規程と規定の違いとは? 法的に全く違うこの2つを詳しく解説!

あなたは、規程と規定の違いを明確に説明できますか?

当事務所の業務の多くが就業規則の見直しのご依頼なのですが、法的に全く違うものであるにも関わらず、「規程」と「規定」の誤用が多くあります。

そこで今回は、初歩的なのに間違いがちな「規程」と「規定」の違い、そして「就業規則」と「規程」の関係について解説します。

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就業規則と各規程の関係

「規程」と「規定」の違いを明確にご理解いただくには、まず就業規則と規程の関係から把握していただくとスムーズにご理解いただけます。

そのため、ひとまず、就業規則と規程の関係について解説することをご容赦ください。

就業規則というのは、労働基準法第89条に基づき、常時10人以上の労働者がいる事業場が作成・届出をしなければならないものです。

労働基準法第89条(作成及び届出の義務)
常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。

そして、就業規則とは別に、各規程、賃金規程、退職金規程、育児介護休業規程などがよく定められていますが、これらは別に規程として作成する義務があるわけではありません。あくまで就業規則として定めることが求められているものです。

つまり、就業規則の本文に入れてしまうと長くなってしまうため、わかりやすさを優先して、就業規則を本則とし、それ以外の関連のある部分のみを別規程として作成しているわけです。

ここで注意しておくべき点は、就業規則は、その「本則」と「各種規程」、これらを全て含めて就業規則として扱う必要があるということです。就業規則は、労働基準監督署への届出も義務づけられていますが、各種規程も就業規則の一部ですから届けなければならないということです。

なお、規則と規程の違いについてもたまにご質問を受けますが、この2つも全く違いますし、法的にも明快に説明できます。規則と規程の違いについて自信のない方は、以下の記事で詳しく解説していますのでご参考ください。

規則と規程の違い・使い分け・実務的な対応を徹底解説!
規則と規程の違い、就業規則と規程の関係性、人事規程とは何か、そして実は意外と実務的な対応をする上で重要な「その他」について徹底的に解説します。

規程と規定の違い

さて、本題の「規程」と「規定」の違いを解説していきますが、日常生活では、あまり使用する言葉ではないので、一般の方にはあまり馴染みがないかもしれません。

ただ、就業規則の策定など、法令に沿ったルールづくりを職業とする専門家が間違うのは致命的です。

それほど、この「規程」と「規定」というのは全く違います。

規定というのは一文、規程というのは規定がまとまった文書を表します。

冒頭で就業規則と規程の関係性について解説しましたが、もっと簡単にご説明すると、規程というのは、賃金規程、退職金規程、旅費規程など、文書のタイトルに使われるものです。

そして、規定というのは、その規程の中の一つ一つの条文のことです。

規程=規定+規定+規定+・・・・・というイメージです。一つ一つの規定が集まって、最終的に規程となるわけです。

規程と規定の実例

規程と規定の関係性を示す実例として、絶対に間違いのない文書を実例として取り上げます。

まず、規程の実例として、参議院HPを見ると、両院協議会規程というのがあります。

両院協議会「規定」とはなっていませんね。

次に、規定の実例です。

日本国憲法の中で、「法律の規定を実施」という条文がありますが、これは、法律の条文一つ一つということを意味しています。だから「規程」ではなく「規定」になります。

ちなみに、私が国家公務員として働いていたとき、策定・発出する文章が間違っていないか確認するために、二人一組で読み合わせをするのですが、規程を「きほど」、規定を「きさだ」と読み、その違いがきちんと反映されているか確認していました。
日本国憲法第73条第6項
この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

就業規則の中で「賃金規定」、「退職金規定」となっている箇所はありませんか?

実は、私が見直しのご依頼を受けた就業規則の80%以上は、「賃金規定」などと誤った使い方がされていました。。。しかも専門家のチェックを受けたものだそうです。。。

正しくは「賃金規程」、「退職金規程」です!

些細なことだと思いますか? 私も一箇所だけなら単なる変換ミスだと思います。私にもミスはありますので・・・

ただ、もし複数箇所で間違っていたら、それは誤認です。

裁判でも参照され、人事労務管理のリスクを最小限にするための根拠となるべき就業規則の信頼性が損なわれるというのは大きな問題です。

「就業規則の作成は怖くない」「簡単にできる」と紹介する人もいますが、それは大間違いです。以下の記事では、なぜ就業規則が大事なのか、安易に作ると後悔することになるのか解説していますのでご参考ください。

本当は怖い就業規則! よくある間違い・落とし穴を徹底解説!
人を雇っている会社のルールブックとも言える就業規則について、中小企業でよくある間違い、その落とし穴について解説します。「就業規則の作成は怖くない」「簡単にできる」と書く素人がいますが、実際に裁判になってからでは遅いのです。
規程と規定の違いとは? 法的に全く違うこの2つを詳しく解説!
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この記事を書いた人


安部敏志

あべ社労士事務所代表・社会保険労務士

国家公務員I種職員として労働基準法・労働安全衛生法等の立案や企業への徹底的な指導に従事した経験を武器に、退職後は逆に会社を守る立場として経営者・人事担当者からの人事労務管理に関するご相談に対応。

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