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雇入れ時教育は、すべての業種の会社に義務があり、全従業員が対象

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従業員を新規に雇用した場合、または作業内容を変更した場合、会社は、労働安全衛生法第59条に基づき「雇入れ時教育」をしなければなりません。

「労働災害が多い危険な業種だけ」「正社員だけでパートやアルバイトは対象外」と思い込んでいる人がいますが、間違いです。

雇入れ時教育はすべての業種・規模の会社に義務がある

「雇入れ時教育」を定めた労働安全衛生法第59条第1項、第2項には業種・規模・雇用区分の限定がありません。

つまり、雇入れ時教育は、

  • すべての業種・すべての企業

に義務づけられています。従業員数が少ない小規模の企業にも義務付けられています。

また、雇入れ時教育の対象は、正社員、パート、アルバイトなど雇用区分にも関係ありません。すべての従業員が対象です。

労働安全衛生法第59条(安全衛生教育)
  1. 事業者は、労働者を雇い入れたときは、当該労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行なわなければならない。
  2. 前項の規定は、労働者の作業内容を変更したときについて準用する。
  3. 事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行なわなければならない。

なお、限定されているのは、労働安全衛生法第59条第3項の「危険又は有害な業務で」という部分のみで、これは特別教育とよく呼ばれます。

雇入れ時教育の内容

雇入れ時教育の内容は、労働安全衛生規則第35条第1項に定められており、

  • 労働者を雇い入れたとき
  • または労働者の作業内容を変更したとき

に、遅滞なく、教育を行わなければならないとされています。

労働安全衛生規則第35条(雇入れ時等の教育)第1項
  1. 機械等、原材料等の危険性又は有害性及びこれらの取扱い方法に関すること。
  2. 安全装置、有害物抑制装置又は保護具の性能及びこれらの取扱い方法に関すること。
  3. 作業手順に関すること。
  4. 作業開始時の点検に関すること。
  5. 当該業務に関して発生するおそれのある疾病の原因及び予防に関すること。
  6. 整理、整頓及び清潔の保持に関すること。
  7. 事故時等における応急措置及び退避に関すること。
  8. 前各号に掲げるもののほか、当該業務に関する安全又は衛生のために必要な事項

なお、同規則第2項により、事業者は、十分な知識及び技能を有していると認められる労働者には教育を省略することができるとされています。

雇入れ時教育の内容を一部省略できる業種

ただし、雇入れ時教育は、労働安全衛生法施行令第2条第三号に掲げる業種の場合、上の第一号から第四号までの教育を省略できるとされています。

では、労働安全衛生法施行令第2条第三号に掲げる業種とは何か、ということですが、「その他の業種」、つまり以下の1、2以外の業種ということです。

  1. 林業、鉱業、建設業、運送業及び清掃業
  2. 製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゆう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゆう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業
  3. その他の業種

まとめると、第三号の業種では、以下の雇入れ時教育をすべての従業員に対して行う義務があるということです。

  • 当該業務に関して発生するおそれのある疾病の原因及び予防に関すること。
  • 整理、整頓及び清潔の保持に関すること。
  • 事故時等における応急措置及び退避に関すること。
  • 前各号に掲げるもののほか、当該業務に関する安全又は衛生のために必要な事項

雇入れ時教育に必要な時間数

特別教育や職長等教育と異なり、雇入れ時教育に必要な時間数に関する規制はありません

通常は、採用後に、会社の規則やルール、昨今はSNSの取扱いなどの注意喚起を含めて説明する時間を設けるでしょうから、そのときに雇入れ時教育の内容を含めるのが良いでしょう。

雇入れ時教育に関する罰則

雇入れ時教育をしなかった場合の罰則は、

  • 労働安全衛生法第59条第1・2項違反の場合は、50万円以下の罰金
  • 労働安全衛生法第3項違反の場合は、6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金

となっています(労働安全衛生法第119条、第120条)。

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