労働基準法改正により企業は年5日の有給休暇取得が義務化される!

厚生労働省は、企業に対して少なくとも年間5日の有給休暇を消化させるための義務を課す方針を、厚生労働省・労働基準法等の一部を改正する法律案要綱の中で、発表しました。

この方針は正社員だけでなく、パートタイマー、アルバイトの人も含んでいることに注意してください。

今回は、労働基準法改正によって、企業に新たに義務づけられる年5日の有給休暇消化に関する方針について解説します。

2016/8/1追記

この労働基準法改正案は平成27年度通常国会に提出され、当初は平成28年4月より施行予定でした。

この改正案は大きな議論となる高度プロフェッショナル制度を含むものであるため、選挙前には審議すらされないと思っていたら、2016夏の参議院選挙が終わるまで手を付けられませんでしたね。。。

臨時国会が開かれるので、そこでついに審議入りかと思っていたら、数日間のみの開催のようですし。

ただ、選挙結果は与党の勝利で終わったわけですから、この法案の内容で進んでいくでしょう。続報が入り次第、このサイトでも情報を発信していきます。

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1. 対象となる労働者とその条件

対象となる労働者は、正社員だけではありません。アルバイトを含むパートタイム労働者も対象となります。

ただし、この方針には条件がついており、「年次有給休暇の日数が10日以上である労働者」となっています。

この条件を理解するには、労働基準法に基づく有給休暇の付与日数をきちんと理解しておかなければなりません。

1-1. 正社員などの有給休暇日数

まず、基本的な有給休暇の日数については、法律によって以下の表のとおり定められています。

雇われた日からの勤続期間 付与される休暇の日数
6か月 10日
1年6か月 11日
2年6か月 12日
3年6か月 14日
4年6か月 16日
5年6か月 18日
6年6か月 20日

タイトルには、わかりやすく「正社員などの有給休暇日数」と書きましたが、この表が適用されるのは、正確に言えば

  • 労働時間が週30時間以上、労働日数が週5日以上の労働者、又は1年間の労働日数が217日以上の労働者

であり、社員の呼称が、正社員であろうが、パートタイム労働者であろうが、アルバイトであろうが関係ありません。

そして、今回の方針の対象は、「年次有給休暇の日数が10日以上である労働者」になりますので、「労働時間が週30時間以上、労働日数が週5日以上の労働者、又は1年間の労働日数が217日以上の労働者」はすべて今回の方針の対象となります。

1-2. パートタイム労働者などの有給休暇日数

次に、一般的にはパートタイム労働者と呼ばれる、週3日、週4日勤務など、週の中で働く日数(所定労働日数と言います)が少ない労働者の場合を解説します。

こちらは、少し複雑になりますが、以下の表のように有給休暇が比例付与されます。

具体的に解説すると、この表が適用される労働者は、「労働時間が週30時間未満で、かつ、週の労働日数が4日以下」の場合です。

週の労働日数が1日であっても、法令上、年次有給休暇は付与されますが、今回は、「年間5日の有給休暇を消化させるための義務を課す」という方針の対象となる、年間10日以上になる労働者の条件のみを抜粋しています。

週の労働日数 雇入れた日から起算した継続勤務期間(単位:年)
0.5 1.5 2.5 3.5 4.5 5.5 6.5以上
4日 7 8 9 10 12 13 15
3日 5 6 6 8 9 10 11

今回の方針の対象は、「年次有給休暇の付与日数が10日以上である労働者」となりますので、この表を見ると、

  • 週3日働いている労働者で、勤続期間が5.5年以上の人
  • 週4日働いている労働者で、勤続期間が3.5年以上の人

に対して、会社は、有給休暇の5日間の消化が義務づけられることになります。

こちらも、タイトルには、わかりやすく「パートタイム労働者などの有給休暇日数」と書いていますが、正確には、「労働時間が週30時間未満で、かつ、週の労働日数が4日以下の場合の労働者」になるのでご注意ください。

例えば、パートタイム労働者の労働時間が週30時間以上であれば、適用される表は、1-2の表ではなく、1-1の表になるということです。

2. 具体的な有給休暇消化の対応は就業規則に規定すること

また、この方針によって、今後、会社には各労働者の年次有給休暇の取得状況を確実に把握するために、年次有給休暇の管理簿の作成が義務づけられることになりますので、ご注意ください。

管理簿の様式は特に定められていませんが、有給休暇の付与日数と実際の取得日数を記載しておけば十分でしょう。

いずれにしろ、会社側としては、今回の方針を踏まえ、就業規則の整備が必要になりますし、どのように5日間の有給休暇を付与していくかは、年間の業務スケジュールや月ごとの休日日数を考えつつ、労働者と相談し、計画的に付与していくことが必要です。

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今回の方針では、会社が時季指定できるとなっているわけですから、集中的に5日間休まれるよりは、2か月に1度、ある意味祝日のような考え方で付与していくことをオススメします。

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その際、以下のようにお祭りなどの地域の行事と併せて有給休暇を付与するというのは、企業として地域の行事に貢献しているというメッセージになりますし、社員にも喜ばれる方法ではないでしょうか?

参考

有給休暇を付与しない場合は罰則・罰金あり!

以下の記事で詳細に解説していますが、有給休暇というのは、原則として、労働者が請求すれば経営者や管理職は拒否できません。

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なお、有給休暇を付与しない場合は、労働基準法で明確に、6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金という罰則が定められていますし、実際、裁判にもなっており、やはり有給休暇は原則拒否できないと判断されています。

労働者の権利意識はこの数年で格段に高まっていますし、「給料をもらいながら休むなんて言語道断だ!」なんて一昔前のように平気で言っていたら、労働基準監督署に駆け込まれて指導を受けるだけですので、ご注意ください。

なお、残業代の上乗せなどのその他の労働基準法改正方針は、以下の記事で解説しています。
http://worklifefun.net/wage-up-50/

今回のポイント

最後に、ポイントをまとめておきます。

会社には、以下の条件を満たす労働者に対して、年間5日の有給休暇を消化させるための義務が課される。

  • 労働時間が週30時間以上、労働日数が週5日以上の労働者、又は1年間の労働日数が217日以上の労働者で、勤続期間が6か月以上の労働者
  • 労働時間が週30時間未満で、かつ、週の労働日数が4日以下の労働者の場合は、以下の労働者
    • 週3日働き、勤続期間が5.5年以上の労働者
    • 週4日働き、勤続期間が3.5年以上の労働者

会社には、各労働者の年次有給休暇の取得状況を確実に把握するために、年次有給休暇の管理簿の作成が義務づけられる。

会社としては、5日間の有給休暇について、休暇の集中化を避けるため、年間行事スケジュールを考えつつ、労働者と相談し、計画的に付与していくことが必要。

なお、休暇関係のお問合せに加えて最近多いのが、休憩時間です。休憩時間に電話当番を指示するのは違法ってご存知ですか?

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また、有給休暇や産休だけでなく、法律で付与することが義務づけられている休暇・休業は意外と多くあります。義務化されている法定休暇について内容をまとめましたので、併せてご参考ください。

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参考情報:有給休暇の取得率

そもそも、なぜこのような方針が発表されたのかという背景を理解しておくことは大切です。

その理由は年次有給休暇の取得率の低さです。つまり、今回の有給休暇の義務づけというのは、海外に比べて低いと言われ続けている有給休暇の取得率を何とかして上げたいという政府の意思が示されているわけです。

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この記事を書いた人


安部敏志

あべ社労士事務所代表・社会保険労務士

国家公務員I種職員として労働基準法・労働安全衛生法等の立案や企業への徹底的な指導に従事した経験を武器に、退職後は逆に会社を守る立場として経営者・人事担当者からの人事労務管理に関するご相談に対応。

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