。

年俸制と月給制の違い

月給制と年俸制の主な違いは以下のとおりです。

月給制 年俸制
賃金の決め方 月単位 年単位
改定のタイミング 随時 主に年1回
割増賃金 必要 必要
毎月の支払い 義務 義務

重要なのは、年俸制にしても割増賃金の支払い義務はなくならないという点です。次項で詳しく説明します。

年俸制にも割増賃金は必要

年俸とは1年単位で支払われる報酬のことであり、年間の報酬額を決めて契約するのだから、

  • 年俸の中に割増賃金を含んでいるので時間外割増賃金は不要で良い

と思い込んでいる人が多いのですが、これは間違いです。

そもそも労働基準法令の中では年俸制に関する定めはありません。そのため、年俸制にしたからといって、労働基準法に基づく時間外労働に対する割増賃金の支給義務は免除されません

創栄コンサルタント事件(大阪地判、平成14年5月17日)
年俸制を採用することによって、直ちに時間外割増賃金等を当然支払わなくともよいということにはならない。

年俸の中に割増賃金を含める場合は明確化が必要

「年俸の中に割増賃金を含んでいる」というのは、いわゆる固定残業代に関係します。

固定残業代とは、あらかじめ時間外の割増賃金を月の賃金に含めて支給する方法です。年俸の中に固定残業代を組み込んでおくこと自体は可能です。

しかし、年俸の中に含まれている固定残業代の額が、何時間分の時間外労働なのかを明確にしておく必要があります

創栄コンサルタント事件(大阪地判、平成14年5月17日)
割増賃金部分が法定の額を下回っているか否かが具体的に後から計算によって確認できないような方法による賃金の支払方法は、同法同条に違反するものとして、無効と解するのが相当。

例えば、1か月30時間の時間外労働を含めた年俸額であれば、月に30時間を超えた時間外労働に対しては、年俸とは別に割増賃金を支給する必要があります。

年俸制の賃金の支払い方法

年俸制だからといって「年に1回支給すれば良い」とはなりません。年俸制であっても労働基準法第24条第2項が適用されるため、

  • 賃金の支払いは毎月1回以上、一定の期日を定めて支払う

ことが義務です。

労働基準法第24条第2項(賃金の支払)
賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。

そのため、年俸制の場合は以下のような方法で毎月支払います。

  • 年俸の総額を12分割にして支払う
  • 賞与を2回支給する場合は14分割にした額を支払う

まとめ

年俸制についてまとめると以下のとおりです。

  • 読み方は「ねんぽうせい」(「ねんぼう」は誤り)
  • 年俸制にしても割増賃金の支払い義務はなくならない
  • 固定残業代を含める場合は何時間分かを明確にする必要がある
  • 毎月1回以上、一定の期日に分割して支払う義務がある

年俸制に関する特別な扱いが法律上あるわけではなく、「年俸制にすれば残業代が不要」という誤解には注意が必要です。

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